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師弟のまじわり の商品レビュー

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2013/12/18
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ジョージ・スタイナー『師弟のまじわり』岩波書店、読了。本書は西欧思想・文化において師弟関係がいかに重要な役割を担ってきたのか縦横に論じた一冊。ソクラテスから『名人』(川端康成)まで。西欧古典語を自由に使いこなす著者の博覧強記が議論に厚みを添えている。http://www.iwanami.co.jp/moreinfo/0234990/top.html 通常、師弟関係とは順接の如き友好関係を想起するがそればかりではない。対立と反発、悲劇やエロスといった逆接の如き関係も含まれる。学問や文化は師弟があってこそ発展し継承される。だとすれば、「人間」なくして存在しない。学習との違いだ。 師弟関係には人間の肉声と交わりが必要不可欠なのだろう。学習としての勉強なら一人でもできる。知識や情報を得ることで学問や文化は発展し得ないのではないか。そんなことを考えさせられる。昨今のグローバルなんちゃらは学問なのだろうか。 著者のスタンツは大文字のアカデミズムの厳しき伝統に準拠する。伝統の権力性を批判することはたやすい。しかしながら、人間不在の軽輩なポストなんちゃらのうさんくさい雰囲気を「ほんもの」が粉砕する。教育の意味をも問い直す好著。

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2012/01/10

日経書評より転記。 「著者は、ギリシャ語・ラテン語から英独仏語に至まで自由によみこなし、ヨーロッパ文化全体を自分の庭のように知り抜いた批評家である。ピュタゴラス、ソクラテスから、ゲーテ、ニーチェなど幅広く目配りは行き届き、さらにはピアニストやフットボールのコーチ、川端康成の小説...

日経書評より転記。 「著者は、ギリシャ語・ラテン語から英独仏語に至まで自由によみこなし、ヨーロッパ文化全体を自分の庭のように知り抜いた批評家である。ピュタゴラス、ソクラテスから、ゲーテ、ニーチェなど幅広く目配りは行き届き、さらにはピアニストやフットボールのコーチ、川端康成の小説『名人』まで登場する。 著者が協調するのは、1.師弟関係は必ずしも調和のとれた友好的なものばかりではなく、カリスマ性に引き込まれたり反発したりする関係の間に悲劇的な対立や裏切りが生じる場合が多いこと、2.師弟関係は(とくに男女の場合)エロスの領域に踏み込み、禁断の男女関係に発展するが、知的探究心と性的願望は本来切り離せるものではないこと。 師弟関係を論ずることは、結局のところ、、学問や文化の発展と継承を論ずることである」 評者は、シュタイナーの離れ業を、現代の知的潮流についていけない保守的な頑固親父の側面も含めて、楽しむことを奨励する。知の発展と継承モデル、フットボールのコーチを経験している私にとって興味をそそられるテーマだ。

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