建築計画 の商品レビュー
【建築学科】ベストリーダー2024 第7位 東京大学にある本はこちら https://opac.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=2003560859
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建築計画という分野は、建築を人間および人間の生活、そしてそれを支える環境という観点から考える学問である。 本書はこの学問の全体のうち、その底流にある時代によって移り変わることのない部分を平易に解説した本である。しかし、分野の特性上、様々なタイプの建築の各論に至るまで詳細に記述して...
建築計画という分野は、建築を人間および人間の生活、そしてそれを支える環境という観点から考える学問である。 本書はこの学問の全体のうち、その底流にある時代によって移り変わることのない部分を平易に解説した本である。しかし、分野の特性上、様々なタイプの建築の各論に至るまで詳細に記述してある。 本書は4つの章からなっており、建築計画概観、住まいの計画、施設の計画、空間の計画について、多くの例や研究結果の提示を通してそれぞれ論じている。またそれぞれの章の内容は用語や例によって関連付けられており、全体として体型をなすように配慮されている。 前述の通り平易な言葉で書かれているほか、全体を通して左ページを文章、右ページを図版としているため読みやすい。文章をメインで読み進めていくか、図版をパラパラと見て該当箇所を斜め読みするか、二つの読み方があると言える。 それぞれの内容についてはあまりに多岐に渡るためここでは触れられないが、どの章もこれまでの歩み・調査結果・これからの展望といった形で建築計画の行い方に従った構成となっている。 また全体から見て取れる主張(特に在塚氏・長澤氏の記述)として、自然主義への回帰・歴史文脈や建築を主とした既存ストックの活用、交流の場の形成の必要性、またそれら環境によって得られる人々の共同性・個人のコミュニティへの帰属意識の重要性があった。 さらにデザインという行為の主体の変遷に伴う、建築家をはじめとしたデザイナーとユーザーの間の垣根を意識啓蒙により取り払うことの必要性も述べられていた。 建築計画は現在、蓄積されてきた各種建物についての分析(縦糸の研究)をもとに、これらに共通した問題を横断的に扱う学問(横糸の研究)へと広がりを見せてきた段階である。 本書により学ぶことができた骨子の部分、またこれから見て学ぶことになる時代の潮流・地域の風土をもとに建築計画の理解を進めていきたいと感じた。
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