地球について、まだわかっていないこと の商品レビュー
本書は,自分から読もうと思って手に入れたわけではなく,メルカリで買ったときに,欲しかった一冊(『「地球システム」を科学する』)とセットになって販売していて(しかも安かったので),手に入れたものです。 出版社も『地球システム』と同じベレ出版。内容も,『地球システム』とかぶるとこ...
本書は,自分から読もうと思って手に入れたわけではなく,メルカリで買ったときに,欲しかった一冊(『「地球システム」を科学する』)とセットになって販売していて(しかも安かったので),手に入れたものです。 出版社も『地球システム』と同じベレ出版。内容も,『地球システム』とかぶるところもあります。ただ,本書が言いたいことは「科学じゃ分かっていないこともまだあるよ」「人類は,それを踏まえた上で前進しないとね」というメッセージです。 著者は,科学で分かったことを紹介している教科書ばかり読んでいることの欠点を指摘しています。 (学校の教科書だけ読んでいると…)子供達は自然のことはもう解明できていると思ってしまうかもしれません。これは無批判な科学信仰につながります。でも逆にこれは,少しでも科学で説明できないことがあることがわかると,それだけで「科学不信」に裏返ってしまう可能性があるということです。あるいは表面的に科学を装う似非(疑似)科学(たとえばマイナスイオンとか)に簡単に魅了されてしまうという場合もあります。(本書「おわりに」p.269) 著者は,第12章で,他の章の数倍のページ数を費やして「原発問題」について書いています。本書が発行されたのがちょうど2011年のあの事故のあとです。日本の原発ほど「絶対安全」という神話が(大量の税金を費やして)流布されたのを他に知りません。有名大学の科学者たちがよってたかって「日本(と限定するのがスゴイ)の原発は絶対安全」と言ってきたのです。そのあげくが,今の状態です。著者にとっても,この事故・事実は大きなものだったのだと思います。 本書の発行から10年。今また,原発の安全神話がヒタヒタと広がっています。経済という名で,あるいは温暖化を防止するという名で…。似非科学は,いつどこからでもやってきます。 「わからないことはわからないと言おう」とは,わたしの尊敬する板倉聖宣氏の言葉。わからないのにわかったふりをする優等生になってはいけません。次,なにかが起こったときには,もっと大きな被害が出ることでしょう。 ちょうど,昨日,「泊原発差し止め」の判断が札幌地方裁判所で下されました。日本では「想定外のことが起きる(科学で分かったと思っていた以上のことが起きる)」。なにが起きるか分からないのですから,危険なものは扱わないのに限ります。でもこんなこと書くと,必ず反論されるんですよね。「じゃあ,お前は,車が事故を起こす危険な機械だからと言って車に乗らないのか!」ってね。あなたはこれに,どう反論します。それこそ,科学的な考え方をどう適用するのかというレベルの話ですよね。
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太陽から原発まで、地球科学を中心に丁寧に説明された良書。 その中でも「こんなにも明らかになっていないことが多いんですよ」と表題の通り著述が進みます。 こんなに科学が発展しても謎は減らない、むしろ増える一方であるという当たり前のことを、様々な事象に着目して訴えかけてくれます。
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表紙がきれいで、図書館で借りて読みました。 高校生でもわかる説明で、 一気に読むことができました。 まだわからないことだらけで、 将来はこういったことを解明できたらなあと 夢をもつことができました。
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地球について、科学的にわかっている事を具体的に説明する手法で、わからない事を明確に、明快に解説している、わかりやすい良い本だと思います。日本政府や原子力ムラが今までとってきた、わからないものは安全という、わけのわからない理論に対する、強烈な皮肉にもなっていると思います。 面白かっ...
地球について、科学的にわかっている事を具体的に説明する手法で、わからない事を明確に、明快に解説している、わかりやすい良い本だと思います。日本政府や原子力ムラが今までとってきた、わからないものは安全という、わけのわからない理論に対する、強烈な皮肉にもなっていると思います。 面白かった節を幾つか抜き出すと、地震予知はできない、二酸化炭素の増加と温暖化の関係、石油の採掘可能年数 、継続的な低線量被曝の影響、原発は地球温暖化防止に役立っているのか?、放射線廃棄物をどうするか?地球に定員はあるのか?などなど、かなり盛り沢山な入門書だと思います。麻布中学・高校の先生。なるほど。
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私たちはまだなーんにも知らないんだ、それってすごいことだ。 宇宙や自然を解説した本を読んでいると、つい、今はこんなことまでわかっちゃうんだ、もう私の思考のついていける範囲でわからないことなんてないのだなぁ、と思ってしまっていたけれど、まだまだわかっていないことはいっぱいあったら...
私たちはまだなーんにも知らないんだ、それってすごいことだ。 宇宙や自然を解説した本を読んでいると、つい、今はこんなことまでわかっちゃうんだ、もう私の思考のついていける範囲でわからないことなんてないのだなぁ、と思ってしまっていたけれど、まだまだわかっていないことはいっぱいあったらしい。 わからないことが存在するということは、不安やいらだちの原因ともなるけれど、同時にわくわくすることでもある。 ・最初の生命はどうやって生まれたのか ・生物の大量絶滅はなぜ起こったのか、また生き残った生物はなぜ生き残れたのか ・地球のプレート運動の原動力は何か ・地球には、氷河期、無氷河期、全球凍結という環境変化があったらしい。それがどんな要因で変化してきたのかわからない。そして今後どうなっていくのかわからない ・地球温暖化は本当に人類が原因なのかわからない。また温暖化の予測にしても不確定要素が大変多い。 ・原子力の諸問題、そして放射性廃棄物をどうするか ・人類の生産して良いエネルギー量について、地球の定員について 作者のホームページ http://www.s-yamaga.jp/index.htm
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
地球について分かっていないことを書いている、大変興味をそそる本。麻布中学・高校の教諭が著者。個人のWebページが圧巻。 http://www.s-yamaga.jp/nanimono/nanimono-hyoushi.htm
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多くの書籍がわかったことをメインに書かれている中、 この本は何がわかっていないことかを中心に書かれています。 なので、一般向けの優しい地球科学の本ではありますが、 入門編ではありません。 章末には、その章で扱ったテーマの「わかっていないこと」が 簡潔にまとめられていて、頭を整理...
多くの書籍がわかったことをメインに書かれている中、 この本は何がわかっていないことかを中心に書かれています。 なので、一般向けの優しい地球科学の本ではありますが、 入門編ではありません。 章末には、その章で扱ったテーマの「わかっていないこと」が 簡潔にまとめられていて、頭を整理するのに役立ちますね。 学校の教科書はほとんどわかったことしか書かれていません。 もちろんそれが最優先ではあるのでしょうが、 過程をすっぽかして結果だけ書いたのでは科学ではありません。 それに、科学万能思想に陥りがちです。 もう未解決なことなどないと。 それは自然に対する謙虚な心さえも失わせてしまいがちです。 一方、わかっていないことばかりを書くと、 科学不信に傾いてしまう恐れもあります。 疑うことは大切ですが、むやみやたらでは困ります。 バランスが大事ですね。 後半は、地球温暖化や原子力、 地球の人口問題へと話題が広がっています。 学問を分野で区切って議論を狭めてしまうことはよくないですが、 ちょっと外れてしまっているかな、という感も否めません。 筆者の専門からも外れるでしょうし、 主観も入らざるをえません。 一般向けの書籍としては踏み込みすぎているかもしれません。 地球科学の範疇である事柄もありますから、 一概には否定できませんが。
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著者は麻布中高の理科教諭。地球科学の話題を広く紹介。月の起源,海水の起源,生命の誕生と進化,大量絶滅,プレートテクトニクス,地震,気候変動などなど。 それにしても第12章の「原子力の諸問題について」は異色。「地球について」からはだいぶ離れてるようだけど,一番熱っぽく語ってる。...
著者は麻布中高の理科教諭。地球科学の話題を広く紹介。月の起源,海水の起源,生命の誕生と進化,大量絶滅,プレートテクトニクス,地震,気候変動などなど。 それにしても第12章の「原子力の諸問題について」は異色。「地球について」からはだいぶ離れてるようだけど,一番熱っぽく語ってる。低線量被曝の影響とか,放射性廃棄物をどうすればよいか,原発のコストは?とか「まだわかっていないこと」をいろいろ挙げてる。 まあ,人間と地球の関係を考えると,確かに原子力の話題は避けて通れない問題。続く第13章の「地球の定員について」では,太陽定数や耕地面積から地球が支えられる人口がどれほどか,大雑把に試算している。結論は結局よくわからないということになるんだけど。
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人間がまだ理解できていないことはたくさんある。自然に対する謙虚さを失ってはいけない。 そして、広い視野に立って物事を見る事の重要さを再認識させられた。 本部長の推薦図書だけあって、面白かった!
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