人間とはどういう生物か の商品レビュー
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[ 内容 ] 人間らしさの源泉とは「意味をみいだす」ことである。 ごく当たり前のように思えるふるまいだが、コンピュータと比較すると、どんな高度なロボットでも「意味をもつ」ことはできない。 ヒトの心が「意味をもてる」がゆえに、あらゆる知的活動や人間栄華が可能になるのだ。 では、その「意味」はどのように生まれるのか、そのとき意識が果たす役割とはいったい何か、無意識が意思決定を司るならば人間の自由意思はどこに存在するのか、すなわち、人間とは何だろうか…。 古くから問われてきたこの問いに、情報科学、認知ロボット工学、進化心理学、量子力学などの知を横断しながら、本書はアプローチを試みる。 最先端の科学研究を縦横無尽にかけめぐる知的冒険の書。 [ 目次 ] 第1章 ことばには意味がともなう 第2章 意味不在では翻訳もできない 第3章 力まかせの思考の限界 第4章 ネット時代のクイズ王コンピュータ 第5章 人間の意味作用にせまる 第6章 世界に拡がる心 第7章 歴史を刻む心 第8章 ひびきあう心たち [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]
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人工知能の開発経験に基づき、人間の心の在り処と無意識による暗黙知について考察している。仮説を立てるだけで実証がないが、純粋に読み物として面白かった。
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一般人が相手ならいざ知らず,筆者は大学で教授をつとめる学問のプロフェッショナルということで,素直に感想を言いたい. 筆者は人間を人間たらしめるのは意味であると主張する.しかし本書においてはその肝心の意味について納得のいく洞察がほとんど与えられておらず残念である. 本書の少なからざる分量が,要素還元的な立場に対する批判に費やされている.要素還元主義が現状意味を捉えることができないことを指摘し,「それは全体を見ていないからだ」と主張する.しかし要素還元は意味に対する洞察を与えるためのひとつのアプローチにすぎない.現状うまくいっていなくとも将来どうなるかはわからないし,そもそも要素還元を批判することで筆者の立場が特にクリアになるとはやっぱり思わない.代案を示さないのは思考の逆行であり非建設的である. もしかしたら筆者は意味のふるさとを量子過程に求めたのかもしれない.もしそうなのであれば,その根拠にこそ解説の大半を割くべきだっただろう.なぜ筆者はここで量子過程を持ち出すのか,本書の解説ではとても納得できない.しかし本書の解説はペンローズの量子脳理論に触発された素人の思いつきの域を出ない印象である.量子過程という言葉は物理を学ぶ人からするとあまり一般的でないし曖昧にひびく.どうやら重ね合わせの原理を指すらしい.量子力学についての解説は拙い.目的にそぐうように耳学問で得た知識を捻じ曲げているように見える.批判されるべき態度ではないか.
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