美臀の隣人 の商品レビュー
情感と艶と憂いを湛えた作風が良好ながら尻切れトンボに感じる結末が惜しい
リアルドリーム文庫で作を重ねた作者の「黒本」デビュー作……ではない。作者自身が公表しているので記すが、かつて『狂夜-二人の母と叔母』と『禁断家族-邪淫の宿』を上梓した「朝比奈海」名義から数えた3作目が正解である。しかし、本作は紛れもなく「小鳥遊葵」作品と言えよう。東北を舞台にした...
リアルドリーム文庫で作を重ねた作者の「黒本」デビュー作……ではない。作者自身が公表しているので記すが、かつて『狂夜-二人の母と叔母』と『禁断家族-邪淫の宿』を上梓した「朝比奈海」名義から数えた3作目が正解である。しかし、本作は紛れもなく「小鳥遊葵」作品と言えよう。東北を舞台にした情緒、熟女が放つ猛烈な艶と憂い、豊かな感情とドラマ性。これらが織り成す成熟した官能小説となっている。 とにかく熟女好きには堪らないヒロイン設定と言わねばなるまい。落ち着きがあって、感情や物事の押し引きができて、それでいて艶っぽい色気に溢れ、昂ぶっては淫らに積極的。こうした熟女の描写が実に巧み。清楚で奥ゆかしい熟女が困惑しながらも次第に流されていく、あるいは、年上お姉さんのゆとりを存分に見せつけながらも次第に主人公に屈し、傾いていく。そんな熟女が存分に堪能できる作品である。 それだけに、正直なところ幼馴染みな同級生ヒロインが蛇足に見えてしまう気がする。好みによるところもあるので何とも言えないが、明るく開放的(で無節操)な結末とはいかないところも、これの良し悪しはさておき同級生ヒロインあってのことだったので、ここはむしろ2人の熟女に徹した方がスムーズだったんじゃないのかなぁ~?という印象が残った。何より尻切れトンボに感じる幕の引き方が性急である。また、タイトルに示されるほど「女教師」な場面もシチュエーションも多くないのは勿体ない。 ついでに言えば、舞台設定の説明も無いまま急に特定の地名が出てきたり、メインヒロインとの「交わり」を詰問する対抗ヒロインの場面で、その回数が違っていたりと、所々で違和感のある文章も見られる。
DSK
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