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公共哲学からの応答 の商品レビュー

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2015/11/21
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 リップマンは、「言論の自由」」それ自体が目的なのではなく、真実を発見するという望みと意図からのみ、公共的な意義を得るとみなしました。さもないと、言論の自由は、詭弁、宣伝、我田引水、陳情、売り込みなどのごった煮にすぎなくなるからです。それ故にこそ彼は、自由民主主義体制下を維持するために、「公共の作法」という倫理に基づく社会運営を提唱したのです。この考えは、以前のリップマンのエリート主義よりも、一般市民を重視する立場への転換と言ってよいでしょう。(p.83)  ポスト3.11の諸問題に対応するためには、学際的論議だけではなく、その結果を「政策に反映」させるような「学際的な協働」も必要となります。津波で壊滅的な被害をお受けた街や経済をどう立て直すのか、被曝で食べられなくなった農産物被害にどう対処するのかなどの緊急課題は、タコツボ的な専門主義では対処できません。それには、震災現場で活動する人々とフィールドアップするような「現状分析」と、善き公正な社会についての「ヴィジョン」と、実際に政治を動かすことができるような「政策」とリンクさせるような、学際的な学問理念が必要となってきます。(p.124)  公共的想像力とは、「他者と分かち合えるイメージの喚起力」に他なりません。  公共的想像力は、理想とすべき社会のヴィジョンを思い描くのにも必要とされますし、身近でない世界で現実に起こっている公共悪や災禍、さらには近い将来起こりうる公共悪や災禍などをイメージして思い浮かべる大切な能力です。(pp.133-4)

Posted byブクログ

2014/06/15

提示された活私開公、滅私開公という概念は、まだ練りきれていない印象。他者の考えに対する批判や同意が続くのみで、著者の提示したビジョンを深めるレベルには至っていない。

Posted byブクログ

2012/06/10

技術者というのは、大きな組織に属していてもやはり個人の個性というものが非常に大きな意味を持つし、その個性というのは、単に自己を表現するということではなくて、ある種、公的な性格を持ち、どこかで公益という大きなものにつながっている。 ヘーゲルによれば、複雑化した社会システムのなかでの...

技術者というのは、大きな組織に属していてもやはり個人の個性というものが非常に大きな意味を持つし、その個性というのは、単に自己を表現するということではなくて、ある種、公的な性格を持ち、どこかで公益という大きなものにつながっている。 ヘーゲルによれば、複雑化した社会システムのなかでの適切な公共政策の実施は、国家の優秀な官僚の手に委ねざるを得ない。社会的不平等を乗り越えて、公共の福祉を反映した政策を作り出せるのは、利益団体の代表者から成り、特殊な利益の追求に走りがちな議会の議員たちよりも、むしろ、国家機構に関する包括的な知識と洞察力をベースにして職務に当たる官僚。官僚は、合法性と知性という点で、国家の柱石である。 リップマンは、適切な政治的判断力を持った公衆がもはや現実として存在しないという分析と、そういう事態への処方箋は、情報のインサイダーである、プロのエキスパート集団に政治の担い手を託し、一般市民はその監視役に回るというエリート主義的な提案をしている。 ハーバーマスは、民主主義的な世俗の市民社会において、宗教的言語をてきるだけ世俗的な公共言語へ翻訳する必要性と、自分が拒否する世界観も受け入れるだけの寛容の精神が必要だと主張している。

Posted byブクログ

2012/01/27

3.11の衝撃のあと、現下で起こっている公共的諸問題を市民がともに考えていくための多くの示唆が得られる。

Posted byブクログ