日本よ、浮上せよ! の商品レビュー
チャーチルを敬愛する村上水軍の末裔(下)《赤松正雄の読書録ブログ》 ただ、今は今でそれなりのスケールの指導者が出て欲しい。そう思う人は多かろう。そうした折りも折り、村上誠一郎+21世紀戦略研究室『日本よ、浮上せよ!』が手元に届いた。彼は自民党の次代を担うリーダーの一人。この本...
チャーチルを敬愛する村上水軍の末裔(下)《赤松正雄の読書録ブログ》 ただ、今は今でそれなりのスケールの指導者が出て欲しい。そう思う人は多かろう。そうした折りも折り、村上誠一郎+21世紀戦略研究室『日本よ、浮上せよ!』が手元に届いた。彼は自民党の次代を担うリーダーの一人。この本を一読していると、まさに序文にチャーチルの有名な言葉が目に飛び込んできた。「民主主義は最悪の政治形態と言える。ただしこれまで試されてきたいかなる政治制度を除けば」が紹介されている。敬愛する英国の政治家のものとして。ここでは、21世紀を生き抜くための具体的戦略が12の章だての下に提示されており、それぞれに興味深い。また、「人口爆発」と「資源の枯渇」を21のキーワードとして解き明かす第二編は迫力がある。 彼の魅力は魂のこもった言葉を遠慮会釈なく発するところにある。今回の福島第一原発の事故対応で、この人ほど迫力ある言い回しで、政府を追及した政治家はいない。最終章で、生死を度外視して何かを成し遂げる心構えこそ大切だ、との吉田松陰の言葉を、自身の若き日に感銘を受けたものとしてあげている。この人なら、そういう心構えが身についているに違いないと思わせる数少ない政治家だ。 また、最末尾で、宮沢賢治の『農民芸術概論』における「世界全体が幸福にならないうちは、個人の幸福はありえない」をあげ、「リーダーや政治家、もちろん私にとっても、ずしりと重く響く言葉なのである」と結んでいる。この言葉、実は公明党の立党の頃のキャッチフレーズである「社会の繁栄と個人の幸せが一致する社会」と酷似している。宮沢賢治が法華経の著名な信者であることとも無縁でないかもしれない。こう書いてきて、村上氏の著書には、公明党に触れたところが全くないのに気づいた。画竜点睛を欠くと言うと、言い過ぎだろうか。 村上水軍の末裔たる彼の家の代々の教育方針が水泳のスパルタ教育で子どもを鍛えることにあったとのくだりは面白い。「私は十八代の当主となるが、物心つくと海に放り込まれた。今でも10キロメートル泳げと言われれば、すぐに泳ぐことができるはずだ」と。驚いた。彼は間違いなく国会議員随一の巨漢だ。120キロはあろう。とても、と思ったら、すぐあとに「いや、言いすぎた。浮くことはできるだろう」とあった。笑った。 好漢惜しむらくは太り過ぎと言ったら目をむいて怒るかも。大成を期すには是非とも健康に気をつけられたい、と心から思う。
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