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魚神 の商品レビュー

3.8

98件のお客様レビュー

  1. 5つ

    20

  2. 4つ

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  3. 3つ

    21

  4. 2つ

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2021/06/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

痺れるような、酔うような、幻想の島に囚われるような感覚の物語。 静かな夜中に読むのがいい。 姉弟のように育った2人が隣の家の屋根によじ登り月をみる場面。凛と冴えた月が2人を待つ。夜の湿度を帯びた空気の中にほんわりと漂うスケキヨの寝床のにおい。 月を想像しながら読んだり、人の匂い、柑橘や香のかおりがしてくるような場面に深呼吸できたりする。 後半の蓮沼との関係も、楼主や蓼原やハナの人情味ある場面も個人的には目が離せなかった。 色々な描写も個人的に嫌な気持ちにならず受け入れやすいものだった。 千早茜さんの他の作品も読もうと思う。

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2021/03/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

今好きな千早茜さんだから最後まで読んだけど、多分そうじゃなかったら途中でやめていた。すごくきれいな切ない話だけど、ファンタジー感があるというか、苦手な話だった。孤児で遊郭に行くしかない、という話はやっぱ切ない。その中で剃刀男こと蓮沼の存在は異彩を放つというか、素敵だった。現実味があるというか。やっぱ悪い男はかっちょいいんだよなー。しかし、白亜はいいけど、なんでスケキヨにしたんだろう。スケキヨって言ったら、やっぱあのスケキヨを思い出しちゃうじゃんね。

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2021/02/28

前半と後半で違う作品かと勘違いするほどに、展開されていくストーリーが途中から急変した。けれどもそこを繋ぐ一貫した主人公白亜の達観しつつも抗えず呑まれていく気持ちの丁寧な描写が心地良い。 スケキヨ、蓼原、蓮沼、胆振野。主要なメンズ皆が感情と正義の為に行動しているなあと感じて、そし...

前半と後半で違う作品かと勘違いするほどに、展開されていくストーリーが途中から急変した。けれどもそこを繋ぐ一貫した主人公白亜の達観しつつも抗えず呑まれていく気持ちの丁寧な描写が心地良い。 スケキヨ、蓼原、蓮沼、胆振野。主要なメンズ皆が感情と正義の為に行動しているなあと感じて、そしてすんなりその生き様を受け入れたくなるのは白亜の視点から見ているからなのかな?

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2021/01/06

夢中で読んじゃった… 千早さんさあ…「求め合ってるのに素直になれない男女」めっちゃ出すやん……何なん、サディストなん? ほんであんなにも食べ物の描写が素敵なのに、今回全然出てこなかった。 蓮沼、実写化するなら伊勢谷友介がいい。スケキヨは吉沢亮で。

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2020/10/21

僕の最も好きな作品、京極夏彦『嗤う伊右衛門』が泉鏡花文学賞受賞作と言うことで、他の受賞作が気になってこの本にたどり着いた。 一つ一つの物語が情景として脳裏にとても明確に浮かぶと言うことに関しては初めて恒川光太郎を読んだ時の感覚と似ている。 何とも言えない独特の感じが読むことをやめ...

僕の最も好きな作品、京極夏彦『嗤う伊右衛門』が泉鏡花文学賞受賞作と言うことで、他の受賞作が気になってこの本にたどり着いた。 一つ一つの物語が情景として脳裏にとても明確に浮かぶと言うことに関しては初めて恒川光太郎を読んだ時の感覚と似ている。 何とも言えない独特の感じが読むことをやめさせてくれない。 作者の才能があふれ出た作品で久しぶりに嵌りそうな作家に出会った気がする。 他の作品(特に現代物)も評価が高そうな作品が結構あるので楽しみ!

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2020/09/23

魚神と昔の白亜とのエピソードが美しくてとてもよかった。 スケキヨは終始不思議な魅力のあるひとやったなあ。 私は蓮沼が好きやったから残念やった。 すごく独特の雰囲気のある小説やった。 遊郭が舞台やからかな? 雷魚伝説とかも出てきたからなのか、、幻想的でどこか夢の中のような雰囲気。...

魚神と昔の白亜とのエピソードが美しくてとてもよかった。 スケキヨは終始不思議な魅力のあるひとやったなあ。 私は蓮沼が好きやったから残念やった。 すごく独特の雰囲気のある小説やった。 遊郭が舞台やからかな? 雷魚伝説とかも出てきたからなのか、、幻想的でどこか夢の中のような雰囲気。

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2020/04/19

千早茜さんの作品へは絶大な信頼を置いてるけど例に漏れず面白かった…! 遊郭の話は現実にこんな世界があったと思うとあまり楽観的には読めないけど、情景が綺麗で映画みたいな雰囲気。

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2020/01/03

「あなたはあまり僕がお気に召さないようですね」 「客の選り好みが出来る立場ではないわ。それに、まだ髪も結ってないの。少し待っていただいても?」 「全く僕の質問の答えになってないですね。まあ、いいですよ、待っています」 白亜の巧みな会話

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2019/10/16

千早茜さんワールド全開な作品。 幻想的で、肌に張り付くような気だるさと そこに自分が引き込まれてしまう妖しい空気感。 この手の作品が大好きなので 千早茜さん作品に夢中です。 ホントに感動して心に残る本って レビューすら書けない。 書くのがもったいない(笑)

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2019/10/01

本土からは渡し船でしか訪ねられない、島。 白亜という伝説の遊女と雷魚の言い伝えが語られ、 それに重なるように、白亜とスケキヨという、拾われて姉弟として廓で育てられた2人の物語が展開する。 千早茜さんの作品は2冊しか読んでないけど、あまり多く喋らない登場人物の中に潜む激しい感情と...

本土からは渡し船でしか訪ねられない、島。 白亜という伝説の遊女と雷魚の言い伝えが語られ、 それに重なるように、白亜とスケキヨという、拾われて姉弟として廓で育てられた2人の物語が展開する。 千早茜さんの作品は2冊しか読んでないけど、あまり多く喋らない登場人物の中に潜む激しい感情と残酷さとを、あるきっかけで放出してしまう展開が特徴的。 ぱんぱんの水風船が弾ける時のような衝撃と、不可逆であるとわかってしまった時の哀しさや後悔やある種の清々しさ。湿った死を感じると言い換えてもいいかもしれない。

Posted byブクログ