バット・ビューティフル の商品レビュー
ジャズミュージシャンの伝説が、小説になっている。文章が抜群にうまい。悲惨な生き方、アフリカ系の人への差別。村上春樹訳。彼の音楽関係の本は見逃さないことにしている。
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伝説のジャズ・ジャイアンツ7名+1に関する「想像的批評」「自由評伝」。最後にあとがきとして添えられた評論の中に、「詩の対価」、「内在化された危険性」「差し迫ったリスクの感覚」といった言葉で表現されるように、本書に描きつくされるのはジャズ・マン個人がそのパフォーマンスと引き換えに支...
伝説のジャズ・ジャイアンツ7名+1に関する「想像的批評」「自由評伝」。最後にあとがきとして添えられた評論の中に、「詩の対価」、「内在化された危険性」「差し迫ったリスクの感覚」といった言葉で表現されるように、本書に描きつくされるのはジャズ・マン個人がそのパフォーマンスと引き換えに支払わざるを得なかった大きすぎる人生の負債である。 戦争神経症、統合失調症、取り残され感、やり場のない怒り、そして無尽蔵のドラッグと酒。 真夜中の闇のなかで黒くてみえない、そんな音楽。 いま、わたしたちはECMの静謐の中になにを感じとればいいのだろう。
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ある程度のジャズに関する知識がなければこの本の良さが分からない。 もう少しジャズを知ってから再読したい。
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「こんなに傷つき、痛めつけられて、それでも…それでも…それでも…美しいわ。」そんな感覚を、そんな瞬間をジャズの巨人たちの心の中に言葉として表現しようとしている作品。伝記とかじゃなくて、物語という気もしなくて、詩とか写真とかで感じるものに近いかも。わざわざ序文のあとに、写真のための...
「こんなに傷つき、痛めつけられて、それでも…それでも…それでも…美しいわ。」そんな感覚を、そんな瞬間をジャズの巨人たちの心の中に言葉として表現しようとしている作品。伝記とかじゃなくて、物語という気もしなくて、詩とか写真とかで感じるものに近いかも。わざわざ序文のあとに、写真のためのノートが記されていたりします。画像検索した彼らのポートレートを目の前にすると文章がさらに浸み込むものになりました。「この飛翔の頂点で、重力がもう一度力を持ち始める前に、まぎれもない無重力の一瞬がやってくる。」ジャズが人間の一番柔らかい部分とそれが失われる儚い一瞬について芸術だとしたら、アーティスト達はその体現だったのでしょう。
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YouTube片手に愉しく読んだ。 モンクさんのお話がニヤリ。 私的にツボだったのは村上さんが見え隠れした?と思ったウェブスターさんのお話。
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村上春樹訳。 セロニアス・モンク、バド・パウエル、チャールズ・ミンガスなど七人のジャズアーティストのエピソードをジェフ・ダイヤーが脚色したもの。知られたエピソードはスタンダード曲のようなもので、自分のヴァージョンにしてインプロヴァイズしたと冒頭に書いている。ジャズの巨匠には、それ...
村上春樹訳。 セロニアス・モンク、バド・パウエル、チャールズ・ミンガスなど七人のジャズアーティストのエピソードをジェフ・ダイヤーが脚色したもの。知られたエピソードはスタンダード曲のようなもので、自分のヴァージョンにしてインプロヴァイズしたと冒頭に書いている。ジャズの巨匠には、それぞれ壮絶な物語がある。
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村上春樹訳による。歴史に残るジャズミュージシャン達の、あるエピソードから自由に想像を巡らされて、想像的なエピソードが語られる。伝記であり、批評であり、エッセイであり、短編小説である。ある主題を元に展開していく想像力豊かなフリーフォームさは、ジャズを小説にするとこうなるのか…と思わ...
村上春樹訳による。歴史に残るジャズミュージシャン達の、あるエピソードから自由に想像を巡らされて、想像的なエピソードが語られる。伝記であり、批評であり、エッセイであり、短編小説である。ある主題を元に展開していく想像力豊かなフリーフォームさは、ジャズを小説にするとこうなるのか…と思わせる。 そのスタイルだけでなく、文体も流し読みは出来ない難しい表現が見られることが多いが、ただ、語られる情景はとても詩的で美しい。何を言っているかわからないようでいて、本当の所は心血を注いで書かれた文章であり、気迫以上の透徹されたものが滲み出ている。このあたりは、村上春樹が訳したからこそ、日本語でも感じられるようになったのかもしれない。 各ストーリーは、大体ジャズミュージシャンの破滅が語られる。ほとんどは、麻薬と黒人への差別。なぜか過去のジャズミュージシャンは、悲劇的な末路を辿るケースが多いらしい。だからこそ、全ての短編を、破滅に焦点を当てなければこの本による表現は成り立たなかったのかも。 だけど、とても美しい小説。タイトルがかっこ良いだけあって的を得ている。
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バド・パウエルやアートペッパーなど、ジャズのジャイアンツと言われる人々の出来事を、本人のように、あるいは全部側で見てきたように書いてくという本。有名なエピソードと虚構の混ざり具合が絶妙で、本当にそう考えていたのではないかという説得力を持つ。短編小説の形を取りながらも、一種の批評に...
バド・パウエルやアートペッパーなど、ジャズのジャイアンツと言われる人々の出来事を、本人のように、あるいは全部側で見てきたように書いてくという本。有名なエピソードと虚構の混ざり具合が絶妙で、本当にそう考えていたのではないかという説得力を持つ。短編小説の形を取りながらも、一種の批評になっているのが面白い。胸にせまるし、知識をえることもできる。 とにかく、ジャズ=ある特殊な人生という構図。こんなにジャズを演奏する人に肉薄してくれる本は初めてだった。もちろんタイトル通り、切なくロマンティックな内容です。 読み終えて自分の棚から、目に付いたチェットベイカーを取り出して聴いた。大学生の時、村上本や寺島本を持って、CD・ショップを巡ったのが思い出される。 後半に付属しているあとがき・・というか論文のようなものは、内容が濃くと呼んでてちょっとしんどい。別物として読むといいと思います。
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伝説のジャズミュージシャンたちに関する伝記的小説。そこに、生きた彼らの姿を目に浮かべることができる。心にじわじわと重さを感じる物語たち。悲劇と伝説との間でヒーローたちが苦しんだのかな、と考えたり。 でも、私がジャズミュージシャンに詳しければもっと楽しめたんだと思うんだけど。浅学...
伝説のジャズミュージシャンたちに関する伝記的小説。そこに、生きた彼らの姿を目に浮かべることができる。心にじわじわと重さを感じる物語たち。悲劇と伝説との間でヒーローたちが苦しんだのかな、と考えたり。 でも、私がジャズミュージシャンに詳しければもっと楽しめたんだと思うんだけど。浅学なのが残念。
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これがどういう本かについては、訳した村上春樹さんのあとがきを読めばわかる。 ペーパーバックの裏表紙に印刷してあったという、キース・ジャレットの推薦文にあるように「『ジャズに関する本』というよりは『ジャズを書いた本』」である。 解説でも批評でもないし、ディスクガイドでもない。それ...
これがどういう本かについては、訳した村上春樹さんのあとがきを読めばわかる。 ペーパーバックの裏表紙に印刷してあったという、キース・ジャレットの推薦文にあるように「『ジャズに関する本』というよりは『ジャズを書いた本』」である。 解説でも批評でもないし、ディスクガイドでもない。それぞれのミュージシャンの評伝というのとも違う。 それぞれのミュージシャンたちの人生の一片を、事実に即して取り出し、浮き上がらせているのだが、むしろ味わいは小説のようだ。 章と章の間に挟まれたストーリーが、そう思わせるのかもしれない。面白い構成。 読みながら、或いは読んだ後、そのミュージシャンの曲が聴こえるような、そして聴きたい!という気になるのだから、「いい」ジャズの本、と言えるのは間違いない。 ここには確かに、音楽が流れている。 それにしても、村上氏の訳したものを読むたび、優れた翻訳というのは、翻訳者が透明人間になっているものじゃなかな、と思う。 読んでいるうちに、翻訳者は見えなくなって(同一化しているのかも?)、直接著者から話しかけられているような気分になる。
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