人生教習所 の商品レビュー
タイトルに惹かれて手に取った一冊。浅川、柏木、森川ら、各々の視点で物語が展開。冗長した箇所がありつつも小笠原諸島の自然、歴史、ワケあり人物の再生を無事見届けて、快く読了。
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何より心に残るのは小笠原の自然。美しい海、魚、イルカ。新島を思い出す描写でした。 淡々とした教養セミナーと参加者の人間模様を描く小説ですが、過去を乗り越えて少しずつ前向きになる参加メンバーたちと共に、私もゆっくり癒されていく気がしました。人生教習所、しっくりくるいいタイトルだなと...
何より心に残るのは小笠原の自然。美しい海、魚、イルカ。新島を思い出す描写でした。 淡々とした教養セミナーと参加者の人間模様を描く小説ですが、過去を乗り越えて少しずつ前向きになる参加メンバーたちと共に、私もゆっくり癒されていく気がしました。人生教習所、しっくりくるいいタイトルだなと思います。
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この小説は作者の心象風景のようなものなのかな。ふとそう思った。いや。小説というものは、すべからく作者のなかに生まれた心象風景なのかもしれない。そうした心象風景を、不特定の見知らぬ読者たちに表現として受け渡す方法こそが小説、であるのかもしれない。 本書は小笠原で行われる人間再...
この小説は作者の心象風景のようなものなのかな。ふとそう思った。いや。小説というものは、すべからく作者のなかに生まれた心象風景なのかもしれない。そうした心象風景を、不特定の見知らぬ読者たちに表現として受け渡す方法こそが小説、であるのかもしれない。 本書は小笠原で行われる人間再生セミナーを三人の男女の視点で描いた長編小説である。思考や五感は主人公らに委ねられ、その中で参加者たちの実像が明らかになってゆく。同時に三人も自分たちを新たな眼で見つめなおしてゆく。読者は、時系列に従ってセミナーをシミュレートする。変わった小説である。物語は、ここにはない。むしろ主人公らの回想の中に物語が存在する。出会う人たちの中に物語が存在する。 島に暮らしてきた人々。戦前から住んでいた人たち。戦争中に疎開し、島に戻ってきた人たち。戦後移住してきた人たち。小笠原に魅せられてとりあえず移り住んでいる人たち。小笠原固有の島の歴史に沿って、米日の国籍を変えた人たち。変えなかった人たち。多くの個人の歴史の集積が今の小笠原を作っている。作者はそんな語り口で、本書を群像小説に作り上げたのだと思う。 何のてらいもない。再就職の一手段として参加した者。老後の孤独な時間を埋めるためにやって来た者。人生の先々が見えないゆえに救いを求めてきた者。自信を失い行き場を失った者。彼らの再生を、物語ではなく、あくまでセミナーのルポルタージュのように描いた、現実に近いところに身を寄せた小説なのである。珍しい、と思う。 元アメリカ人で今は帰化して日本名になっている方々の講話は、作者取材によるところが多いようであり、現実に1962年というポイントで、唐突にアメリカから日本に返還された小笠原と、そこに暮らしていた人々の混迷が語られる。兄弟のうち半分はアメリカ人として本国に渡り、半分は日本国籍を取得して東京に就職したり島に残ったりしてきたという現実。戦争という歪みに曝された島の現実は、彼ら数名の語りから得ることができる。 小笠原の自然は、登場人物のほとんどの人間から好ましい目線で描かれている。癒し、再生の象徴としての海であり、空であり、夕陽であり、永遠である。小笠原に興味のある方なら、そちらの側面から読んで頂いてもよいと思う。読めば誰でも一度は小笠原に行きたくなるような本である。歴史、自然、またそれ以上に血の通った観光案内書としても貴重な一冊である。
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満足のいかない今の人生をどうにかしたい。 自分と向き合い、他人と向き合いながら、少しずつ前に進んでいく登場人物達の姿が印象的だった。
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南の島で開催されたセミナーでの、元ヤクザ、引きこもり東大生、デブの女性ライター、リタイア済みの老人の4名の話。セミナーを通して変化する心情が淡々と描かれる。特に事件も謎もない。作者でミステリーや冒険物と思って読むと間違える。
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小笠原で開催された人間再生セミナー「小笠原塾」、参加した大人の落ちこぼれたちの再生物語。 小笠原塾の真の目的を理解するには至りませんでしたが、南洋の小さな島での2週間で、主な登場人物の4人の男女が新しい自分を見つけることが出来たという結末に、良い読後感を持ちました。 また、戦...
小笠原で開催された人間再生セミナー「小笠原塾」、参加した大人の落ちこぼれたちの再生物語。 小笠原塾の真の目的を理解するには至りませんでしたが、南洋の小さな島での2週間で、主な登場人物の4人の男女が新しい自分を見つけることが出来たという結末に、良い読後感を持ちました。 また、戦後の小笠原の歴史については知識がまるきりなかったので、事実に驚かされ、色々と考えさせられました。 その意味では、良い出合いだったと思います。 元ヤクザの柏木は、ヒートアイランドシリーズにも登場するとの事。 シリーズ1作目で、苦手意識を持ってしまいましたが、改めてまた手に取ってみたいと思い始めています。
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島の歴史部分が少し退屈で(大事なのだろうが…。)読み飛ばしました。ストーリーとしてはまずまずでした。
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長かった…。小笠原諸島の歴史は全く知らなかったのでかなり勉強にはなった。ただ、所々、このエピソードいる?それより話の続きを!!という箇所もけっこうあり、悶々としながら読んだ。少し前に読んだ「ワイルドソウル」と「リストラシリーズ」→(勝手にそう呼んでいる)の要素がちょっとずつ入って...
長かった…。小笠原諸島の歴史は全く知らなかったのでかなり勉強にはなった。ただ、所々、このエピソードいる?それより話の続きを!!という箇所もけっこうあり、悶々としながら読んだ。少し前に読んだ「ワイルドソウル」と「リストラシリーズ」→(勝手にそう呼んでいる)の要素がちょっとずつ入っていた(笑)太郎のその後が気になる。
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引きこもりの休学中の東大生、元ヤクザ、女性フリーライター、隠居したコロンビアから帰国したおじさん。人生落ちこぼれ達が、そんな人の為の人間再生セミナー小笠原塾に参加する。アメリカ領から、日本領に変わった小笠原諸島、世界と日本を見る視点、美しい自然の中で、少しずつ自分とは何か、そし...
引きこもりの休学中の東大生、元ヤクザ、女性フリーライター、隠居したコロンビアから帰国したおじさん。人生落ちこぼれ達が、そんな人の為の人間再生セミナー小笠原塾に参加する。アメリカ領から、日本領に変わった小笠原諸島、世界と日本を見る視点、美しい自然の中で、少しずつ自分とは何か、そして何をすべきかに気がついて行くというストーリー。 爽やかな風を感じる文体、何かを掴んだ、ふわっとした感覚が心地よい作品。「午前三時のルースター」のような疾走感こそ無いが、そこまで深堀りしていないにも関わらず、人間ドラマとして、それぞれのキャラクターとそれにまつわるサイドストーリーが非常に整っている。 人生は、自分のためにある。だけど、それが豊かであるためには、周りの人が幸せであることが必要だ。他人のことを思う、周りのことに少し興味を広げてみる、その結果、美しいものや素敵なことにより多く気がつくことができる。自分を変えるということは簡単ではない。でも、できないなんてことはないと勇気づけられる作品。
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財界の有名人主催の小笠原諸島での自己啓発セミナーの類に参加した四名の話。年齢的にと言うか、性格的に通り過ぎた部分がテーマと言う感じで、あまり感じる部分はなかった。読み物として普通に読んだ。著者の過去の作品に出てる人物が出てるらしいが、単独でも問題なく読める。
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