銀盤のトレース age15転機 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
フィギュアスケートを題材にした小説が珍しかったことと、名古屋が舞台ということで(私の出身が愛知県なので…)手に取ったこの本。主人公が家族やコーチ達に支えられながら、ライバル達の思いを背負いながら、心身ともに成長していく物語で、全く奇をてらっていない王道中の王道という印象。 悪く言えばありきたりなのかも知れませんが、フィギュアという題材が新鮮で興味津々だったことと、非常にテンポの速い展開でサクサク読めたことなどもあって、なかなか心地よい読了感がありました。 内容と読みやすさの点から、主人公の年齢に近い中高生が読むのに最適な内容だと思いました。
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(No.11-91) 「銀盤のトレース」の続編です。 内容紹介を、表紙裏から転載します。 『怪我、進学、心身の変化、スケート少女の転機と成長! 中3の秋、竹中朱里は試合中のジャンプの失敗で足首を骨折。しかし数ヶ月のリハビリ期間に猛勉強し、名古屋のスポーツ強豪進学校に合格した。...
(No.11-91) 「銀盤のトレース」の続編です。 内容紹介を、表紙裏から転載します。 『怪我、進学、心身の変化、スケート少女の転機と成長! 中3の秋、竹中朱里は試合中のジャンプの失敗で足首を骨折。しかし数ヶ月のリハビリ期間に猛勉強し、名古屋のスポーツ強豪進学校に合格した。フィギュアスケート部でライバル達と切磋琢磨の日々を送るが、怪我で芽生えた恐怖心を拭うため、ある重大な決断をする。 競技と勉強の両立、家族やコーチ、仲間との関係などを活写した青春フィギュアスケート小説の傑作!』 実は私は「銀盤のトレース」より先にこっちを読んだのです。というか、前作を知らなかった。これを読んでから調べて、だから題名に age15 転機 って付いてるんだと分かりました。 前作では小学生だった朱里は中3になり、進学先のことで悩みます。公立中学に3年間通ったことはかなり大変でした。学校は少しは配慮してくれましたが、公立校なのでそれほど特別に扱ってはもらえないし、浮いてるというか沈んでるというか、別にイジメられてるわけではないけれど忙しすぎて学校では友達もできません。友達はやはりスケート仲間です。高校でもスケートを続けるつもりなら、公立では不可能です。 でも普通に私立高校へ行くのはお金の面で朱里には遠慮がありました。姉の瑠璃は本当は私立に行きたかったのに、結局公立に進学しました。朱里のスケートにお金がかかることが分かっていたから。 だから朱里はスポーツ推薦で授業料免除で入れる私立にしようと考えます。でも本当は朱里の実績ではスポーツ推薦の対象にならない、もっと難易度が高い私立に入りたいのです。でもそのためには学力が足りないし、学費の問題もあります。 学費のことで遠慮することはないと朱里に言ってくれたのは、瑠璃でした。自分は今の高校に入って良かった、生活は充実している、だから遠慮しないでと。 さあ、足りない学力を何とか頑張らなくては! 別にスポーツをやってなくても、高校選びは大変です。大学はどうしてもダメならやり直しが出来るけれど、高校のやり直しはすごく難しいもの。 これを読んで、才能や実力ももちろん必要だけれど、環境や指導者がどれほど大切かを感じました。 どんなに良い環境や指導者に恵まれてもそれ以上伸びない選手もいるでしょうが、指導者や練習環境が良ければどんどん進歩する可能性がある。 才能があると見込まれた選手にはさらにそれが与えられ、そうでない選手と差が開いていく。厳しいですね。朱里は身体の使い方など今まで教えてもらっていなかったことを知り、トップクラスの選手は、すでに中学からそういう練習をやってきたことにショックを受けます。 上を目指すのなら、今出来る一番いいところに食い込むことが大切だってことですね。朱里の判断は間違ってなかった! 一時ギクシャクした瑠璃と朱里は、また以前のような仲良し姉妹になれました。瑠璃もフィギュアスケートをやっていたことが今やっていることにプラスになっていて、良かったなと思いました。 この本はフィギュアスケートファンなら嬉しくなるようなプレゼントが付いてます。伊藤みどりさんの解説が8ページもあるんですよ!小説のことだけじゃなく、ご本人のこともいろいろ書かれています。 これだけでもちゃんとひとつの話になっているので、前作にこだわらずこれから読んでもかまわないと思います。 私は最初にこっちを読みましたが、ちゃんと面白く読めました。
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