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思い出の青い丘 の商品レビュー

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2019/09/05

ローマン・ブリテン四部作の作者は、感性豊かで、聡明で、やや学者肌なのかなと思っていた。この本を読むと、少女時代のサトクリフは、とてもお茶目で、優等生的でもなく、芯がしっかりしているけれど、ごく普通の女の子という印象を受けた。モンゴメリーの『エミリー』に夢中だったというのも、嬉しい...

ローマン・ブリテン四部作の作者は、感性豊かで、聡明で、やや学者肌なのかなと思っていた。この本を読むと、少女時代のサトクリフは、とてもお茶目で、優等生的でもなく、芯がしっかりしているけれど、ごく普通の女の子という印象を受けた。モンゴメリーの『エミリー』に夢中だったというのも、嬉しい意外性。 職務に忠実で家族を愛する海軍大尉の父と、吟遊詩人の素質を持ち、躁鬱傾向のある母に育てられた。特に母の影響は大きかったようで、そうか、サトクリフは歴史研究者ではなく、吟遊詩人に近いのかと納得した。だから、サトクリフの作品に引き込まれるのか… 「母は、……一本の銀のスプーンに彫られていた一族の紋章を見せてくれました。それは口から血を流しているオオカミで、その下には『傷つけども勝ちたり』というモットーが彫られていました。」(p.138) こうしたエピソードは、作品の世界に繋がっていく。 王立美術院はじまって以来の婦人院長になるのが夢で、ずっと小説家になりたかったわけではないというのも、何となく好ましかった。 入院と辛い治療を繰り返していたけれど、そのことに囚われ過ぎずに、現実を受け止めている姿が素敵だと思った。

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2018/08/26

この自伝を読むと、経験をベースにサトクリフの作品群が出来ていることが、よくわかります。 子供の記憶と大人の洞察力、想像力、どれが欠けても、あの作品達は生まれないんだなあと。 作者の障害に関し、親も医者も良かれと思って必要のない手術や苦痛を伴う医療行為をしていたようです。 児童...

この自伝を読むと、経験をベースにサトクリフの作品群が出来ていることが、よくわかります。 子供の記憶と大人の洞察力、想像力、どれが欠けても、あの作品達は生まれないんだなあと。 作者の障害に関し、親も医者も良かれと思って必要のない手術や苦痛を伴う医療行為をしていたようです。 児童の病気治療に関ても(今も充分ではないかもしれませんが)、当時に比べれば、格段に進歩してるんだなと思います。 恋人や家族など、デリケートな部分に関しては、知人を配慮する必要があったのか、物足りない一面もありますが、作品が出来る背景を推察するには、充分な内容です。 ご自分でも細密画家として優れていたと言っていますが、風景、人物描写の巧みさや、顧客のニーズの読み方など、画家と作家で方向性は違いますが、成功する上での共通点が垣間見えます。

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2012/06/22

ともしびをかかげて、辺境のオオカミ、アーサー王シリーズなど、たくさんのYA向きの小説を書いたサトクリフの自伝。 この人が障害を持っていたことは知りませんでした。 両親のことや子供時代のこと、そして恋愛まで素直に書かれていました。 私は素晴らしい児童文学を知るのが遅すぎたと後悔して...

ともしびをかかげて、辺境のオオカミ、アーサー王シリーズなど、たくさんのYA向きの小説を書いたサトクリフの自伝。 この人が障害を持っていたことは知りませんでした。 両親のことや子供時代のこと、そして恋愛まで素直に書かれていました。 私は素晴らしい児童文学を知るのが遅すぎたと後悔しています。

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