芸術の記号論 の商品レビュー
4人の執筆者が、記号論の観点から芸術作品について考察をおこなっている本です。 第1章では、パースやモリス、ソシュール、ランガーらの記号論が簡単に紹介されており、芸術的記号は通常の意味論でいわれるような意味のほかに、その記号に内在しそれと不可分な内容としての美を体現しているという...
4人の執筆者が、記号論の観点から芸術作品について考察をおこなっている本です。 第1章では、パースやモリス、ソシュール、ランガーらの記号論が簡単に紹介されており、芸術的記号は通常の意味論でいわれるような意味のほかに、その記号に内在しそれと不可分な内容としての美を体現しているという発想が提出されています。 つづく第2章から第4章は、絵画、文学、映画というジャンルごとに、記号論の観点からの分析が展開されており、第2章では、現象学的美学の立場に立って芸術作品の記号論的考察を批判するデュフレンヌの議論を踏まえたうえで、イコノロジーを記号論の立場からとらえ返す試みがおこなわれています。 第3章は、ヤコブソンやバルトの記号学を踏まえつつ、比喩や物語構造などの記号論的分析の実際が示されています。 第4章は、映画のショットが表わしている意味を写像理論によって整理したうえで、映画を記号論的に分析する手法を論じていますが、不必要に煩瑣な議論になっているような印象もあります。
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