赤い三日月(上) の商品レビュー
2012.6記。 黒木亮氏の著作は何と言っても、圧倒的な「正義の味方」や「悪の権化」が出てこず、普通の登場人物が普通の難題に取り組んでいる姿に共感する。 「何でも調整、何でも合議」の連続で、時間だけが経っていき「やばいもうだめだ」と言いながらそのときなりの窮地を脱する。黒木氏...
2012.6記。 黒木亮氏の著作は何と言っても、圧倒的な「正義の味方」や「悪の権化」が出てこず、普通の登場人物が普通の難題に取り組んでいる姿に共感する。 「何でも調整、何でも合議」の連続で、時間だけが経っていき「やばいもうだめだ」と言いながらそのときなりの窮地を脱する。黒木氏はこのサラリーマン的なピンチの描き方が本当にうまい。 もうひとつ、この人の小説はしばしば世界が舞台となるが、各地の風景がまたいいんだよな。華麗な表現とは無縁だが、「ビジネスマンが出張して目にするレベルの外国の美しさ」の描き方が何とも言えずよい。 ストーリー自体は、世銀・IMFをいかにも戯画的に悪玉として描きすぎでは、という点はあるものの個人的にはエンターテインメントとして許容範囲かなと。相変わらずのテンポで読みやすく満喫させて頂いた。
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ヨーロッパとアジアの結び目に位置するトルコ。今の日本人には馴染みの薄い国かもしれないが、かつては東欧から中東に覇を唱えた大国であり、現代でもGDP世界17位のOECD加盟国である。しかしこの物語の主人公但馬の時代には、インフレに財政赤字、不安定な議会政治に繰り返されるクーデターと...
ヨーロッパとアジアの結び目に位置するトルコ。今の日本人には馴染みの薄い国かもしれないが、かつては東欧から中東に覇を唱えた大国であり、現代でもGDP世界17位のOECD加盟国である。しかしこの物語の主人公但馬の時代には、インフレに財政赤字、不安定な議会政治に繰り返されるクーデターと、かつての大国は先進国と後進国の間でフラフラしていた。そのトルコが数百億に膨らんだ対外債務がどうファイナンスするか、を巡って物語は展開していく。 相変わらず、黒木さんの筆致は精密である。シンジケートローンを巡る銀行実務も、調達側のトルコ政府の内側も、当事者達が行き交ったであろう街の風景ですらも、緻密に描き出すから黒木小説は面白い。 と、ここまではいつもの黒木節だけど、この小説を彩るのは銀行内部のどろどろした人間関係だろう。どの会社にも意地の悪い人や他人を蹴落とすことで生き残ろうとする人はいる。それは日本も外国も関係ない。それはわかっているけど、いや、わかっているからこそ、人の心の中の黒い部分が炸裂した姿に胸が痛んだ。フィクションとは書いてあるけど、誰かの身の上に降りかかった話なんだろうし。
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経済小説はあまり読んだことがなかったのですが、臨場感があり一気に読めました。専門用語もわかりやすく解説してあり、トルコの歴史も随所に堪能できました。
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ソブリン債務なんて言葉は新聞などでしか見たことがなかった。トルコ(赤い三日月)に融資するため、トルコや社内の抵抗勢力を相手に奮闘する銀行マン。格好いいです。人生をかける仕事として、面白そうです。大変そうだけど。 著者は学生時代、箱根駅伝に二度も出場されたそうです。文武両道の方っ...
ソブリン債務なんて言葉は新聞などでしか見たことがなかった。トルコ(赤い三日月)に融資するため、トルコや社内の抵抗勢力を相手に奮闘する銀行マン。格好いいです。人生をかける仕事として、面白そうです。大変そうだけど。 著者は学生時代、箱根駅伝に二度も出場されたそうです。文武両道の方って実在するんですね。
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欧州債務問題や日本が抱える巨額の公的債務といった、ソブリン危機の舞台を知るために読んだ一冊。上巻では、トルコの資金調達を背景にストーリーが展開される。
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やはり黒木氏の本は面白い。題材が国際金融に偏ってはいるが、いつも心踊らされる。 トップレフト以来氏の金融小説を読み続けてきて、ハズレと感じたものはない。 今回はトルコ。約20年前の出来事であるにも関わらず、臨場感のある描写、緊迫した状況、されどバックボーンにあるトルコの歴史。 シ...
やはり黒木氏の本は面白い。題材が国際金融に偏ってはいるが、いつも心踊らされる。 トップレフト以来氏の金融小説を読み続けてきて、ハズレと感じたものはない。 今回はトルコ。約20年前の出来事であるにも関わらず、臨場感のある描写、緊迫した状況、されどバックボーンにあるトルコの歴史。 シンジケートローンなどというと、おどろおどろしい感があるが、そんなことはなく、それらを含めすんなりと頭に入ってきて、その仕組みよりも、人々の生き馬の目を抜くようなやり取りに心が揺り動かされる。さっそく下巻を購入する予定。
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ソブリン(国債や国が運営する企業体が発行する債券)債務に関するお話。舞台はトルコ。トルコ国の発展および経済の安定を願うトルコの銀行と役人が邦銀や証券会社や外国のバンカー達との交渉のせめぎ合いを記している著書。新興国特有の官僚の腐敗具合を踏まえたカントリーリスクの考え方は投資の考え...
ソブリン(国債や国が運営する企業体が発行する債券)債務に関するお話。舞台はトルコ。トルコ国の発展および経済の安定を願うトルコの銀行と役人が邦銀や証券会社や外国のバンカー達との交渉のせめぎ合いを記している著書。新興国特有の官僚の腐敗具合を踏まえたカントリーリスクの考え方は投資の考え方として参考になります。自身の所属しているところの利益が損なわれるならば、頑として譲らない姿勢は見本にしたいです。それに加え、たとえ対立している人同士でも、その様な姿勢を持って仕事をしている人には敬意を払うという腹座りは、自身も持っていたいです。
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最近黒木亮氏の本を読むと、金融の知識はもういいので、中東の歴史や情勢を無性に学びたくなります。舞台の背景を知れば、もっと面白く読めるはず。
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上巻はまだ序盤な感じで、邦銀のトルコ向け融資とかそういった話が中心。作者の作品は結構読んでいるつもりだが、今回の著作はやたらトルコの情景描写が多いように感じる。あと、話自体もタイムリーな話ではないので、上巻での今のところの評価はイマイチ。下巻に期待しよう。
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