きれいごと の商品レビュー

大道珠貴【著】

2021/06/07

　夢の中で生きているような物語りだった。44歳独身、妊娠するには最後の時期。女性として人間として性の描写が多くみられ、何だかわからないと思いながらもストーリーにはついていけた。購入した終の棲家に、ふと思いつき、自分で珪藻土で壁塗りを始める。その間の物語。

2022/08/15

　大道珠貴さんの「きれいごと」、２０１１．１２発行です。１９６６年生まれの著者、４４～５歳の頃の作品です。主人公平尾美々４４歳の女性の暮らし、からだの変化、性への思いなどが滔々と書き綴られています。「私小説」っていうのでしょうか・・・。芥川賞作家、不思議な感性の世界ですね。観察力、表現力に感心しました。
　平尾美々は、30歳前に福岡から関東に出稼ぎ。小説を書くために。40歳から金沢八景駅付近のアパートに。44歳で閉経、同時に終の棲家を京急神武寺駅の近くに。大道珠貴「きれいごと」、2011.12発行、再読。これは、私小説か、自伝か、エッセイか(^-^)　純文学は間違いないでしょうｗ！

2012/06/30

平尾美々、44歳・独身。逗子に家を買った。これからは何でも1人でするのだ-。気楽だけれど楽じゃない、独身・家持ち女の静かな暮らしを描く。

自伝的小説とも思わせるが、作中で「自分の書く小説の登場人物（中略）自分を書こうとすればするほど自分でなくなる」と言っているので、話半分（以下？）に捉えればいいのだろう。投げやり、開き直り、露悪趣味…大道作品らしさがよく出ている。
（Ｃ）

2012/02/02

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平尾美々（びび）、44歳・独身。逗子に家を買った。これからは何でも一人でするのだ。でも、妊娠することを妄想してみたり、親戚のお爺さんが転がりこんできたり。気楽だけれど、楽じゃない。独身・家持ち女の静かな暮らしを描く、芥川賞作家の長篇小説。
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帯にある「静かな暮らし」を描いている、というよりも、そこへ行き着くまでの紆余曲折が描かれていると言った方が当たっているかもしれない。しかも、表向きに現れる美々の状態が、「静か」と言えるときであっても、胸の裡で膨らませる妄想はにぎやかなことこのうえない。なかなか独特な世界に生きる女の人である。美々のことを深く知るのは無理かもしれない、と思わされる一冊である。

2012/01/18

美々さんは４４歳、独身。３０歳目前で生まれ育った福岡を出、小説を書く仕事を求めて東京へ。最近、逗子に古民家を買いました。

主人公の美々さんは、経歴から当然作者の大道さんに重ねて読んでしまうのだけど、大道さんはそれが本意なのだろうか・・・。

独身・家持ち女の静かな暮らしを描く、と紹介文にはあったけど、全然！！静かじゃないし。
以前住んでいたアパートの階下の主婦とセフレになっちゃったり、遠い親戚の風来坊お爺さんを突然居候
させ、ほのかな恋の予感を持ったり、編集者の若い男に粉かけてみたり。
しかも、彼女は誰のことも本気では好きじゃないみたいなんだよね。

子どものころの話も出てくるのだけど、彼女曰く、全く楽しいことのない子ども時代で親にも愛されず、妹とは不仲。なのに、ずっと母親を働かせて自分はニートだった、なんて…。

今、適齢期なんて言葉さえ死語になっていて、それは同じ価値観で動かなくてもいいじゃない、という意味でいい時代になったなぁ、とホントに思えるのに、そして美々さんもたぶん本気で結婚する気はないみたいなのに、どこか、自分の手に入らないものを斜め目線で欲しがる、という匂いが正直、あんまり好きじゃないなぁ、とこれが正直な感想。

１人で十分満足して生きていける女、がメジャーであるとみなされている現代だけど、やっぱり１人じゃ寂しい・・・ような気がして、あちこちをうろうろ見てしまうんですよ、私、というお話だと思えばいいんだろうか。

2012/01/17

初めて手に取った作家の本。図書館の新作棚に残ってたので借りたが、とても全部を読む気にはなれなかった。編集者の視点にも疑問を持つ。