淫蕩る… の商品レビュー
タイトルに偽り無いが裏表紙のあらすじとは印象が異なる
フランス書院文庫名物(?)な裏表紙の6行あらすじにある、『未亡人は知らない』から始まる2行は、ある意味お得意パターンなのだが、ここに書かれた印象とは大いに異なる作品。隣の未亡人(32歳)も、その娘(義理の娘、17歳)も、表立ってはいないが主人公(16歳)が大好きな、愛に溢れた作品...
フランス書院文庫名物(?)な裏表紙の6行あらすじにある、『未亡人は知らない』から始まる2行は、ある意味お得意パターンなのだが、ここに書かれた印象とは大いに異なる作品。隣の未亡人(32歳)も、その娘(義理の娘、17歳)も、表立ってはいないが主人公(16歳)が大好きな、愛に溢れた作品である。そして、本作の主人公は、隣人の誼で幼馴染みであり、姉同然に過ごしてきた娘と言えよう。彼女の健気な暗躍がファンタジーな愛情物語の鍵を握っている。 娘との前半、未亡人との後半とに大別されるが、官能的には前半の方が奥行きがあって良好。本来ならメインとすべき未亡人との後半は、官能描写こそ延々と続くものの、時間は経過しておらず、主人公の念願が成就されたことを伝えるのみである。しかし、娘の秘めた想いも成就するクライマックスが甘く演出されており、読み手も甘々に「淫蕩る」結末と言えるかもしれない。 ただ、倍も年の離れた未亡人に向かって少年が真っ当に、ど真ん中にストレートな愛情をぶつける展開は、さすがにというかむしろ読み手の方が官能ファンタジーと把握しており、そのお互いの心情が繰り返し綴られる中にあっても「やっぱりどうしてもあんまり現実的じゃないよね?」といった冷静さがもたらされてしまうところがあって、つまりはこっ恥ずかしくなって少々引いてしまうのである。少しばかりおままごとっぽさが出ちゃったかな?
DSK
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