木枯し紋次郎(上) の商品レビュー
紋次郎シリーズの中から厳選した10編を載せた"ベスト・オブ・紋次郎"の第一弾。 しびれた。紋次郎にしびれた。ちょうどブルース・リーを見た小学生が、翌日学校で「アチョー」とやるのと同じように、今のワタシは「ごめんを被りやす」「あっしには関わりのねえことで」とやり...
紋次郎シリーズの中から厳選した10編を載せた"ベスト・オブ・紋次郎"の第一弾。 しびれた。紋次郎にしびれた。ちょうどブルース・リーを見た小学生が、翌日学校で「アチョー」とやるのと同じように、今のワタシは「ごめんを被りやす」「あっしには関わりのねえことで」とやりたくなる気分だ。 でも、いわゆるヒーローものではなく、話は重い。一切の感情と表情を殺した紋次郎とのコントラストで浮かび上がってくるのは、人間の欲望と、そこから来る裏切りや嫉妬。留まるところを知らない人間の欲望を斬ってゆく紋次郎は、正義の味方的なヒーローではなく、鈍い光を放つ孤高のヒーローだ。 第二弾も買わねば。
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時代小説は宮本武蔵以来ほとんど読んでいないジャンルだ。10編の作品を編んだ作品集の上巻。 木枯し紋次郎は中村敦夫主演のテレビドラマ等で世に知られているとのことだが、ほとんど記憶になかった。しかし三度笠、長い楊枝を加えているという描写ですぐにその姿を想像できた。なんで知っているのだろう。 時代劇らしいと言っていいのだろうか、毎作品最後にチャンバラがあるのだが、悪人をヒーローがやっつけるような勧善懲悪というわけではない。 義理だったり成り行きで命のやりとりになってしまうのだが、そもそも紋次郎は「間引かれ損ない」という出生、流浪の渡世人、表情もあまりない、という主人公とは思えない非常に暗い設定。どこまでも孤独な主人公が淡々と描かれている。 暗い影がある主人公として、ブラック・ジャックやゴルゴ13なんかを思い出したが、もちろんどれとも違う。しかしこういったニヒルな主人公には魅力的なキャラが多いと思った。 あとがきで群馬県に三日月村というテーマパークがあるということで調べたら、その中に「かかわり~な/木枯し紋次郎記念館」という施設があるらしい。「あっしには関わりのねえことで」から?
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