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夜明け前 の商品レビュー

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2018/05/18

初代日本ペンクラブ会長 木曽馬籠宿本陣の跡取り息子 木曽妻籠宿本陣の娘 国学に傾倒する半蔵を憂慮する 木曽路はすべて山の中である 黒船 浦賀 王政復古 ついに長州藩は謀反をおこし 池田屋の変 伊那 飯田 尊王と攘夷を切り離して考える時がやって来た 徳永慶喜 朝廷に大政奉還 戊辰戦...

初代日本ペンクラブ会長 木曽馬籠宿本陣の跡取り息子 木曽妻籠宿本陣の娘 国学に傾倒する半蔵を憂慮する 木曽路はすべて山の中である 黒船 浦賀 王政復古 ついに長州藩は謀反をおこし 池田屋の変 伊那 飯田 尊王と攘夷を切り離して考える時がやって来た 徳永慶喜 朝廷に大政奉還 戊辰戦争 木曽福島関所 晒し首 木曽街道の終点ともいうべき板橋宿 明治と改元 会津 中津川へ集結 版籍奉還 総髪→散切り頭=髷を落とした短髪 新国家建設を成し遂げた人々は六年後には征韓論を巡ってその朋友と争うことになったのである 箒星 祭葬 旅籠はたご 本居宣長翁 帝の行列に扇子を投げて 気狂い 座敷牢 日本の夜はいつ明けるのか?

Posted byブクログ

2012/09/19

★この世で過ぎ去らないものは無い せめてその中で誠を残したい 島崎藤村の生まれ故郷=中仙道は木曾の馬籠宿が舞台の大長編小説で、父親の島崎正樹(小説中では青山半蔵)の生涯をたどりつつも明治維新の時代のおよそ30年の激動の様相を描いた大傑作。 主人公・半蔵は、17代続いた馬籠宿で...

★この世で過ぎ去らないものは無い せめてその中で誠を残したい 島崎藤村の生まれ故郷=中仙道は木曾の馬籠宿が舞台の大長編小説で、父親の島崎正樹(小説中では青山半蔵)の生涯をたどりつつも明治維新の時代のおよそ30年の激動の様相を描いた大傑作。 主人公・半蔵は、17代続いた馬籠宿で本陣・庄屋の当主に収まらず、心酔する平田派の国学から尊皇攘夷への激情著しく、至り来る明治維新に待望の王政復古を確信してじっとしておられない。残念ながら急速な文明開化の慌ただしさに夢を壊された彼は、絶望して流浪の果て狂人と化し、56歳で憐れ座敷牢の露と消える。 この本がどれだけ名作かというと、評論家のわが篠田一士は『二十世紀の十大小説』の中でプルーストの『失われた時を求めて』やカフカの『城』やフォークナーの『アブロム、アブサロム!』やガルシア・マルケスの『百年の孤独』と並べて本書を選んでいるほどなのです。 もちろん我が原型を形作るのはまぎれもなく芥川龍之介であり筒井康隆であるのですが、やはりどうしても島崎藤村と佐藤春夫は、見落とせない今も身体の一部分として私の中に存在する核心であると思っていますが、いかに小中学時代に心酔し読破したとはいえ、その年齢相応の欠落というものがあるものなんだなあと、つくづく感じました。 それは彼の『新生 』前編・後編(岩波文庫)という小説についてですが、島崎藤村全集は、たしか筑摩書房の12、3巻すべてを読んだつもりでいましたが、考えるまでもなく、子供にとって不倫とかの話が記憶に残る訳がありませんよね。 道徳ある人格者と目されていた島崎藤村が、こともあろうか、妻子ある身で姪と肉体関係を結んでいることを小説で告白するという、前代未聞のとんでもないことをやってしまった、これだけでも今でもかなりスキャンダラスな行為なのですが、それを1919年ですから93年前、大正8年に暴露したのですから、びっくり仰天です。 しかし、これが単なる渡辺淳一のような艶めかしい不倫ものなんかではなくて、りっぱに堂々たる文学的昇華がなされた苦悩する美しい文学作品として成立しているから、またまたよけい驚くではありませんか。 なるほど、優れた小説家というものは一日にして成るものではなく、こうして日々努力して、女房を捨てたり不倫したりして芸の肥やしにして、自ら自覚して成るものなのだなあと、しみじみ思い知りました。

Posted byブクログ