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宮本武蔵 新装版 の商品レビュー

4.2

14件のお客様レビュー

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2023/11/09

宮本武蔵を主人公とした歴史小説といえば、圧倒的に吉川英治のものが有名で、何度も映像化されているが、こちらは司馬遼太郎による作品だ。 文庫本で248pしかないので、さくっと読むことができる。 吉川英治の宮本武蔵ではお馴染みのお通は登場せず、ラブロマンスは一切ない。 宮本武蔵は...

宮本武蔵を主人公とした歴史小説といえば、圧倒的に吉川英治のものが有名で、何度も映像化されているが、こちらは司馬遼太郎による作品だ。 文庫本で248pしかないので、さくっと読むことができる。 吉川英治の宮本武蔵ではお馴染みのお通は登場せず、ラブロマンスは一切ない。 宮本武蔵は同年代の他の剣豪と比較し、圧倒的に教養があったとされている。『五輪書』という極めて理知的な文章を残したことで、頭一つ抜けた存在となったようだ。座禅や絵画、書へも興味を持ち、教養人だったことも、当時の武蔵の人気を高めたとされている。 その一方で、司馬史観では武蔵は武将へ栄達する想いが非常に強かった人物として描かれていた。直参となるべく、後半生に運動をする様は少々哀れに感じてしまった。 現代で例えるなら、発信力も教養もあるが、起業家にはなれない超凄腕のフリーランスといったイメージだろうか。

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2022/05/11

若い頃に読んだ吉川英治版の宮本武蔵はフィクション色が強く期待はずれだったが、こちらの武蔵は史実に近い感じがする、人間くさい宮本武蔵。 決闘シーンもリアルで絵が浮かぶ。 短くも読み応えあり。

Posted byブクログ

2020/08/31

司馬遼太郎が宮本武蔵という題材を一冊でどのようにまとめあげたのかに興味を引かれて読んだ。 武蔵の生誕地とされる作州を著者が訪れるささやかなルポに始まり、フィクションとしてはあまり取り上げられる機会の少ない巌流島以降も含め、生い立ちから死に至るまで宮本武蔵の生涯を描いている。全体...

司馬遼太郎が宮本武蔵という題材を一冊でどのようにまとめあげたのかに興味を引かれて読んだ。 武蔵の生誕地とされる作州を著者が訪れるささやかなルポに始まり、フィクションとしてはあまり取り上げられる機会の少ない巌流島以降も含め、生い立ちから死に至るまで宮本武蔵の生涯を描いている。全体としてそれほどページ数は多くないものの、若干13歳での決闘にはじまり、吉岡兄弟と一門、槍の宝蔵院、鎖鎌の宍戸梅軒、夢想権之助と、重要とされる試合には一通り触れられている。そして、有名な佐々木小次郎との巌流島決戦は、やはり本作でも最も重要なポイントとして位置付けられており、小次郎の来歴も含めて別格の扱いで重点的に取り上げられる。 剣術をあたかもスポーツのように捉えて剣速こそを絶対とする小次郎との対比や、大名に武蔵の評価について意見を求められた柳生兵庫助の言を借りて、彼の個性がどのようなものであったかについて著者なりの武蔵観を表現している。ほかの小説・ドラマ・漫画などで一般的になっている純粋な求道者のイメージとはズレがあり、戦いにおいては情報収集を怠らず現実的な判断を徹底し、場合によっては冷酷とも受け取れる人物像を採用しており、著者の筆致も淡々としている。 前述のとおり、分量は少ないものの小次郎に勝利した後に死没するまでの剣豪の行く末までを扱っている点も、本書の特色のひとつ。試合を断って以降、自身の華々しい名声を禄に変えようと非常識なまでに高い評価を有力者に求め士官に失敗する武蔵には、滑稽さとともに頂点を過ぎた英雄のもの哀しさを感じる。 求道者としての武蔵を描いてヒットした吉川英治について幾度か触れられるが、本書における武蔵の捉え方から、ここでは言及されていない坂口安吾の武蔵に関するエッセイを想起させられた。

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2020/07/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

宮本武蔵の生い立ちから晩年までを描く歴史小説。 剣理を自得し、しかし弟子たちの誰にもその剣理を継承させられなかった姿は、歴史の中の線の一部でなく点として存在しているようで、孤高であることの激しさや悲しさを感じさせる。 北条氏長が、武蔵の抽象化能力の天才性を、世阿弥のようであると考える場面があるが、道統を後継に伝えることができなかった晩年の侘しさという面もまた、重なって見えるように思われる。

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2020/05/24

昔買って本棚にあった本を読んだ。 『OODAループ思考入門』を読んで宮本武蔵について知りたくなったからだ。 さて、司馬遼太郎の『宮本武蔵』であるが、読み物として面白かった。 江戸の初期に活躍した宮本武蔵の資料は少ない。よって司馬遼太郎の推測が多分に含まれている。 文末が「〜であろ...

昔買って本棚にあった本を読んだ。 『OODAループ思考入門』を読んで宮本武蔵について知りたくなったからだ。 さて、司馬遼太郎の『宮本武蔵』であるが、読み物として面白かった。 江戸の初期に活躍した宮本武蔵の資料は少ない。よって司馬遼太郎の推測が多分に含まれている。 文末が「〜であろう」である文が多いことに現れている。 司馬遼太郎の小説が読みやすく面白いのは、口語的だからだ。 例えば、「例をあげていうと、あるとき閣僚があつまって重要な会議があった」と書かれているが、おそらく文法的に正しくないだろう。しかし、読んでいて違和感はない。むしろ語りかけられているような自然な感じがする。 そうか、語りかけるような文章を書くコツは、文法的な正しさを追求しないことなのだ。話し言葉において、文法は崩れる。文法を崩すことで語りかけるような感覚を与えることができるのだ。

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2019/01/11

どんな時代にもいる。 天才であり努力までされるので、徹底的に人間離れする、そんな人って。 いわゆる、一般的に知っている宮本武蔵ではない。 そんな違う一面を知りたい人向けの一冊。 司馬さんの書く、史実と想像が上手に混ざり合って、何とも言えない人間味ある話になっていました。 で...

どんな時代にもいる。 天才であり努力までされるので、徹底的に人間離れする、そんな人って。 いわゆる、一般的に知っている宮本武蔵ではない。 そんな違う一面を知りたい人向けの一冊。 司馬さんの書く、史実と想像が上手に混ざり合って、何とも言えない人間味ある話になっていました。 でも。 きっと、こんな人だったんだろうな。 きっと、こんな対決だったんだろうな。 きっと、こんな心境や想いだったのね。 武蔵が何故かイジらしく感じる。 もっと巧く生きれないのかな~? そこは突っ張るところじゃないよ。 こんな奴、友達にはなりなくない。 だけど、人生観は尊敬するなー。 ついつい。読み終わった感想も支離滅裂。笑 それだけ、真実の武蔵像に近いのかもしれないですね。

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2016/02/13

播州に生まれ京都で兄と弟伝七郎を破り追っ手も排除して奈良の柳生石舟斎に会い、槍には小太刀で対応し、鎖鎌には初見で二刀で対応する柔軟性。棒術の使い手も撃破。巌流島も勝負の前に戦略を練り、それを現場で実践する。彫刻や絵画、文章にも造詣が深い。思想的には禅を取り入れ、話も面白い。

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2015/01/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

司馬遼太郎が宮本武蔵のことを書いているとは、この本を手にするまで想像だにしていなかった。 世の中には既に「吉川英治の武蔵」が古典的な位置づけにあるなかで、どういう武蔵を描くのかという興味で読み始めた。 内容は小説でもなく、ノンフィクションでもなく、両者を併せ持った書き方になっている。 冒頭からして「武蔵は天才だが、しかし天才が往々にしてもっているいやらしさがある」と、著者は武蔵を少し突き放した形で描いていく。 吉岡清十郎、弟の伝七郎を破った武蔵が、吉岡一門と「一乗寺下り松」での決闘に勝利したことが武蔵の生涯と後世への名誉を決定した。 ここで著者は「名流ハ勝負ヲキソワズ」というのが鉄則だという。武蔵でさえ30歳以後は勝負を避けた。営々築き上げた権威が一朝でほろびる。吉岡家は、兵法以前の政治において敗れたと、突き放している。 試合は、おのれの実力より低く評価した相手とせねばならない。武蔵の頃の兵法者は全てそうであり、兵法感覚の初動は相手への「ねぶみ」であり、もし値踏んでなおかつ負けたときは自分の評価力の不足だと言い切る・・・まあ~ロマンがないが、冷徹な事実だと思う。 織田信長、豊臣秀吉という百戦の経験者は、兵法という新興の技術が戦場の役に立つものだとは頭から思っていない。戦争を左右するものは指揮者の指揮能力であり、刀を振り回す技術者はどうであろうと、怜悧な見方を披露している。 武蔵の不幸は兵法・戦いにおいては天才的な考え方をした彼が、世の中に於いて、他人が自分をどのように評価してくれるのか・・・武蔵は3000石での直参を望んでいた・・・を読み違えたことがひしひしと伝わってくる。 会社の人事考課の季節を思い出す。やはり書いた本人と上司の評価のギャップがあるんです。

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2014/04/19

うかつにも、司馬遼太郎が『新説宮本武蔵』以外に武蔵もの、しかも長編を書いていることを知らなかった。小次郎は負けるべくして負けたのだな、と納得させられる。

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2014/04/11

薄い文庫本1冊に宮本武蔵の剣の道がまとめられています。 吉川英治の宮本武蔵の方が有名ですね。未読ですが、かなり印象が違うようです。登場人物もおつうとか出てきません。 でも実際の武蔵は実はこちらの人物像に近いのでは・・など思わせるものもあります。 特に、武蔵の概略をささっと知りたい...

薄い文庫本1冊に宮本武蔵の剣の道がまとめられています。 吉川英治の宮本武蔵の方が有名ですね。未読ですが、かなり印象が違うようです。登場人物もおつうとか出てきません。 でも実際の武蔵は実はこちらの人物像に近いのでは・・など思わせるものもあります。 特に、武蔵の概略をささっと知りたい方にお勧めです。

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