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日本原発小説集 の商品レビュー

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2011/12/29

ボクは、原発推進派ではありませんが、 原発のある県で生まれ育った人間として、 今の脱原発論議には、違和感を持っています。 もちろん、今回の大震災をきっかけに、 原発問題に関心を持ったということは、 とても大切なことだと思います。 しかし、今の脱原発論議は、あまりにも感情的で短...

ボクは、原発推進派ではありませんが、 原発のある県で生まれ育った人間として、 今の脱原発論議には、違和感を持っています。 もちろん、今回の大震災をきっかけに、 原発問題に関心を持ったということは、 とても大切なことだと思います。 しかし、今の脱原発論議は、あまりにも感情的で短絡的です。 京都議定書はどうなったの? CO2削減はどうなったの? 原発と共に生きる地元の人々の生活のことを考えているの? 今、足りない電力はどうするの? 日本の景気回復はどうするの? 某有名人やデモもしかりですが、本屋の平台に積まれた 脱原発関連の本を見る度に、何を今更感がふつふつと。 ジャーナリズムと言いつつ、単に便乗しているだけじゃないかと。 それに近いことが、本書の最後でも、脱原発派の文芸評論家によって、 国民総意のような立場で、「解説」の中で原発文学を歪曲しており、 勝手に代弁するなという気持ちでしたが、それが‘今’なのでしょう。 しかし、本書の本編は、今の脱原発論議とは一線を画しています。 執筆当時は、誰の目にも止まらなかったであろう 原発を題材とした小説(短編、中編)を拾い集め、 小説集としてまとめています。 各小説が書かれた時代は、一編を除いてバブル以前のもの。 原発に対する賛否両論それぞれを題材としており、 時代背景も古めかしく、批評的にはB級評価かもしれませんが、 ビックリするほど辛辣で、今なら大変な物議となりそうな内容も…。 しかし、四半世紀を経て、 時代は、ようやくこれらの小説に追いついたのかもしれません。 来年には、 原発問題を題材とした小説も、たくさん刊行されることでしょうが、 本書に掲載された小説以上の小説は、なかなか出てこないでしょう。 巷にあふれている脱原発本などよりは、本書の方をオススメですね。

Posted byブクログ