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奇跡なす者たち の商品レビュー

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7件のお客様レビュー

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2017/06/06

ジュブナイルなSFから離陸して興味をどんどん広げていった頃、指針になったのが浅倉久志。 英語が苦手だと改めて思い知らされたのがジャック・ヴァンス…(-_-;)

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2013/03/26

一作目「フィルスクの陶匠」での陶器を表現する色彩の豊かさに、まず心を鷲摑みされる。 「奇跡なす者たち」「最後の城」で描かれた世界はどこか既視感があるなと思ったら、そうかG・R・R・マーティンの氷と炎の歌シリーズか! なるほど、マーティンは“ヴァンスの子ら”と呼ばれる作家の一人なの...

一作目「フィルスクの陶匠」での陶器を表現する色彩の豊かさに、まず心を鷲摑みされる。 「奇跡なす者たち」「最後の城」で描かれた世界はどこか既視感があるなと思ったら、そうかG・R・R・マーティンの氷と炎の歌シリーズか! なるほど、マーティンは“ヴァンスの子ら”と呼ばれる作家の一人なのか。 あのシリーズ、異世界ファンタジーとして読んでいたけれど、もしかするともしかするのかしらん。ふ~む。 流転の人生を送ってきた作家らしく、新しい未来を切り拓いていくのは変化を恐れない人々である、というふうに読めて清々しい。 収められた8作はどれも面白かったけれど、どこか物悲しい「ミトル」と「月の蛾」が好き。  The Miracle Workers by Jack Vance

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2012/05/17

ジャック・ヴァンスは昔から名前のみ知っていて、読む気にならなかった作家の一人(表紙絵が好きじゃなかったのだろうか、タイトルが気に入らなかったのだろうか?)。 なぜに今ヴァンス?浅倉氏の訳で? あまりに不思議なので読んでみた・・・めちゃめちゃ面白いのとは少し違う、不思議な味わい。...

ジャック・ヴァンスは昔から名前のみ知っていて、読む気にならなかった作家の一人(表紙絵が好きじゃなかったのだろうか、タイトルが気に入らなかったのだろうか?)。 なぜに今ヴァンス?浅倉氏の訳で? あまりに不思議なので読んでみた・・・めちゃめちゃ面白いのとは少し違う、不思議な味わい。解説曰く、英米では大御所。日本でいう山田風太郎的存在・・・と言われても、微妙な位置づけかも。 収録作品は50年代~60年代の結構古いものですが、古びた感じはありません。テクノロジーや感性に寄った書き方をしていると流行や時代性が反映されやすいですからあっという間に古びてしまうのですが、作者の場合、文化を中心に描いているため、いつ読んでもあまり古びた感じはしないのかもしれません。船乗りで世界を巡っていた経験がそうさせているのでしょうか。 印象的なのは、情景を描写する際の色の表現の仕方。異国の情景を頭に浮かべるとわくわくしてきます。 位置づけと作風が不思議な作家です。ほかのも読んでみよう。

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2013/01/04

 仮面と楽器を通した厳格な様式によって公的地位を表現する文化(「月の蛾」)だとか、人骨を用いて焼き物に魂を定着させるという民族(「フィルスクの陶匠」)だとか、技術と生産を異なる人種に行わせ、洗練された儀礼を競い合う貴族階級だとか(「最後の城」)。  高度に洗練された異文化を描き出...

 仮面と楽器を通した厳格な様式によって公的地位を表現する文化(「月の蛾」)だとか、人骨を用いて焼き物に魂を定着させるという民族(「フィルスクの陶匠」)だとか、技術と生産を異なる人種に行わせ、洗練された儀礼を競い合う貴族階級だとか(「最後の城」)。  高度に洗練された異文化を描き出すときの繊細で華麗な筆致と、斬新で大胆なアイデアの組み合わせが、たまらなく魅力的な中・短編集だ。巻末の訳者解説で、これらの作品が1950~60年代に発表されたものだと知ってびっくり。文化人類学の学位をもつ現代のポストモダン作家の作品だと言われても信じてしまいそうだ。「ヴァンスが登場するまで、SFは異文明を描くもので、異文化を描くものではなかった」のだそうで、なるほどね。 確立された呪術の技術で支配階級に使える術師たちが、科学技術をわがものとした奴隷種族の挑戦を受ける「奇跡なす者たち」に最もよく現れていると思うけれど、ヴァンスの作品がとても面白いのは、現在の地球上において最も優勢な地位にある近代的合理精神とは対極にある異文化を描きながら、それらを劣ったもの、非合理的なものとは少しも考えていないこと。それはそれ自身の内部においては完璧に意味が通っていることを理解しているのと同時に、そうした完璧に整合性のある論理の外部に出ることの意義を強調しているということだ。世界各地をボヘミアン的に旅してまわった自分自身の経験から、このような異文化への態度を培ったとは、真に驚きだ。ほんとうの意味でセンス・オブ・ワンダーをあたえてくれるSF。

Posted byブクログ

2012/01/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

欧米の文学界で異端の位置を占めているSF・幻想文学の巨星の足跡を追う本邦初の傑作選。 好きな人は文句なく虜になってしまう独特の魅力を秘めた世界観だ。この世のものではない異質なものをリアルに描き出す想像力と緻密な構成力は他の追随を許さない。 お好きな方にはたまらん魅力なのだろうが、個人的にはその異質さに(自分の想像力がついていけないのだろうが、、、)溶け込めない部分を感じてしまうのだった。

Posted byブクログ

2012/01/17

SFとしてもファンタジーとしても楽しめる。 一番印象に残ったのは、「フィルスクの陶匠」。 人骨の灰を使って陶器を焼く…冒頭に収録されたこの短編の設定だけで、ジャック・ヴァンスの世界感にぐっと引き込まれた。

Posted byブクログ

2011/10/03

精緻に構築され、色彩豊かに描写される異世界の幻想的な美しさに圧倒される。例えば「月の蛾」の音楽と仮面を基板とした社会、「奇跡なす者たち」や「最後の城」の文明崩壊後の世界のなんと魅力的なことか。住みたくはないけどねw。解説の「異種文明とではなく、異文化との出会いを描く……」という一...

精緻に構築され、色彩豊かに描写される異世界の幻想的な美しさに圧倒される。例えば「月の蛾」の音楽と仮面を基板とした社会、「奇跡なす者たち」や「最後の城」の文明崩壊後の世界のなんと魅力的なことか。住みたくはないけどねw。解説の「異種文明とではなく、異文化との出会いを描く……」という一文に深く納得。 お気に入りはダントツで「月の蛾」。次点が「音」、「奇跡なす者たち」、「最後の城」あたりかな。いや、もう全部大好きです♪

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