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義母の艶香 の商品レビュー

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義理の母子が越える最後の一線は劇的

言わずもがなの元AV女優にして、最早伝説とも言えるデビュー作『義母 まり子34歳』によって今に至る熟女優の先駆けともなった、あの川奈まり子女史の小説家としての長編デビュー作である。AVデビュー時の設定にあやかって小説でも義母をメインに据えたとのこと。元よりライターとしての職歴もあ...

言わずもがなの元AV女優にして、最早伝説とも言えるデビュー作『義母 まり子34歳』によって今に至る熟女優の先駆けともなった、あの川奈まり子女史の小説家としての長編デビュー作である。AVデビュー時の設定にあやかって小説でも義母をメインに据えたとのこと。元よりライターとしての職歴もある作者だけに文章には淀みがなく、物語としても楽しく読ませていただいた。 ……とまぁ、いかにもデビュー作を紹介するかの書き出しではあるが、目下の新作『僕の兄嫁さん』を含めて既に8作品を上梓している作者に対し、当方も本作を除いた7作品を既読の身のため、ここでは改めて振り返る形での内容にもなってしまうことをご容赦願いたい。 まず感じたのは、川奈まり子作品としての個性が既に本作より滲み出ていることである。多少の蛇足感はあるものの、そこそこの多人数ヒロインを配して主に序盤から中盤までの官能面を担当させつつ、そして終盤でドラマ的に一捻りしてからメインヒロインとようやく、しかし晴れて結ばれる流れができている。双葉文庫らしい展開と指摘されると反論が難しいが、デビュー作であれば相応に編集側からのサポートもあっただろうし、それにも増して「らしさ」をブレずに盛り込んでいるのは非常に大事と考える。官能的に見れば活躍の場が限られてしまうためにメイン推しだと物足りなさは残るものの、それは物語の要所でサブヒロイン達が受け持っていると見ることで補いたい。 また、本作では序盤から義母の実家が再婚を希望して画策していたり、中盤からは義母に別の男の影(らしきもの)が見えてくるといった、主人公とともに読み手も悶々とさせる要素があるが、これもまたクライマックスに向けてのスパイスとして程々に留めつつ上手く活用していると思う。さらには義母への届かぬ想いに苦慮する主人公が、とあるサブヒロインとの逢瀬を繰り返す中で最後に背中を押されつつ、実はその関係自体に背徳的な要素がありながら皮肉でもあったところは秀逸なアイデアと思った。 欲を言えば、最終局面の直前に出てきたサブヒロインは排して、その分クライマックスを前倒しすれば最後の情交により頁を割けただろうし、「その後」も多少は盛り込むことで違った読後感を得ることもできたように感じたが、そうしたさらに好バランスな結末は後の作品、例えば『人妻、洗います。』や『未亡人喫茶』辺りで読めると申しておく。

DSK