冬の眠り の商品レビュー
アスワンハイダム建設のため、水没する土地に身を置き神殿の移設を請け負うエイヴァリーと植物を愛するジーン。 水瓶を作るため、切断され生み出した土地を離れてゆくラムセス二世の"体"。自らの記憶につながる土地を沈められていく人々。ナイル川の黒い流れを背景に、語られ...
アスワンハイダム建設のため、水没する土地に身を置き神殿の移設を請け負うエイヴァリーと植物を愛するジーン。 水瓶を作るため、切断され生み出した土地を離れてゆくラムセス二世の"体"。自らの記憶につながる土地を沈められていく人々。ナイル川の黒い流れを背景に、語られることのないいくつもの喪失に囲まれたハウスボートの中、二人の体が負ってきた記憶が静かに水が満ちてくるようにひそやかにお互いにだけ語られていく。 やがて二人のつながりも、別の方向に向けて流れ始めていく。 人は立ち上がれないくらいの"冬の眠り"をどのように受け入れていくのか。そして、その喪失からどうやって目覚めへと向かっていけるのか。その過程は、失い続けることでもあるのではないか。静かな悲しみの中に、喪失を抱えて生きる人の姿を見つめる一冊です。(院生アルバイトスタッフ)
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ナイル川の上流に建設されるダム工事に関わる技師や移転のお話。 エキゾチックなストーリーで旅した気分になる。
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登場人物の心象風景がきれいに描かれていて、登場人物に寄り添って彼らと同じように感じるのは、ちょっと別の世界を体験している感じ。 ストーリーよりも、彼らが見たもの、感じたことを表現している文章力が素晴らしい。
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