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アシュリー事件 の商品レビュー

4.4

10件のお客様レビュー

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2021/08/09

私には少し難しい内容でしたし、その先の現在のことがどうなっているのかわからないので、消化しきれていません。ただ、作者が自分も同じ障害児の親として正直に悩んでいることが伝わってきました。その後が気になりました。

Posted byブクログ

2017/08/22

この事件は日本ではあまり報道されなかったようだ。私もまったく知らな かった。2004年にアメリカのシアトルこども病院である手術が行われた。 重い障害を背負って生まれた女の子アシュリーに施されたのは子宮と 乳房芽の摘出、そしてエストロゲンの大量投与による成長抑制。 子宮...

この事件は日本ではあまり報道されなかったようだ。私もまったく知らな かった。2004年にアメリカのシアトルこども病院である手術が行われた。 重い障害を背負って生まれた女の子アシュリーに施されたのは子宮と 乳房芽の摘出、そしてエストロゲンの大量投与による成長抑制。 子宮摘出は成長したアシュリーが生理の不快さと生理痛を感じなくて いいように。乳房芽の摘出は車いすのストラップ着用に際に邪魔になる のと、介護者がアシュリーを女性として意識しなくていいように。 そして、エストロゲンによる成長抑制は彼女の介護をする両親とふたりの 祖母の負担にならぬように。 ぞっとした。のちに「アシュリー療法」と呼ばれるこの処置が、彼女の両親 から出された強い要望だったことにだ。ソフトウェア企業の重役である 父親は、医師たちの前でパワーポイントを使い、この処置がアシュリーの 生活をいかに快適にされるかをプレゼンまでしている。 著者もこの点を指摘しているのだが、医学の素人である父親の主張に 何故、医師たちは他の方法を模索することなくその提案を受け入れて しまったのか。 実際、アシュリーは生活のすべてに介護が必要になる。だからと言って 本人が望んだこと(まず、意思の確認が出来ないだろうが)でもない処置 が認めらるのだろうか。 「介護する家族の身にもなってみろ」なんて感情論で語ってはいけない 問題なのだと思う。障害を背負っている人には介護者の負担軽減の 為であれば何をしてもいいか?そうじゃないだろう。 アシュリーの両親と担当した医師の間には処置に対する認識の違いは あるのだが、担当医が発する言葉のはしばしに「どうせ障害者なんだか ら」との発想が見え隠れしているのが怖い。 突き詰めて行ったなら「重い障害を持っている者は殺してもいい」になら ないか?実際、「この子は生まれた時に死んでいた方が幸せだった」と 言ってしまう母親もいるんだが。 「尊厳」ってなんだろう。生きとし生けるもの、すべてに尊厳はあると思う。 だが、このアシュリーのようなケースが世界的に認められてしまうなら 一定の条件下で医療は暴走しやしないか。 本書執筆時点でアメリカ国内ではアシュリーと同様の処置をされた障害者 が12人もいるというのも衝撃だった。 事件の経過と賛否両論、医師たちの論文の瑕疵をつき、いくつかの医療 事件を例に取って解説された良書なのだが、著者がアシュリーと同じような 症状を持ったお子さんの母親である為か時々、感情がむき出しになって いるのが気になった。

Posted byブクログ

2013/05/20

医療介入とは何を目的にしているのか―倫理というコトバ(またはその手続き)ではすまされない、何かもっと深刻で根深い問題が潜んでいるように思える。倫理というコトバさえ、医療行使を前提としているのではないか、とさえ疑いたくなる。もう少しよく考えてみたい。

Posted byブクログ

2012/12/29

障碍を持った子供に対して、両親の希望によって大規模な医療介入が行われた。それをめぐって様々な論争や研究が起こる中で、その当事者である両親は自らの正当性を主張、さらに他の障碍児にも自らが子供に対して行った治療法が適用されるべきと主張する。子供の尊厳の不在やテクノロジー・医療への信仰...

障碍を持った子供に対して、両親の希望によって大規模な医療介入が行われた。それをめぐって様々な論争や研究が起こる中で、その当事者である両親は自らの正当性を主張、さらに他の障碍児にも自らが子供に対して行った治療法が適用されるべきと主張する。子供の尊厳の不在やテクノロジー・医療への信仰、そして悪しき決断主義を背景に様々な倫理が置き去りにされていくという様は読んでいて戦慄とさせられる。医療と社会、子育てのあり方を考える上では避けて通れない本だと言える。

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2012/12/26

アシュリー事件を通して、介護の問題に触れている。 社会が受容できないことを家族、や愛で誤魔化そうとする風潮に警鐘を鳴らす。

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2012/10/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 議論が尽きない問題です。ただ、アシュリーの件に関して言うと、なぜ父親がこの事をブログで積極的に公表していったのかが私には分かりません。世間の注目を浴びたっかのでしょうか。でも、家族構成以外は一切非公開とありました。  「一家は、シアトル在住で、両親はともに大学教育を受けた専門職。父親はコンピューターのソフトウエア会社の重役である。」  父親が「倫理委員会の冒頭、パワーポイントを使ってプレゼンを行った」 とありました。これって暗にマイクロソフトを指しているのでしょうかね。もし仮にマイクロソフトの重役なのであれば、アシュリーに対して元のままでも十分ケアーできる収入があるのではないか、と考えてしまいます。  いずれにしても作者は、よく調べてるな、と感心しました。

Posted byブクログ

2012/10/15

アシュリーという重度の障害児の親が、家でずっと面倒を見れるようにと子供が埋めないように手術したり胸が大きくならないような(効果あるのかよくわからない)手術したり身長の伸びを抑えるホルモンを注射したりしていたというケースin米国。人の生殖機能を奪うような医療介入は当該州では裁判所の...

アシュリーという重度の障害児の親が、家でずっと面倒を見れるようにと子供が埋めないように手術したり胸が大きくならないような(効果あるのかよくわからない)手術したり身長の伸びを抑えるホルモンを注射したりしていたというケースin米国。人の生殖機能を奪うような医療介入は当該州では裁判所の認可が必要だが、親が病院を説得し倫理委員会を通し(!)実行してしまった。違法なんだけどね。 アシュリー事件は尊厳の問題、という主張に対して、余りに重度な障害児であれば尊厳の問題ではないという主張までなされたり、同様の障害児を持つ家族が同様の手術を望んだり。。。 尊厳死・死の自己決定権の議論と、無益な治療・医療費・臓器移植の議論との関連 家族の世話・介護を美徳として押し付けておきながらいざ痛ましい事件が起きるとなぜ一人で抱え込んでしまったのかと攻める社会の風潮 障害児を抱える家族では、障害をきっかけに別の問題が顕在化する 長く深い悲しみ・苦しみと、その抑圧が、そこから解放されたいという攻撃的な議論につながる

Posted byブクログ

2017/01/11

親(と医師)が障害児の肉体改造(介護しやすいように成長を抑制)をした事件について。 自らも障害児の親である著者が考え抜いた倫理の考察。 初めてこのニュースを見たとき、「わからない」と思った。 体も人生もみんなその子のもので、それを勝手にいじくるなんて。 でも死ぬまで介護が必要な...

親(と医師)が障害児の肉体改造(介護しやすいように成長を抑制)をした事件について。 自らも障害児の親である著者が考え抜いた倫理の考察。 初めてこのニュースを見たとき、「わからない」と思った。 体も人生もみんなその子のもので、それを勝手にいじくるなんて。 でも死ぬまで介護が必要なら、介護しやすいほうがいいんじゃないか。 大変すぎて愛せなくなるよりいいんじゃないか。 親だけじゃなくて、親が死んだ後にも、介護しやすいほうがいい介護を受けられるんじゃないか。 洗いやすいように髪を刈るのとどう違うの? 割礼や纏足とどう違うの? どう考えていいかわからない。 この本を読み始めてわかった。 どう考えていいかわからないのは知らないからだ。 私はこの事件を何も知らない。知らないし考えてない。 答が見つからない以前の問題だ。 知らないままイメージだけでどうこう言うのは恐ろしいことだ。 「三歳レベルの知能」と「三歳の精神」はイコールではない。 三歳レベルの知能の人が二十歳になれば、それは二十歳の体を持った三歳児ではなく、三歳レベルの知能を持った二十歳の人なのだ。 そんな当たり前のことさえも、こうやって書いてもらったものを読むまでわかってなかった自分に衝撃を受けた。 考えてみれば本当に当たり前のことだというのに。 関連 『髪日和』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4876998396いらない髪を大事に切る 『ブレンダと呼ばれた少年』http://booklog.jp/users/nijiirokatatumuri/archives/1/4895859371イデオロギーの領域で「医療」に体を変えられた子供 『名声』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4384055455スイスの安楽死ツアー 『在日朝鮮人ってどんなひと?』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4582835554する方向でだけ語られる「自由」

Posted byブクログ

2020/03/21

アシュリーという名の子どもがいる。彼女は身体が成長しても、精神面は生後3ヶ月のまま成長できない、という障害を持って生まれてきた。だからアシュリーをピロー・エンジェルと呼ぶ人もいる。枕と友だちで、赤ん坊の無垢な心を持ち続けるから、と。 アシュリーの両親はある決断をした。アシュリー...

アシュリーという名の子どもがいる。彼女は身体が成長しても、精神面は生後3ヶ月のまま成長できない、という障害を持って生まれてきた。だからアシュリーをピロー・エンジェルと呼ぶ人もいる。枕と友だちで、赤ん坊の無垢な心を持ち続けるから、と。 アシュリーの両親はある決断をした。アシュリーの子宮と卵管を摘出して、乳房が大きくならないようにするための手術をしたのだ。 昔、ハンセン病患者に対して社会が犯した過ちを、自分の子どもに対してする人がいるなんて、信じられない。愛情からした決断だから許されるのか?こんなのは人権侵害だ。私が障害を持つ人のことをぜんぜん知らないからそう思うだけ?健康な身体にメスを入れて内臓を取り出すのは暴力だよ。 同じ様なことをくり返さないためには地域社会の協力が必要とか、そういうレベルの話じゃない。アシュリーの手術に関わった人達には、彼女を「人間」として見る視点が欠けている。 意思疎通もままならない障害を持つ人の権利を守るにはどうしたらいいのか。自分の血縁者にそういう人がいなければ、誰だって自分のことに手一杯で、そんなことまで考えていられない。障害を持つ人が暮らしやすい社会は、そうでない人にとっても暮らしやすいのは分かっている。でも、そのためにどうしたらいいの? 脳で思っていること、考えていることを画面に映しだせる機械を開発しているチームがあるってTVで見たことがある。未來にそれが実用化して、直接意志を伝えられない人の助けになってくれたら。くれたら……なんだろう?

Posted byブクログ

2021/01/05

事件はやはり興味深いし考えさせられるが、(おそらく不必要な)レッテル貼りやアドホミネム、底意の推測などが多くて非常に読むのが苦しい本。しかしネットでいろいろ情報を集める力はすごい。やっぱり情熱とエネルギーは重要。 まあ執筆の意図が「アシュリー療法」の問題点を考えることではな...

事件はやはり興味深いし考えさせられるが、(おそらく不必要な)レッテル貼りやアドホミネム、底意の推測などが多くて非常に読むのが苦しい本。しかしネットでいろいろ情報を集める力はすごい。やっぱり情熱とエネルギーは重要。 まあ執筆の意図が「アシュリー療法」の問題点を考えることではなく、そういうのを提唱したり実行したりするひとびとの人柄とか思考とかそういうのを非難する、ってのならこういう書き方でよいのだろうか。

Posted byブクログ