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物語論 の商品レビュー

3.6

35件のお客様レビュー

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2011/11/29

17人の創作者が、それぞれの物語を紡ぐ過程を語っているのだが、私は小説家のインタビューが興味深かった。17人のうち、7人が小説家である。村上春樹、橋本治、島田雅彦、桜庭一樹、平野啓一郎、伊坂幸太郎といった錚々たるメンバーであったが、最も興味深く面白かったのは伊坂幸太郎さんのインタ...

17人の創作者が、それぞれの物語を紡ぐ過程を語っているのだが、私は小説家のインタビューが興味深かった。17人のうち、7人が小説家である。村上春樹、橋本治、島田雅彦、桜庭一樹、平野啓一郎、伊坂幸太郎といった錚々たるメンバーであったが、最も興味深く面白かったのは伊坂幸太郎さんのインタビューであった。(分量も一番多い)一部は既読ではあったが、まとめて読むとよりいっそう伊坂さんの考え方がわかって面白い。 小説家以外では、漫画家が4人(荒木飛呂彦、かわぐちかいじ、弘兼憲史、うえやまとち)、雑誌編集者として渋谷陽一、ウェブデザイナーの中村勇吾、音楽プロデューサー根岸孝旨、ヴァイオリニストの諏訪内晶子、現代美術家の杉本博司、映画監督の是枝裕和、と実に多方面にわたる。 どの人にもその人なりのこだわりがあったり、方法論があったりで、すべて読むと、正解というのはひとつではないのだということがよくわかる。 人の数だけ方法があり答えがあるのだろう。 私には大きな物語を紡ぐことはできないので、世界に何かを問いかけたり、社会を変えていくようなことは書けないけれども、そのことを残念に思うこともないのかなと思う。 自分が読みたいと思うものを書く、ということは、自己満足と紙一重ではあるけれども、やはり物語ることの根本はそこなのかもしれないと思うのだ。 あの村上春樹さんですら、30年小説を書いてきて、まだまだ発展途上だと語っている。この言葉は、目が眩むような思いもするけれども、なにかしら勇気づけられる言葉でもある。 創作をするものはすべて、今日より明日、明日より明後日、もっともっと納得のいくものを作り出したいと願い続けるものなのだろう。私もかくありたいと願う。

Posted byブクログ

2011/11/29

小説家や漫画家など、17人がインタビューで語った「物語を創っていく過程」をまとめた一冊。名前を聞いたことがある人だと、伊坂幸太郎、村上春樹、荒木飛呂彦などの話が載っています。 この本は、私の期待通り! 各人が、どういうことを考えて、どういうことに気をつけて物語を創っていくかが...

小説家や漫画家など、17人がインタビューで語った「物語を創っていく過程」をまとめた一冊。名前を聞いたことがある人だと、伊坂幸太郎、村上春樹、荒木飛呂彦などの話が載っています。 この本は、私の期待通り! 各人が、どういうことを考えて、どういうことに気をつけて物語を創っていくかが語られていて、なるほどな、と思うことが多かったです。 「自分には物語の創り方なんて関係ない」と思っている人もいるかもしれませんが、私はそう考えてはいません。むしろ大アリではないかと。 なぜなら、物語は「伝える」ために書かれているからです。この本の中身は物語を書くうえで必要なこと、だけれど、それを読み換えれば、アウトプットをするときに気をつけること、でもあると思います。 そう考えると、各分野で最先端にいる人達のアウトプットのコツが垣間見られるわけですから、これが面白くないはずがない。色々と参考にしたい話を沢山収穫できました(^^) 興味があったら、是非ご一読を。

Posted byブクログ

2011/11/28

「物語の風呂敷は、畳む過程がいちばんつまらない」(伊坂幸太郎/小説家) ・「動きのデッサン作業」 ・意味はないけどニヤニヤできるところって、いいですよね。 ・「そりゃあそうだよ。何でもできるんだからね、小説は。書けば、そうなるんだから」 ・でも、もしも、殺し屋なんていう非現実的...

「物語の風呂敷は、畳む過程がいちばんつまらない」(伊坂幸太郎/小説家) ・「動きのデッサン作業」 ・意味はないけどニヤニヤできるところって、いいですよね。 ・「そりゃあそうだよ。何でもできるんだからね、小説は。書けば、そうなるんだから」 ・でも、もしも、殺し屋なんていう非現実的な職業の人たちについての話を、五十歳ぐらいの、社会経験もっかりある大人たちが本気で夢中になれるのだたら、それはそれでかなり素敵なことじゃないですか。 ・フィクションの中で!まったくのウソ、つまり非現実的な作りごとを楽しんでもらうためには、その物語の外堀や環境をリアルなものにしておくべきだと思うんです。 ・

Posted byブクログ

2011/11/24

大きな物語の終焉が語られ、小さな物語では生きづらさが叫ばれ、物語の物語は物を語る人たちによって何が語られるのか。

Posted byブクログ

2011/11/22

『物語論』とは、いいタイトルだと思います。この本に出てくるのは小説家、漫画家、雑誌編集者、音楽プロデューサーたち。彼らは『無から有』生み出す仕事、人間の内面を出す仕事の第一人者です。その人たちの成果物が『物語』であるとすれば、それはなんと素敵なことか。 これまで雑誌に掲載された...

『物語論』とは、いいタイトルだと思います。この本に出てくるのは小説家、漫画家、雑誌編集者、音楽プロデューサーたち。彼らは『無から有』生み出す仕事、人間の内面を出す仕事の第一人者です。その人たちの成果物が『物語』であるとすれば、それはなんと素敵なことか。 これまで雑誌に掲載された、著者である木村俊介さんが行ったインタビューをまとめたもので、インタビューされる側が「え、それを聞いてくる?」と身を乗り出す様子がわかります。著者としても「「ものを語ること」に関して聞かせていただいた考え方を並列で提示したい」という意図があったようで、並べられたことで比較して読む面白さがうまく出たと思います。 出てきた人たちの作品で馴染みがあるのは、村上春樹さんと渋谷陽一さんぐらいかな。このお二人の活躍を観ていたのは20年近く前のことだから、ああ今はこうなのか、と懐かしく読みました。また、総じて文筆家は言葉に対しての執着を強く感じます。いや、小説家として世に出てるんだから、それはあたり前のことなのでしょうが。 伊坂幸太郎さんとのインタビューには非常に多くのページが割かれています。『小説の技術』について語っていて、その冒頭で『描写』について語っています。実際に作品を引用して説明をしているんですが、なんとなくその描写の丁寧な部分を読んで、立川談春さんの落語を思い浮かべました。彼は時々「これでもか」というぐらいバカ丁寧に状況描写をします。なんだかその言葉たちによく似ているような気がしたんです。数年前、伊坂さんの『死神の精度』がお芝居になり、そのセットの中で談春さんが『死神の精度』の中の一編を落語で語る、という会がありました。なんでそういう組み合わせなんだろうとかと思いましたが、こうやってみるとなんだか必然だったようすら思えてきます。

Posted byブクログ