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秘め事しらべ 甘やかな罠 の商品レビュー

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シリーズ中で白眉の官能描写と可愛げのある結末が心地よい完結編

『秘め事しらべ-相棒は女探偵』で始まった本シリーズ三部作も『禁断の交際』を経た本作で完結に至った。いわゆる色堕とし役として重要ではあったが実情はパシリでもあった主人公の成長や、年上で穢れた自分を卑下しながらも次第に恋情を傾けていくヒロインの苦悩といった諸々の要素を盛り込みつつ、最...

『秘め事しらべ-相棒は女探偵』で始まった本シリーズ三部作も『禁断の交際』を経た本作で完結に至った。いわゆる色堕とし役として重要ではあったが実情はパシリでもあった主人公の成長や、年上で穢れた自分を卑下しながらも次第に恋情を傾けていくヒロインの苦悩といった諸々の要素を盛り込みつつ、最後は簡潔ながらも爽やかな読後感をもたらす幕の引き方になっていたと思う。何よりヒロインの可愛げのある嫉妬心の発露が微笑ましかった。当初は何かと注文の多かったヒロインと主人公との「練習」と称した情交も立場がすっかり逆転しており、本作ではむしろ照れ隠しの趣もあって良かった。 主人公の公私共に渡る行動が前面に出ているために何かと隠れがちなポジションでもあった本作でのヒロインだが、実は前作でも陥っていたピンチに今回も遭遇する。それも執拗で粘着質で老獪な男の手練手管に堕ちてしまう一時的な敗北である。この場面での官能描写は白眉と言えよう。女探偵という職業故に読み手としても期待するところであろうし、もしかしたら、ほぼ同時期に出されていた『深川てんぐ三姉妹』シリーズに触発された部分もあったかもしれないが、誘惑作品としては思い切った完堕ちシーンだったと思う。本作での官能描写には、シリーズを通じて主人公とヒロインが育み、そして悩ましく交錯する想いが背景にあるため、これがスパイスとなって興奮度を高めていたように感じた。 元より物語の組み立てはしっかりしていた作者が本来有するべき官能描写のコツを掴んだのであれば、これはなかなかに期待値の上がる今後と言えるのではなかろうか。

DSK