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震災と鉄道 の商品レビュー

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24件のお客様レビュー

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2011/11/11

震災と鉄道は今年もっともホットな話題である。 インフラ、環境、経済、交通、電力、安全、インフラ、技術、文化、幸福に関する国家観が問われるテーマである。今、世界は信用を失う出来事で満ち溢れ、今までの安心・安定した世界が、壊れていっている。日本は未曾有の大災害で破壊尽くされた感がある...

震災と鉄道は今年もっともホットな話題である。 インフラ、環境、経済、交通、電力、安全、インフラ、技術、文化、幸福に関する国家観が問われるテーマである。今、世界は信用を失う出来事で満ち溢れ、今までの安心・安定した世界が、壊れていっている。日本は未曾有の大災害で破壊尽くされた感があるが、その他の国家は自滅に近い形で、崩れつつある。国家さえも崩れ落ちれば、この世にはもう信用できるものがないのかもしれない。間近にいる人間さえ信用できない世の中で国家は自らを定義できるのだろうか。 鉄道が象徴的なのは、インターネットができるずっと前から、鉄道はネットワークを築くことが目的であったということだ。道路はもちろんそうなのだが、道は点と点をつなぎ線にする役割を果たす。それが網の目状に張り巡らされネットワークを築く。ここには、交流があり、信用がある。東日本大震災によって寸断された東北海岸の鉄道線をフォローするのは、新潟・山形・秋田の鉄道路線であり、道路である。ネットワークを築く意味はそういうところにある。経営だけの意味で路線を考えていては、保障された生活は守れない。震災という強力な分断の力に対抗できるのは、もう一度ネットワークを構築しなおすような信用の力しかない。今、日本に求められているのはその力であり、今世界が失いつつあるのはその力である。 また、著者の「リニア鉄道」に対する意見も今まで考えたことがなかったが一理はある。速度ばかりを追い求めるのではなく、ゆっくりと観光ができるような特別急行を作れというものだ。だが、それは、両立できると思う。世界最高最速の世界一安全な乗り物を作る気概がなく、豊かな生活は得られない。ゆっくり旅をする楽しみもまた豊かな生活であるかもしれないが、世界一という自負心を持てることはそれもまた豊かな生活である。 震災に負けない世界一すばらしい社会を作ろう。 鉄道建設にはその可能性があるといえる。

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2011/11/09

JR東海のリニアモータープロジェクトの今後が興味深い。 これに逆行して、旅の雰囲気重視の在来線特急の需要はあるんじゃないかと思った。 鉄道の公共性、地域性について改めて考えられた。

Posted byブクログ

2011/10/30

 原さんは政治学者でてっちゃん。  小生も、鉄道は好きで、世田谷線沿線にマンションを購入し、毎日ご機嫌で世田谷線に乗っている。  原さんは、てっちゃんとして、今のJRの体質を厳しく批判している。 ①東日本大震災の際のJR東日本の対応について、「帰宅難民」をできるだけ減...

 原さんは政治学者でてっちゃん。  小生も、鉄道は好きで、世田谷線沿線にマンションを購入し、毎日ご機嫌で世田谷線に乗っている。  原さんは、てっちゃんとして、今のJRの体質を厳しく批判している。 ①東日本大震災の際のJR東日本の対応について、「帰宅難民」をできるだけ減らすためにも、JR東日本は私鉄各社と連絡をとりつつ、私鉄への影響が大きい山手線を優先して動かすべきでした。(p29)  原さんによれば、東京大空襲や広島原発のときにも、国鉄は翌日から動き出したとのこと。それに比べて、JR東日本の対応はひどかった。 ②ディーゼルの機能が向上してきたことを踏まえ、電車の電力消費によるCO2排出量とディーゼルのCO2排出量を比較し、エネルギー効率やコスト面、災害時のリスクなどを総合的に考慮して、両者をベストミックスで使い分ける。(p37)  こういう発想は、コジェネなどをつかった面的エネルギー利用の発想と近いと思う。 ③リニアについて地震時の代替手段となるという主張に対して、既存の路線に必要な対策を施せば、9兆円もかけて長大なトンネルを掘らなくても済みます。(p161)  リニアについては、JR東海が自費で整備するのであまり目が行き届かないが、そんな国家プロジェクトを一つの会社ができるということは、東海道新幹線の料金が不当に高すぎるのではないか。  そういう意味では、リニアの整備費用は新幹線利用者である国民の負担だとも考えられる。  いずれにしても、てっちゃんにして政治学者の原さんの意見がとてもユニーク。

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2011/10/26

原さんは歴史の先生で、『大正天皇』などの本を書きながら、鉄道ファンで、『鉄道ひとつばなし』というシリーズものを3冊も出している。なにか気になる人である。本書は、そのタイトルにあるように3.11を踏まえて書いたもので、日本の鉄道の社会学である。たとえば今度の震災が起きて、ぼくでもす...

原さんは歴史の先生で、『大正天皇』などの本を書きながら、鉄道ファンで、『鉄道ひとつばなし』というシリーズものを3冊も出している。なにか気になる人である。本書は、そのタイトルにあるように3.11を踏まえて書いたもので、日本の鉄道の社会学である。たとえば今度の震災が起きて、ぼくでもすぐに思いついたのは、この地震列島でリニア新幹線を走らせることは大丈夫だろうかという疑問だ。本書でもそのことに1章がさかれているが、リニア新幹線の駅を一つつくるだけで東北のずたずたになった鉄道網を復旧させることができるという。しかし、JR東海はそれをしない。なぜか、それはどうも鉄道の技術で中国に追い抜かれることを恐れているからだという。日本でも中国でも鉄道はスピードを追い求めてきたが、原さんはもっと鉄道の旅というものを楽しむということがあってもいいのではないのかと言う。賛成だ。ぼくも、随分長い間のぞみのスピードについていけなかった。あれはふつうの人間には無理があるような気がしたからだ。こだまくらいが丁度いい。鉄道は一つの社会である。車社会になって、人々がいかに社会性を喪失したか。そんなことも本書には書かれている。

Posted byブクログ