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ドキュメント口蹄疫 の商品レビュー

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3件のお客様レビュー

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2021/05/16

ワクチンを打てば感染拡大を抑えられるが、微量にウィルスを排出してしまう。そうなると感染によるものと区別がつかず、非感染国に畜産物を輸出する為には接種した家畜を殺すしかない。

Posted byブクログ

2020/08/18

自分自身が獣医師なので、口蹄疫についてもある程度は学んだことがありましたが、こんなに大規模な被害をもたらした事例は国内ではこれまでありませんでしたので、ある意味ではこの対応は未体験ゾーンをかき分けながら進むような物だったのだろうと想像していました。 その全貌を、地元の新聞社によ...

自分自身が獣医師なので、口蹄疫についてもある程度は学んだことがありましたが、こんなに大規模な被害をもたらした事例は国内ではこれまでありませんでしたので、ある意味ではこの対応は未体験ゾーンをかき分けながら進むような物だったのだろうと想像していました。 その全貌を、地元の新聞社による現地取材のドキュメンタリーとしてたいへん興味深く読みました。 思えばこの時の政権は民主党・鳩山政権〜菅政権だったんですね。宮崎県知事は東国原英夫。この組み合わせで日本の畜産の危機とも言える惨事に遭遇してしまったのは本当に不幸なことだったように思いました。農林水産大臣が赤松だったというのが特に良くなかった、と僕は感じてます。畜産農家とはどういうお仕事をしているのかこれっぽっちも知らず、そこに働く人々の気持ちを慮ることなく、麻生太郎級の暴言を吐き散らし、鳩山政権が空中分解したことをいいことに、面倒ごとからはさっさと手をひこう、とばかりに続投を固辞するあたり、情けないやつだなぁ、と(それまでにわかっていたことだけど)改めて強く感じたのだった。 同じことは知事を1期務めただけで辞めた東国原にもいえるとおもいます。 二人とも「口蹄疫への対応の責任を取って辞任した」といっていましたが、なんだかんだいって投げ出しただけ。こういう政治屋に振り回される現場、生産者が気の毒でなりません。 今、新興感染症COVID-19への対応で、全国の都道府県知事、安倍晋三政権があれこれと策を弄している(あるいは放置している)わけですが、10年前の口蹄疫への対応と通ずるものがあるように感じます。あと10年もしたら、誰かこの騒動をすっきり読みやすいドキュメントにまとめ上げてくれているでしょうか?それともその頃もまだ、with Coronaの『新しい生活様式』に振り回されていて、まとめることなどできないでいるのでしょうか? 過去に学び、今生きる人々、これから生き続ける人々にとって良い世の中を作ろうと力を尽くすことこそが、我々市井の庶民が政治の場に立つ者たちに願うことなのだと強く感じさせられました。

Posted byブクログ

2012/06/22

2010年4月20日、宮崎県都農町での感染疑い確認から8月27日の終息宣言まで、29万7808頭の家畜が殺処分された宮崎県の口蹄疫問題。その猖獗を極めていった様子を地元紙が丹念に追った物であります。 これは2010年4月20日、宮崎県都農町での感染疑い確認から8月27日の終息...

2010年4月20日、宮崎県都農町での感染疑い確認から8月27日の終息宣言まで、29万7808頭の家畜が殺処分された宮崎県の口蹄疫問題。その猖獗を極めていった様子を地元紙が丹念に追った物であります。 これは2010年4月20日、宮崎県都農町での感染疑い確認から8月27日の終息宣言までを地元紙である宮崎日日新聞社が追った決して忘れてはいけない記録です。殺処分した家畜は実に29万7808頭という膨大な数にのぼり、その影響は畜産農家はもちろんのこと、観光、小売、飲食、運輸などの他産業や県民生活に及んでおりました。 僕はこの本を読んではじめて知りましたが、この口蹄疫。海外、ここではイギリスを例にとって紹介されておりますけれど、国家規模のテロや災害と同じ扱いをされていて、発生するや否や緊急の対策チームがすぐさま組まれ、政治が主導で動いていたのだそうです。それに比べて日本の対応の遅さ。永田町の『政治エリート』の危機感なさと自分たちが家族同然に育てていた家畜を殺処分されるという惨禍で怨嗟・慟哭の声を上げている畜産農家の方たちの言葉がまさに悲痛そのものでありました。 何がこれほどまでの爆発的な感染を招いたのか?アルベール・カミュの普遍的名作『ペスト』さながらの世界が展開されていることは地元紙だから。それも、終息から1年余を経て、現場密着の報道に全力を傾けたからこそ、見つめることができたのではないかと思われます。ここに、全国紙とは違う地元紙の真骨頂を僕は見るわけであります。制度の不備や現場で殺処分、埋葬にかかわる職員や獣医師、自衛隊などの方々の肉体的、精神的な疲労はもちろんのこと、政治家の口蹄疫に対する認識の甘さや、中央政府と地方の『差異』や軋轢。そういったものが丹念に描かれております。 僕も写真週刊誌やネットで殺処分された家畜が埋められる場面を撮影した写真だったり、酪農家の悲鳴を目にしてまいりましたが、おそらくこの期間で発生した損害というのは元には決して戻らないものであろうな、ということを十二分に感じさせてくれるものでありました。今だからこそ向き合える『真実』。それがあるのだということをこの本は教えてくれたような気がします。

Posted byブクログ