ポーカー・フェース の商品レビュー
これぞ「随筆」だろう。「筆」に「随」うままに、沢木耕太郎は自在に思考を遊ばせる。それは旅先で体験した出来事や書物・映画などで見聞した知識、そして独自の思考へと至る。その運ばせ方にはある種の貫禄を感じる。結果として教訓めいたものを生み出す方向には至らないが、しかし文章の中だけで気持...
これぞ「随筆」だろう。「筆」に「随」うままに、沢木耕太郎は自在に思考を遊ばせる。それは旅先で体験した出来事や書物・映画などで見聞した知識、そして独自の思考へと至る。その運ばせ方にはある種の貫禄を感じる。結果として教訓めいたものを生み出す方向には至らないが、しかし文章の中だけで気持ちよく酔わせてくれるのだ。真顔で(タイトル通り「ポーカー・フェイス」で)冗談を言っているあたりもダンディズムを感じ、そして人当たりがいいようで意外と毒舌であるあたりも興味深い。彼の鋭い視線と情熱は、世間のごまかしを見逃すことはない
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虚と実が綾なす人生の不思議。独り在ることの惑いと誇り。生きる者と死にゆく者へ贈る、励ましと別れの言葉。独自の美意識に溢れた13編を収録。「バーボン・ストリート」「チェーン・スモーキング」に続く珠玉のエッセイ集。 さらさらと読み終えた。 他のも読もうか考え中。
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少し長いエッセイが13編.どれもにやりとする場面があり楽しめた.「言葉もあだに」に出てくる”ひとつ(ひとり)を除いて”を付け加えるだけで、会話が円滑に進むことはよくあることであり、このような語句を念頭に置いておくことは重要だ.「なりすます」で造り酒屋の主人が偽物の小説家を分かって...
少し長いエッセイが13編.どれもにやりとする場面があり楽しめた.「言葉もあだに」に出てくる”ひとつ(ひとり)を除いて”を付け加えるだけで、会話が円滑に進むことはよくあることであり、このような語句を念頭に置いておくことは重要だ.「なりすます」で造り酒屋の主人が偽物の小説家を分かって見逃している話はとても良いものだと感じだ.
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若い頃のぎらぎらはありませんけど年輪を重ねたなにげなく深い、のが好きです。高峰秀子さんの文章が読みたくなりました。
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若い頃に読んだ「深夜特急」には影響を受けたと思うし「バーボンストリート」も面白かった。久しぶりに著者の作品を読んでみようと手に取る。エッセイだった。 外に出て新たなことや経験、私の知らない世界が知れたことが楽しみだったが、普通の物書きになってしまったのか、頭の中だけで、作られた...
若い頃に読んだ「深夜特急」には影響を受けたと思うし「バーボンストリート」も面白かった。久しぶりに著者の作品を読んでみようと手に取る。エッセイだった。 外に出て新たなことや経験、私の知らない世界が知れたことが楽しみだったが、普通の物書きになってしまったのか、頭の中だけで、作られた文章、身近過ぎる題材の文章には以前のような魅力を感じなかった残念感。 【面白いな、他の人にも聞いてみようかな?】 一生のうちで、男と女どちらに学ぶことが多かったかと言うのは、案外その人を理解する上でじゅうような手掛かりになるかもしれない。 →私は上司、仕事仲間など男性だが。
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心地好く話が転がっていくのが、うまいなと思う。 沢木さんも村上春樹さんも飛行機とブラッディメアリーに思い入れがあるらしい。 自分も始めてブラッディメアリーを飲んだのは飛行機の中だった。 飛行機で隣に乗ったインド人がブラッディメアリーを頼んでいて、その辺な飲み物が気になったので、...
心地好く話が転がっていくのが、うまいなと思う。 沢木さんも村上春樹さんも飛行機とブラッディメアリーに思い入れがあるらしい。 自分も始めてブラッディメアリーを飲んだのは飛行機の中だった。 飛行機で隣に乗ったインド人がブラッディメアリーを頼んでいて、その辺な飲み物が気になったので、思わず、「それはなに?」と聞いてしまった。 優しいインド人は、「ブラッディメアリー」だと教えてくれ、一口飲ませてくれた。 トマトジュースも普段は飲まないのに、それはとても美味しくて、自分は、それ以来、地上でも飲むようになった。 ブラッディメアリーと飛行機。 空の青と真っ赤な色がマッチするのかもしれない。
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沢木耕太郎のエッセイ集です。 気のまま、思いのまま書き綴る沢木耕太郎のエッセイは、 人となりがよく表現されているようで、どんな人物なのかが、 よくわかるエッセイになっています。 むしろここまで曝け出してしまってよいものなのか? と心配になってしまうくらい。 ”深夜特急”の作者がどんな人物なのか知りたい方は是非 読むことをお薦めします。
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沢木耕太郎のエッセイ。軽い感じで面白かった。 著者の話のネタがいくつも紹介されている。著者の人間関係を伺うことができ、広く多方面にわたって知り合いがいるのだと改めて感心。 ついつい深夜特急のぞくぞくするような感覚を作品に求めてしまうが、この中にはその要素はない。エッセイゆえ当...
沢木耕太郎のエッセイ。軽い感じで面白かった。 著者の話のネタがいくつも紹介されている。著者の人間関係を伺うことができ、広く多方面にわたって知り合いがいるのだと改めて感心。 ついつい深夜特急のぞくぞくするような感覚を作品に求めてしまうが、この中にはその要素はない。エッセイゆえ当然。しかし、著者の思考の傾向のようなものを感じることができ、それにまた共感できる。
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多くの経験を積んだ人のみが紡ぐことが出来る文章だと思います。 読んでいて安定感、安心感を感じます。
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書店に平積みされていたので、図書館で予約して読みました。だいぶかかりました。 「氷が溶けたら何になる・・・」の話は、同時期に読んだ、呉智英「サルの正義」の中でも出てきました。偶然にしてはすごいなと思いました。評論家のネタになりやすいんだな。
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