執事とメイドの裏表 の商品レビュー
知りたかったことがスッキリわかった本なので、星5つ。 少し前の時代のイギリスを知りたくてチョイス。特に裏方の仕事に興味があり本屋で背表紙見て即買い。 というわけで貴族の家の使用人の仕事が役職毎に分かれて説明されている本です。それにまつわる既存の本の一文もふんだんに引用されて...
知りたかったことがスッキリわかった本なので、星5つ。 少し前の時代のイギリスを知りたくてチョイス。特に裏方の仕事に興味があり本屋で背表紙見て即買い。 というわけで貴族の家の使用人の仕事が役職毎に分かれて説明されている本です。それにまつわる既存の本の一文もふんだんに引用されていてわかりやすいし、そちらの物語も読みたくなる。…現に買った本がある。なかなか商売上手な作者さま。 今では想像できない職場環境と人間関係だし、今は機械に取って代わられた職種や絶滅した職種も本書にはあり、自分の今の生活も時代ですぐに変容するんだろうなと思うと、あまり小さな事で立ち止まらずに行くのが正解と思えた本です。
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文学作品中の執事やメイド、料理人や乳母に関する言説を通して、イギリスの使用人の世界を描く。 使用人が一般的にどのように認識されていたのか垣間見られる面白い一冊だった。
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タイトルには「執事とメイドの」とあるが、実際には 1章 執事 2章ハウスキーパー 3章料理人 4章メイド 5章従僕と下男 6章乳母 の章立てにあるように、イギリスの中流〜上流階級にいた主な使用人達に等しく焦点が当てられている。 その内容は使用人達の役割・仕事の概要に加え、 当時...
タイトルには「執事とメイドの」とあるが、実際には 1章 執事 2章ハウスキーパー 3章料理人 4章メイド 5章従僕と下男 6章乳母 の章立てにあるように、イギリスの中流〜上流階級にいた主な使用人達に等しく焦点が当てられている。 その内容は使用人達の役割・仕事の概要に加え、 当時の手引書や読み物、後世の種々の作品における描かれ方を引用しまた実際の働き方を解説することで、 「どのような仕事を」 (主人や他の使用人と)「どのような関係性で」行い、 その役割が「どのように変化してきたのか」について 説明しようとしている本である。 執事を例にこの本の使い方を説明するならば、 キャラクターとしての「執事」のテンプレを知りたい人にとっての解説書や一種のブックリストになるだろう。 (どういうタイプの人が執事になる?良い執事の条件とは?他の使用人についてどんな態度をとっている?主人のことはどう思っている?若い主人に仕える際どんなことを心配しているのか?上昇志向をもっているのか?) 十分な記載があるものの、使用人達の住み分けやメイドの役割分担などを体系的にまとめることを目的とした本ではないことに注意。 2011年の本なので、日本における諸々のメイドなり執事なりの描き方を念頭に置いた記載もある。(一部だが)
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メイドや執事を一括りにしていたが様々な種類があることに驚いた。 タイトルに「イギリス文化」とあるので他国の使用人の扱いはどういうものなのかを知りたい。
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主としてイギリスの執事・メイドについて書かれた本。 日本でのメイドのイメージはフランスのメイドのものらしい。 メイドには職能によって区分がいくつも分かれており、掃除、調理、洗濯、主人付きなどに分かれていて、それを統括するのがハウス・キーパーとよばれるメイド長ということらしい。...
主としてイギリスの執事・メイドについて書かれた本。 日本でのメイドのイメージはフランスのメイドのものらしい。 メイドには職能によって区分がいくつも分かれており、掃除、調理、洗濯、主人付きなどに分かれていて、それを統括するのがハウス・キーパーとよばれるメイド長ということらしい。 イギリスの上流階級には知識や教養は中層階級が身につけるべきものという意識があり、執事はむしろ主人よりも豊富な知識や教養を身につけていた、というよりそれが義務だったというのも興味深かった。 また、主人(男)と執事が恋仲になることも珍しくはなかったらしい。 貴族の屋敷の中での、各階層のステレオタイプを学ぶにはいい本。
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イギリスの文化に、「使用人」がいかに深くかかわっていたのか。既読のイギリスの物語を思い出し、ああ、そういうことだったのかと膝を打ち、他の物語も何か読みたいとわくわくし、ついでにマンガ「黒執事」のことも思い出し、とても楽しんだ。 文化とか歴史とか、大きな流れのこまごましたところを取...
イギリスの文化に、「使用人」がいかに深くかかわっていたのか。既読のイギリスの物語を思い出し、ああ、そういうことだったのかと膝を打ち、他の物語も何か読みたいとわくわくし、ついでにマンガ「黒執事」のことも思い出し、とても楽しんだ。 文化とか歴史とか、大きな流れのこまごましたところを取り出して丹念に眺めるのは、ほんと面白い。
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十七世紀以降、特に十九世紀~二十世紀初頭を中心として、イギリスの使用人にはどのような職種があり、どのような役割を果たしていたのかを、文献を引きつつ、紹介していく本である。文学作品での使用人の描かれ方を分析し、またアメリカや日本でのイメージの違いから、イギリス文化の特徴を浮き彫りに...
十七世紀以降、特に十九世紀~二十世紀初頭を中心として、イギリスの使用人にはどのような職種があり、どのような役割を果たしていたのかを、文献を引きつつ、紹介していく本である。文学作品での使用人の描かれ方を分析し、またアメリカや日本でのイメージの違いから、イギリス文化の特徴を浮き彫りにしていくことを目的としている。 大別して、「執事」、「ハウスキーパー」、「料理人」、「メイド」、「従僕と下男」、「乳母」にそれぞれ1章が当てられている。 著者が日本人であり、訳書でないこともあってか、さらりと読める。 執事というのは、そもそも、酒をはじめとする飲み物の管理をする人だったのだという。butlerはフランス語のbouteillier(瓶を持つ者)に由来するのだそうだ。使用人の監督をする、私服使用人を指す。日本のドラマやいわゆる「執事喫茶」で執事と呼ばれている、身の回りの世話を細々と焼いてくれる使用人は、従僕のイメージに近いようだ。 使用人が実際の仕事だけでなく、主人の見栄として雇われていた面もあるそうで、なかなか興味深い。「料理人」はフランス人でなくては、とか、「下男」は背が高くふくらはぎの形がよい(!)と給料が高かったとか、小ネタも楽しい。 「乳母」が、乳母としての役割を終えてもハウスキーパーとして残ったり、さらにその子どもの面倒を見ることもあったというあたり、日本の大奥で乳母が出世したのと無縁ではないと思う。恐るべし、乳の力。 頭が空っぽな主人が次第に従僕に支配されていく内容の小説(『召使』(ロビン・モーム))が紹介されていて、いささか慄然とした。ひたひたと忍び寄る怖さがある話だ。 高貴な人があまり諸芸に長けているのは下品だというのは源氏物語でもあったし、古今東西、そういうものなのかもしれない。が、やはりあまり鷹揚に使用人に任せきりになるのも怖いよな・・・。 カズオ・イシグロの『日の名残り』、P.G.ウッドハウスの『ジーヴズ』シリーズ、オースティンの『高慢と偏見』、デュ・モーリアの『レベッカ』、ルイスの『不思議の国のアリス』、トラヴァースの『メアリー・ポピンズ』など、よく知られた作品からの引用も多く、英文学ファンなら、作品の背景を知るという点でも一段と楽しめると思う。 *アガサ・クリスティなんかによく出てくる「コンパニオン(お相手役)」がまったく出てこないのだが、あれは使用人とは違う扱いなのかな・・・? 主人と使用人の間の階級、みたいな感じなんだろうか? 「家庭教師」というのもやはり本書では取り上げられていないが、あれも使用人とはちょっと違うのかな・・・? そのあたりは、別の本を読まないと、というところでしょうか。
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今日の日本において「執事喫茶」や「メイド喫茶」は、(賛否はともかくとして)ある程度の知名度を得るまでになっている。しかし、そもそも「執事」や「メイド」というのは、どのような職業であったのだろうか。本書は、その源流を探るべく、本場である英国における「執事」や「メイド」の実態とイメー...
今日の日本において「執事喫茶」や「メイド喫茶」は、(賛否はともかくとして)ある程度の知名度を得るまでになっている。しかし、そもそも「執事」や「メイド」というのは、どのような職業であったのだろうか。本書は、その源流を探るべく、本場である英国における「執事」や「メイド」の実態とイメージ(小説や児童文学で描かれる姿)を論じたものである。 そこから浮かび上がってくるのは、一筋縄ではいかない、主人と使用人との複雑な主従関係である。主人側は、階級では圧倒的に上位でありながら、その生活のほぼ全てを使用人に依存していた。そのため、両者の関係は単なる支配-被支配という関係ではなく、使用人が主人に反抗することは珍しいことではなかったし、時には主人以上に力を持つことさえあったという。しかし、同時に両者の間には「階級」という壁が存在しており、使用人にとって、それは正に“超えられない壁”であった。 本書は、このような使用人の実態とイメージを、様々な逸話や風刺画を交えながら紹介する。これらのエピソードを読むだけでも、勉強になるし、単純に読み物としても面白い一冊であった。 ※追記 ただ、一点だけ批判(めいたもの)を述べると、このような複雑ながらも面白い社会を成立させていた背景には、英国特有の「階級意識」があった。しかし、この英国における「階級」の説明については、本書の記述は必ずしも多くの頁を割いているわけではない。この点については、過去に著者自身が別の本(『階級にとりつかれた人びと』、中公新書、2001年-但し、私は未読)で論じているようなので、そちらを参考にする必要があるだろう。
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