小川洋子の「言葉の標本」 の商品レビュー
やっぱりこういう…建築物も崩れかける最果てのどこか、文明が呼吸を止めているような世界観が似合うな…小川洋子先生の作品は…。 標本にして博物館に収納したくなるのも、なんか分かる。
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小川洋子さんが紡ぎだす言葉たち それを“標本”という新しい形で楽しめる作品_ 標本にされた言葉はただ無機質に並べられるのではなく、一つひとつの言葉に相応しい場所に置かれ、その麗しい写真を眺めることで さらに言葉をそっと愛玩するような気持ちにさせてくれる 心地よ...
小川洋子さんが紡ぎだす言葉たち それを“標本”という新しい形で楽しめる作品_ 標本にされた言葉はただ無機質に並べられるのではなく、一つひとつの言葉に相応しい場所に置かれ、その麗しい写真を眺めることで さらに言葉をそっと愛玩するような気持ちにさせてくれる 心地よい言葉の数々が この世から忘れられてしまわない様に… 消えてしまわない様に…と願いが込められている 小川さんの作品の中から 標本にするために選びぬかれた言葉たちを 読み進めていくうちに “彼らは間違いなくこの世界で 何らかの役割を果たしてきた名残_”として 大切に思われている幸せな言葉たちなのだと しみじみと感じさせてくれる作品でした
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小説を「言葉の標本」と表現する感性が素敵です。 確かに。図書館や本屋で本を手にしたときの高揚感は、博物館で恐竜の化石や動物の剥製を生で見たときと似ている。 小川さんの美しい言葉がたくさん詰まった標本。もう一度手に取ってドキドキしたい。
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小川洋子の言葉(物語)を標本化し、一冊の本を”博物館”に見立てた意欲的な作品。 2010年は紙の本が消えていく始まりの日かもしれないという不穏なはじまり。 電子書籍の台頭だけでなく、そもそも紙というものは脆く傷みやすく、それ自体が時間を経れば消えてなくなってしまうものだ。 そし...
小川洋子の言葉(物語)を標本化し、一冊の本を”博物館”に見立てた意欲的な作品。 2010年は紙の本が消えていく始まりの日かもしれないという不穏なはじまり。 電子書籍の台頭だけでなく、そもそも紙というものは脆く傷みやすく、それ自体が時間を経れば消えてなくなってしまうものだ。 そして標本とは永遠でないものをある状態で時間軸から切り取り保存することである。 そんな風に考えれば本(物語)を標本にするという行為が矛盾しなくなる。 小川洋子の思想をまとめたパートと、デビュー作から2010年頃までの作品の紹介という構成になっている。 作品紹介については、それぞれの物語から印象的なテキストを抜粋している。 ここで趣向が見られるのはその背景。 風景や人物写真とのコラージュなどよくあるものだけでなく、テキストが収められた紙が試験官に入っていたり、物語を最大限魅力的に見せる趣向が凝らされている。 そうして標本化された物語は魅力的なのだが、小川洋子作品を1,2冊しか読んだことがないとか、イマイチ面白さがわからない、という人には響くものが乏しいかもしれない。 作品の全体像を知ってこそ、どうしてこのテキストが抜かれたのか、なぜこの演出なのかを考えることができる。 やはり最もよかったのは『密やかな結晶』のページ。 ここしかない、という最高のパートを抜いてある。 読んで(眺めて)いるとき、今後紙の本が減っていく中で紙の本である価値はこんなふうな形に落ち着くのではないかと思った。 ただ文字を印刷した紙を束ねたものではなく、物語世界を盛り上げる装飾。 手にとってじっくり眺めていたい一冊である。
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一見、写真を多用した美しい詩集のよう。 企画者自身が終章で「試み」といっている通り、あまり完成された本という感じはしない。
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画と文字との配列にぐっときた。4、5行の短い文章がぽつんぽつんと書かれているところもある。この本はぜひ本を読まないという人に読んで欲しい。すうっと言葉が入ってゆく。本が消える世の中になってしまったことを憂いつつ、ああ、本を読もうって思いました。
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作者のこれまでの著作の中から選ばれた言葉たちがビジュアルとともに展示されています。あらかじめこれらの作品を読んでからのほうがいっそう楽しめそうです。
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発想が面白い本ですね。 小川洋子という作家の作品や本人のこと、小説自体のこと。 「言葉の標本」博物館。 町から本が消え始めた今、言葉を標本にして残そうという試み。 作者の作品を沢山読んでいる人の方が、よりこの本を楽しめると思います。でも今から読む人にも楽しんでもらえるよう作った...
発想が面白い本ですね。 小川洋子という作家の作品や本人のこと、小説自体のこと。 「言葉の標本」博物館。 町から本が消え始めた今、言葉を標本にして残そうという試み。 作者の作品を沢山読んでいる人の方が、よりこの本を楽しめると思います。でも今から読む人にも楽しんでもらえるよう作ったものでもあります。 作者の小説の数々と、「本」のあり方について考えさせられた一冊です。
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人の気配がしないエッセィだなーと思った。 永遠に留めておきたい、失いたくない、と願うものが有るからこそ人は、 「博物館」の建造を始めたのだと思う。 時の流れに逆らう事の出来る空間。 現在から過去へ。 現在から未来へ。 透明なガラスケースの中で静かに眠ってさえいれば、 消える...
人の気配がしないエッセィだなーと思った。 永遠に留めておきたい、失いたくない、と願うものが有るからこそ人は、 「博物館」の建造を始めたのだと思う。 時の流れに逆らう事の出来る空間。 現在から過去へ。 現在から未来へ。 透明なガラスケースの中で静かに眠ってさえいれば、 消える事なく、失われる事なく、いつまでも存在し続ける事が可能なこの場所に、 著者は言葉を持ち込んだ。 言葉の博物館… に、してはどうして人の気配がしない?(私には。) それは、彼ら(言葉達が) 主張もしない、 メッセージ性もない、 まるで昨日も見た風景の様であったから、だと感じた。 だが、 息をするように心地良い言葉の数々を (消えてしまわぬ用に…)(忘れられてしまわぬ様に…) と、願いを込めつつ 標本にする為に切り抜いた(これまでの著者の書物の中から)言葉を読み進めていくうち、 冒頭で著者が述べていた <彼らは間違いなくこの世界でなんらかの役割を果たしていた名残> として大切に思われている幸せな子達なんだなぁと、しみじみ感じ入った。
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この本を編集したかったな!!と思うくらい素敵だった。 標本好きなんだよね。小川洋子好きなんだよね。廃墟も死んだ人々も不遜ながら同じ考えだなと思って深く納得した。 ジャンルは違えど、長野まゆみと同じ雰囲気を持ってるから余計に好きなのかな。 とにかく装幀も素晴らしい。
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