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お伊勢参り ごくらく道中 の商品レビュー

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時代官能小説の誘惑作品もまた面白い

きちんと確認していないが、もしかしたら「時代艶文庫」初の誘惑作品ではなかろうか。時代官能小説の典型的な要素を程良く盛り込みつつシンプルなストーリーで読みやすい作品となっている。現代モノならフツーの会話でも時代がかると(良い意味で)滑稽さが出て面白い。特に本作では大胆だったり恥じら...

きちんと確認していないが、もしかしたら「時代艶文庫」初の誘惑作品ではなかろうか。時代官能小説の典型的な要素を程良く盛り込みつつシンプルなストーリーで読みやすい作品となっている。現代モノならフツーの会話でも時代がかると(良い意味で)滑稽さが出て面白い。特に本作では大胆だったり恥じらったりしながらも主人公を誘惑するので、時に笑えるような展開が見て取れる。 そして、その大胆で自由度の高い義母と、気が強くてツンデレ気味に恥じらう義姉というヒロインの設定や官能要素の密度などは芳川作品の真骨頂があって上質である。このキャラ設定に時代モノならではの背景をきちんと踏まえている点も見逃せず、前半から割と早くに官能描写が出てくるのも高得点。 ただ、後半に出てくる時代モノらしい展開と第3のヒロインについては賛否が分かれるかもしれない。賛否と言うのは大袈裟だし、生娘との合体を盛り込む意図もあっただろうし、何より時代官能小説としてフックを効かせる面もあったとは思うが、この要素を義母か義姉が兼ねてもよかったかな?という気がしないでもなく。しかし、この後半もまた、程良いバランスと言えるもので、優しさが透けて見える内容ではあった。結局は多人数ヒロインよりも2人くらいのヒロインで濃密なのが読みたいということに帰結するのだが……。 結末の、突然幕が降りた(落ちた?)ような唐突な性急さもまた何とも言えない読後感を醸してはいるが、全体としては楽しませてもらった作品と言える。続編の可能性があるのならば期待したい。

DSK