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カザフ遊牧民の移動 の商品レビュー

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2017/10/29
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2万キロ、20年にわたるカザフ遊牧民の移動。社会人類学を専門とする著者が、資料と当事者からの聞書きを交えて綴る。 ーー本書は、カザフ遊牧民の苦難に満ちた長距離の移動を軸としながら、1930年代から50年代にかけてのユーラシアの一角での同時代史をえがくこころみでもある。ーー著者あとがきより 戦争・革命・冷戦といった大きな歴史の変動とリンクしてしまう彼らの運命に、「ここでそうなるか!」といちいち息を呑みながら読み進んだ本だった。最初のほうは東トルキスタンの独立が絡むことに気づかず、少々理解不足だったと思う。中盤は戦闘と移動の困難の連続で冒険物語のよう。 1996年に取材対象の1人が巡礼先のサウジで、30年前に青海省主席として武力を奮った馬歩芳に行き合うくだりまで来ると感慨深いものがあった。 あとがきにおまけがあって、1993年の取材時に「トルコに骨を埋める」と語った取材対象の老人は、2003年に新生カザフスタンへ集団移住していったのだそうだ。民族主義の現代世界を象徴する出来事のように思える。(トルコへ受け入れられたのもトルコ民族主義ゆえなのだけれど)。 本書は同時代史をえがく試みと言うことだが、あらゆる事柄が現在まで続く問題となっていて、また歴史のおさらいをしたいポイントが増えたのだった。 以下は個人的な興味ポイント ※蒙古自治政府 ※新疆ウイグル政府 ※チベット軍 ※カシミール政府と英領インド政府 ※アルバニアに出自を持つオスマン貴族キョプリュリュ(めずらしく世襲で大宰相を務めた)

Posted byブクログ