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旦那場 の商品レビュー

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2012/11/04

近世被差別民の活動領域の一つ、旦那場(勧進場)について複数の著書によってまとめられた一冊。主なポイントとして弾左衛門支配下の旦那場の特徴・信州の一把稲との関係・北関東における警備活動等。 まず、旦那場が持つ意味とその範囲、すなわち斃牛馬の管理・芸能や宗教行事興行権・警備や見回り...

近世被差別民の活動領域の一つ、旦那場(勧進場)について複数の著書によってまとめられた一冊。主なポイントとして弾左衛門支配下の旦那場の特徴・信州の一把稲との関係・北関東における警備活動等。 まず、旦那場が持つ意味とその範囲、すなわち斃牛馬の管理・芸能や宗教行事興行権・警備や見回り・刑吏・清掃・草履など一部生産品の専売権等々。その大きさに驚くとともに近世被差別民が単に「人が嫌がる仕事を押し付けられた存在」では無い事が明確に理解できます。確かに時の権力に押し付けられた側面もあるのですが、それらの役務を自ら権利として独占・保護しようと努力・抵抗する場合も多く、そう単純なものでない事は明確でしょう(ただし、差別される事を求めたのではない)。 それは同時に差別が権力によって規定されたものでは無い事も意味します。近世において法が差別を助長したのは間違いありません。しかし、明治以降、身分差別の撤廃が法により(一応)明らかにされても差別がなくならず、むしろ悪い方に再編成された歴史が教えてくれます。一人一人の無知、無理解、偏見の積み重ねを権力が利用する、と捉えたほうが適切かもしれません。 評価の-1点は単純に個人的に目新しい資料が少なかった事によります。資料としての価値や正確性に関する減点ではありません。

Posted byブクログ