帰還の謎 の商品レビュー
ハイチの作家の作品。父親は当時の独裁政権に抵抗したためニューヨークに亡命。4歳だった作家本人も田舎の祖母に預けられて育ち、成長してからジャーナリストになったものの体制批判をした同僚が殺されたことから自分もカナダに亡命、という経歴を持っているそう。 これは自伝的な作品で、ニューヨー...
ハイチの作家の作品。父親は当時の独裁政権に抵抗したためニューヨークに亡命。4歳だった作家本人も田舎の祖母に預けられて育ち、成長してからジャーナリストになったものの体制批判をした同僚が殺されたことから自分もカナダに亡命、という経歴を持っているそう。 これは自伝的な作品で、ニューヨークに亡命していた父親が亡くなったことから、ニューヨークで父親の葬儀を済ませ、30年ぶりに故郷のハイチに戻る作家の旅を描いています。 植民地として収奪され続け、その後は独裁者に延々と支配され続けた極貧の国ハイチの情景、親族や父親を知る人達との交流が詩と散文の混合体で描かれています。 とても悲しい話なのだけど綺麗な文体であっさりと読めてしまいました。 南国ってなんとなく悲しげな雰囲気がしますが、上手く表現できてると思います。個人的には詩がちょっと苦手なので読み難い箇所もあったけど。 それにしても作者が影響を受けた作家がボルヘスと芭蕉…ハイチの作家がどこで芭蕉作品と出会ったんだろう。
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【詩と散文が混じり合うフシギな構成。対訳が非常に素晴らしい】 「オスカー・ワオ」がドミニカの独裁政権に「囚われた」人々の話だったのに対して、今作は、ハイチの独裁政権に囚われた人々の話。その中で、父を、そして自分を探していく作家の話。 共通するのは「なぜそこから逃れられないのか...
【詩と散文が混じり合うフシギな構成。対訳が非常に素晴らしい】 「オスカー・ワオ」がドミニカの独裁政権に「囚われた」人々の話だったのに対して、今作は、ハイチの独裁政権に囚われた人々の話。その中で、父を、そして自分を探していく作家の話。 共通するのは「なぜそこから逃れられないのか」ということ。いや、そもそも「逃れようともしていない」人もいるということ。でも、当事者とはそういうものなのかもしれない。そして、それはここ日本でもそんなに大差はないことなのかもしれない。作中、「或る独裁者が力の失い、別の誰かが権力を握ろうとも、裏に潜む何かは変わらない」といった言葉がでてくる。我々はまずその事実を認識するところから始めないといけないのだろう。
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