贖罪の奏鳴曲 の商品レビュー
どんでん返しの妙より、その人間のあり様に揺さぶられる。あきらかに神戸の事件をベースにしてると思うが、主人公のような人生が無きにしも非ずなのかと思うと、正直ぞっとした。 中山七里の音楽シーンは、おやすみラフマニノフシリーズでみせた描写と同様、音を文章で表すことがほんとにうまい。 た...
どんでん返しの妙より、その人間のあり様に揺さぶられる。あきらかに神戸の事件をベースにしてると思うが、主人公のような人生が無きにしも非ずなのかと思うと、正直ぞっとした。 中山七里の音楽シーンは、おやすみラフマニノフシリーズでみせた描写と同様、音を文章で表すことがほんとにうまい。 ただ、初版の帯が少々ネタバレ気味なのはどういうことかと…残念。
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中山七里さんといえば「さよならドビュッシー」や「おやすみラフマニノフ」を思い浮かべます。 この本の「贖罪の奏鳴曲」というタイトルから新たな音楽小説かな?と思い (本の表紙もグランドピアノのイラストだし)読んでみました。結果、途中で脇役の少女がベートーヴェンの「熱情」を弾くシーンが出てくるのみで、本編とピアノはあまり関係がないように進んでいきます。「一体どこに音楽が出てくるのかな?」と思いながら読みました。そしてすべて読み終えた後に「あぁ!あの少女の演奏が主人公のその後の人生を大きく変え、こういう結果に導いたのか!」と気づかされました。ピアノを弾く者としては、ピアノを始めてたかが1年で「熱情」を弾くという設定には多少無理があるような気もしますが、確かにあの「熱情」という曲には誰かの感情を揺り動かす何かが秘められているかも・・・という気がします。「熱情」好きにはお奨めの1冊。推理小説としてはどんでん返しがありとても面白いです。
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