“中国版"サブプライム・ローンの恐怖 の商品レビュー
中国経済の急激な成長の二大牽引車が輸出と不動産というかなり歪な形になっており、不動産を支えているのが政府による過剰流動性供給。過去30年で経済規模は92倍に拡大したがマネーサプライは702倍、GDPの2倍以上のマネーサプライが不動産の高騰、バブルを招いたと驚くべきデータが紹介され...
中国経済の急激な成長の二大牽引車が輸出と不動産というかなり歪な形になっており、不動産を支えているのが政府による過剰流動性供給。過去30年で経済規模は92倍に拡大したがマネーサプライは702倍、GDPの2倍以上のマネーサプライが不動産の高騰、バブルを招いたと驚くべきデータが紹介され、バブルの崩壊とインフレは不可避というのが中国経済のジレンマだと。中国経済頼りの日本も他人事では無い。一方で、此だけ非常識な規模のマネーサプライをしたにもかかわらずインフレ率が10パーセント程度に収まっているとはある意味驚くし、ハイパーインフレの亡霊に怯える日銀はどう思うのであろうか。
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中国の成長率の失速、不動産バブルの正体、それに対応策を見いだせずにジリ貧になってる政府の実情を描く。 消費者物価指数や各都市の不動産価格など、数字を引き合いに出しながら論じていた。 成長率を率いていた「外需」と「投資」→リーマンショック前後から外需が失速→量的緩和を際限なく進め...
中国の成長率の失速、不動産バブルの正体、それに対応策を見いだせずにジリ貧になってる政府の実情を描く。 消費者物価指数や各都市の不動産価格など、数字を引き合いに出しながら論じていた。 成長率を率いていた「外需」と「投資」→リーマンショック前後から外需が失速→量的緩和を際限なく進めて金余りに→内需がふるってない企業は調達資金を不動産で運用→不動産バブルの流れ。 財政出動も出尽くして、インフレとバブルの板挟みになってる様子はよくわかった。 後半4割は経済というより、それに関係する中国の社会や軍の影響力の話に進めて、若干風呂敷を広げ過ぎな印象も。 中国の経済の実情が、データとあわせてよく理解できた。 できれば、世界各国とどう連動してどう影響していくかも論じて欲しかった。
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中国の経済成長の歪みについて書きます。日本経済で個人消費が弱いと言われながらGDPの60%は個人消費。それに対し中国は37%でしかもその比率は下がりつつある。大量の銀行融資を行うことで経済成長を維持してきたがその反動で設備余剰がひどい。消費も弱く設備も余剰、ということで本来ならデフレ傾向に向かうはずが過去供給したマネーサプライの過剰によりインフレが止まらない。今年6月以降各地でちょっとしたことで暴動が起きるようになっており、ネットの普及とあわせ党の高級幹部ですら批判の対象になるようになってきている。中期的に見ても急速な老化(一人っ子政策のため、若年層が少ない)に襲われるのは既定の事実であり、難しい経済運用を迫られている。
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中国系帰化日本人の石平の本は2冊目だ。 石平は日本人としての感性を持っているように見えて、持ちきれていない。日本で育った人間は伊勢神宮で「日本」を感じることはないからだ。 その過剰さこそが石平が中国育ちであることを如実に表現するが、私は、石平の中国評価に関してはかなり信用している...
中国系帰化日本人の石平の本は2冊目だ。 石平は日本人としての感性を持っているように見えて、持ちきれていない。日本で育った人間は伊勢神宮で「日本」を感じることはないからだ。 その過剰さこそが石平が中国育ちであることを如実に表現するが、私は、石平の中国評価に関してはかなり信用している。日本評価に関しては半分ぐらいのしか信用していない。 それでも、彼のような人が日本を愛し、中国ウォッチングしてくれていることは日本人が中国を知る上で非常に高い価値があることである。これからも彼の著作は事あるあるごとに読もうと思う。 中国や韓国が崩壊するというシナリオはもうこの数十年見続け飽き飽きしているのだが、私は自分の感性を非常に重要視していて、その感性からももうそろそろだな。と感じている。それは、経済指標や経済白書からのものではない。街を見て、その建物を見て人を見て感じる普通の感性だ。 本書で語られているような中国の「先軍政治」や「暴動」や「投機」のあり方を見たとき、歴史の必然というものが顕わになる。具体的に何年何月というほど私はうぬぼれているわけではないが、必ず中国は混乱の渦に巻き込まれる。経済のソフトランディングだとかハードランディングだとか言っているレベルではないものが必ず起こる。今、正にギリシャ国債のデフォルト問題、欧州の金融・信用不安や米国のドル不信から広がる全世界的な信用不安・株安の最後の砦として中国がクローズアップされているが(ある意味日本の円高も日本がクローズアップされている証拠ではあるが)、私たちはこの30年成長し続けた中国という国を間違いなく誤解している。中国が成長しないといっているのではなく、問題は中国の偏りなのだ。偏見を取り除き、感情をかなぐり捨ててもなお中国は異常である。異常が許されるような世界ならば、私は、世界を信用しない。 私は正に今中国を信用していない。それを再認識することができる本だと思う。
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