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花森安治の青春 の商品レビュー

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2012/06/21
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日本を代表する編集者・花森安治の青春時代に焦点をその歩みを具体的に検討したのが本書であり、『戦争と広告』(白水社)の続編にあたる。花森の青春時代とは、滝川事件、天皇機関説排撃、そして2.26事件と、戦前日本が“雪崩をうって”いった時代の転換点。その時代に学生として過ごした。学生生活のほとんどは「帝国大学新聞」の編集に費やし、杉浦明平氏とは同期の新聞部員である。 召集を経て、結核の疑いで除隊。その後は、氏の卓越した編集能力と広告のセンスをかわれ、大政翼賛会宣伝部へ。戦時下の有名な「贅沢は敵だ」は花森のコピーである。 「国家が遂行しようとしているこの戦いを、軍人たちの論理と言語で伝えても、人々はわからないのだ。庶民の思考回路と、庶民の言葉に置き換える必要があるのだ。こんなに追いつめられた今だからこそ、国家は宣伝技術者を必要としている。庶民がわかる政治。政治がわかる庶民。翼賛会でだれがやれるというのだ。翼賛会三百人といえども、その任に就けるのは自分しかいないと思うから働くのだ」 帯には、「生誕百年 「暮しの手帖」を創刊した編集者が封印した戦争の暗い影」とある。花森自身は直接語らなかったという意味で「封印」は該当する。しかし「封印」は「責任を回避」したと同義ではない。 戦後、他社の広告を一切掲載しないという『暮らしの手帖』を創刊、さらに『一銭五厘の旗』を出版する。 「ぼくの全生命を燃焼さして戦った、と。協力したと。そいで、それだけにショックが大きい、と。それだけに、ぼくは、これからはね、絶対に戦争の片棒はかつがん、と。それだけが償いや、と。まあ、しっかり、これからのぼくを見とってくれ、と」。 見よぼくら一銭五厘の旗 日本ペンクラブ電子文藝館 http://www.japanpen.or.jp/e-bungeikan/guest/publication/hanamoriyasuji.html

Posted byブクログ