開かれ の商品レビュー
さすがアガンベン。 ひょうひょうひょうと何気なく放った矢があとからざくざく刺さってくるし、入ってみたハイデガーの洞窟は「動物と人間」という目印(と言うよりも枠組み)を頼りに上へ左へ突き進む。 このあまりに手際よいガイドさんは、(この道でいいの…?と)我々を不安にさせつつ、在り方の...
さすがアガンベン。 ひょうひょうひょうと何気なく放った矢があとからざくざく刺さってくるし、入ってみたハイデガーの洞窟は「動物と人間」という目印(と言うよりも枠組み)を頼りに上へ左へ突き進む。 このあまりに手際よいガイドさんは、(この道でいいの…?と)我々を不安にさせつつ、在り方の深部、ないことのあかるみへと我々を導く。 そこにおいて動物は、存在と無の外側に存在する。ゆえに「動物頭の義人たち」とは、人間を、内なる人間性/動物性の分割線の外に在らしめる事態の表現であることが理解されるのだ。そしてそれは、とても………
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二十世紀の人間を語りながら人間が差別し絶滅させた戦争と収容所体験をもった人類が到達すべき思想の欠片だと思う名著。
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出版社はこの本をアガンベン入門として最初に読むよう薦めているが、じっさい読んでみると、これは意外に難しい。どちらかといえば『瀆神』の方が気軽に読めて、かつ、美しく興味深く、光り輝くような本だったから、私はそちらを入門者には薦めたい。 http://booklog.jp/users...
出版社はこの本をアガンベン入門として最初に読むよう薦めているが、じっさい読んでみると、これは意外に難しい。どちらかといえば『瀆神』の方が気軽に読めて、かつ、美しく興味深く、光り輝くような本だったから、私はそちらを入門者には薦めたい。 http://booklog.jp/users/ntsignes/archives/4901477196 さて本書だが、「人間と動物」の差異と同類性をめぐる西洋史上のさまざまな言説を追いながら、新たな解釈、新たな知見をきりひらいてゆく。ごく短い章で分けられており、相変わらず文章は美しいが、思想内容はなかなかに難しい。とりわけ、本書の中核をなすと思われるハイデッガー分析のくだりは難解だ。 それだけに、薄い小さな本だけど手応えがある。これも再読したい本であるが、アガンベンの思想の全体像を理解するためには、ハードカバーの本を何冊も読まないとダメだろうなあ、と思うとちょっと骨が折れそうだ。
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