日本の雇用と労働法 の商品レビュー
本書は大学の講義用のテキストとして執筆されたということで、労働問題(及び労働法)の大部分について網羅的に言及されている。なのでそういう意味では非常に教科書的ではあるが、ただ著者がその方面に対して(実務経験も含めて?)非常に強固なバックグラウンドを有しているせいか、この手の本には珍...
本書は大学の講義用のテキストとして執筆されたということで、労働問題(及び労働法)の大部分について網羅的に言及されている。なのでそういう意味では非常に教科書的ではあるが、ただ著者がその方面に対して(実務経験も含めて?)非常に強固なバックグラウンドを有しているせいか、この手の本には珍しく読者をぐいぐい引っ張って読ませる本だ。 本書を読んだ多くの読者に強烈に印象を残しただろう主張は、とにかく日本における労働契約の本質は(特に規模の大きい企業になるほど)メンバーシップ型のそれであるというものである。メンバーシップ型の一つの特徴として、労働契約は(欧米とは異なり)職務の定めのないものであるというのが挙げられる。つまり大雑把に言えば「仕事がなくなってもそう簡単にクビにはしないから、定年までしっかり会社が面倒見るつもりだから、仕事の内容とかそういうものについては基本的には会社の言うことに従ってね」というものだ。僕はこれはわりかし普通のことだと思っていたのだが、これはどうも日本の労働における大きな特徴の一つであるらしい(このメンバーシップという概念は、日本社会の特徴をとらえた言葉として出てくることのある「村社会」「均質」「平等」なんかとも非常に共通点の多い概念であると思う。とにかく「みんな仲良くやろーぜ!」である。僕も嫌いではない)。著者はこのメンバーシップという用語を一つの軸として様々な事象、法解釈なども説明しているため、こちらとしても非常に理解がしやすかった。 また元々欧米(独?)に倣って作られたジョブ型の雇用契約の原則が、(司法が)信義則や種々の法理といった法の一般原則を駆使することで、メンバーシップ型雇用契約の原則に軌道修正されて行く過程(「司法による事実上の立法」)は、純粋に読み物としても面白い。 知識や経験が足らず、まだ理解の追いつかない箇所がいくつもあるが、それも踏まえて何度も読み返すだけの価値がある本なのは間違いないと感じた。
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労働系blogで集客1,2を争うhamachan先生の一般向け本。 労働社会のありかたをジョブ型、メンバーシップ型に分けた上で、労働法の歴史を開設するスタイルは、かなり珍しい。 実務上感じる労働法と実情の乖離の原因をうまく説明してくれてる感じです。
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著者が大学の講義のためにテキストとして用意した書。「長期雇用、年功賃金制度、企業別労働組合」という特徴をもつ日本型雇用システムはどのようにして形作られてきたのかが、労働法制との関係において解説されている。コンパクトだが非常によくまとめられたいつも手元においておきたいと思った一冊。...
著者が大学の講義のためにテキストとして用意した書。「長期雇用、年功賃金制度、企業別労働組合」という特徴をもつ日本型雇用システムはどのようにして形作られてきたのかが、労働法制との関係において解説されている。コンパクトだが非常によくまとめられたいつも手元においておきたいと思った一冊。(2011/12/15)
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すごい密度。これは読むものではなく経営学や経済学や労働法のゼミとかの教科書だろう。 メンバーシップ制でいいのではないか、と思ってはいかんのだろうなあ。 でも仲間うちでわいわいやって、いろんなポジションこなすってのは魅力的だけどな。アメフトが好きかサッカーが好きか、みた...
すごい密度。これは読むものではなく経営学や経済学や労働法のゼミとかの教科書だろう。 メンバーシップ制でいいのではないか、と思ってはいかんのだろうなあ。 でも仲間うちでわいわいやって、いろんなポジションこなすってのは魅力的だけどな。アメフトが好きかサッカーが好きか、みたいな。
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