命題コレクション 社会学 の商品レビュー
◆「社会学の文章を書いたり、考え方を身につけたりするには・・・便利」:出口剛司『大学4年間の社会学が10時間でざっと学べる』角川文庫(2022)巻末「読書案内」より
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学生時代に大学の生協で何気なく見つけた本だ。かなりのロングセラーとなってたのは知っていたが、まさか文庫化されるとは思わなかった。それだけ高い評価を得たということだろう。 概説書というものは総じて無味乾燥なもので、一通りその学問分野を学習し終えた者が、復習したり全体の見通しをつけ...
学生時代に大学の生協で何気なく見つけた本だ。かなりのロングセラーとなってたのは知っていたが、まさか文庫化されるとは思わなかった。それだけ高い評価を得たということだろう。 概説書というものは総じて無味乾燥なもので、一通りその学問分野を学習し終えた者が、復習したり全体の見通しをつけたりするにはよいが、初学者にとって適切なものは案外少ない。◯◯学とは何か、から始まって、基礎概念と学説史の退屈な解説が延々と続き、試験対策としてやむなく読むのでない限り中途で投げ出してしまうのがオチだ。 本書は社会学の歴史の中で受け継がれてきた著名な命題から、できるだけ面白いもの、例えば「預言は自己成就する」(マートン)、「あらゆる組織は寡頭制に向かう」(ミヘルズ)等を選び出し、数ページのコンパクトな解説を付していくという従来の入門書にない斬新なスタイルをとる。興味を持った命題から順不同で読み進められるし、何より厄介な予備知識が不要で、初学者が具体的なイメージを持ちやすいという利点が大きい。それでいて、さりげなく学説史的な位置づけを盛り込んだ秀逸な解説が揃っており、決してレベルは低くない。よく練られた編集方針がうかがえ、院試対策に最適というのももっともだ。本書のヒットを受けて哲学と経済学でも同じ企画が続いたくらいで、まさに企画の勝利と言える名著である。より広範な読者層を得て長く読み継がれることを期待したい。
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様々な概念がコンパクトにまとまっていて便利。 私はラベリング理論やマイノリティについて当時から興味があったので、その辺りが一番面白く感じました。
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本書では社会学の主要な命題が48個収録されている。それを提唱した社会学社の紹介とともに、それぞれの命題につき7〜8ページの解説がなされる。この48個を読むことで社会学の発想や問題意識、パースペクティブがわかるという仕掛け。初版は1986年なので近年の動向や最新の論点はカバーされて...
本書では社会学の主要な命題が48個収録されている。それを提唱した社会学社の紹介とともに、それぞれの命題につき7〜8ページの解説がなされる。この48個を読むことで社会学の発想や問題意識、パースペクティブがわかるという仕掛け。初版は1986年なので近年の動向や最新の論点はカバーされてはいないが、典型的な論点を学ぶには手軽で信頼できる。そのことは今でも大学院入試の参考書として参照されていることからもわかる。 パラパラめくって自分の関心のある命題をつまみ読むのが楽しそうだけど、いきなり初学者にはちょっと難しい。他の入門テキストを1冊読んでからのほうがいいと思う。
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人間に内在する社会的性向、行為の社会的意味づけ、集団や組織の形成とその生態、社会へと構築されていく仕掛けと社会システムの構造、歴史の流れのなかでの社会の発展・・などについて、数世紀にわたり格闘してきた先達による「命題」のカタログ(および解説)の形で、社会学の鳥瞰図を、たった150...
人間に内在する社会的性向、行為の社会的意味づけ、集団や組織の形成とその生態、社会へと構築されていく仕掛けと社会システムの構造、歴史の流れのなかでの社会の発展・・などについて、数世紀にわたり格闘してきた先達による「命題」のカタログ(および解説)の形で、社会学の鳥瞰図を、たった1500円で手に入れることができる。学徒を志すわけでもない一般読者としては読むのに骨は折れるが、世の中を見渡す力を少しでも得たいと思うのなら、通読を試み、さらにこの分野の底知れない拡がりに慄きつつ一つづつの道に分け入ってみるのもいいだろう。 こんな本があれば、「私も(今からでもいいから)社会学者になりたい」、と思う人が増えそうだ。とりわけ、「大衆」とは何か、「世論」とは何かについて、自発的疑問を抱く人が増えた3.11以降のこの現在において。 そういえば、作田先生は著名な学者だと、新入生向けパンフの科目選択アドバイスに書いてあったたことを思い出した。教養課程で「社会学」の講義をやっていたんだったか・・。
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