幻想建築術 の商品レビュー
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そう来たか!本。 最後まで読んだら最初を読み返すよねぇ。 各章の登場人物が前の章でチラリと登場してるのに気づいてからは読みながら次の章の主人公はこいつなんやろうななどと考えながら読むのも楽しかった。 最初の方は文章がゴテゴテしていて読みづらかった、特にモノローグが。 殺した人数=パンの数ってJOJOの中でディオも同じようなセリフを言っていたが元ネタがどこかにあるんやろか? 読後、これ寝る前にわたしもやってるやつ!とハタと気づく。わたしも神の一人でした。
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文体に少しクセがあるので没入感が無いのがちょっと残念と言えば残念。でも絵画鑑賞みたいなものと思えばこれはこれで。
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千年続いたという「都」を舞台にした幻想的な連作短編集。非常に「浸れる」小説だった。絢爛で叙情的な文体が、この物語のためにあるかのように一体となっていて、本当にこの作品自体がひとつの建築物みたいにしっかりと構築されている。 序章 腐乱の美酒 第一章 神の墓 第二章 聖心臓 第三章...
千年続いたという「都」を舞台にした幻想的な連作短編集。非常に「浸れる」小説だった。絢爛で叙情的な文体が、この物語のためにあるかのように一体となっていて、本当にこの作品自体がひとつの建築物みたいにしっかりと構築されている。 序章 腐乱の美酒 第一章 神の墓 第二章 聖心臓 第三章 炎の髪 第四章 チュウ盗 第五章 叫び 第六章 偶像彫り 第七章 飢える男 第八章 化金石 第九章 こともなし 第十章 荒野より 終章 鈴 どの話も良かった。「偶像彫り」、「こともなし」あたりが好みかな。
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ネタバレはあまりしないようにしているのだけど、ヒントになるとアレかなと思うので一応ネタバレ設定。 序章、1〜10章、終章からなる連作短編集。枠としては幻想小説。 女性作家且つ幻想小説というのは、キーワードとして惹かれるものは多数あるにも関わらず、噎せ返るような香水の香りに襲われるような感覚と後味の悪さに苦しむ印象があるので、よっぽど体調が良くないと手を出せない。手を出したとしてもどうしても多少の後悔が残ったりもする。それでもなお手に取る事をやめられないジレンマ…。そんな中、この本は最後まで読み終わってみれば、かなり素直に楽しめたと思う。 序章を読み始めた時はもうまさに腐乱臭に包まれて「あぁ〜やっぱりそうだよねぇ〜こういう感じだよねぇ〜」と思いながらもどうにかジリジリ読み進めていたけれど、3章くらいから「連作」としての繋がりがはっきりしてくると同時に話の流れも良くなり、次にどう繋がるのかというワクワク感で一気に読むスピードが上がった。「連作短編集」という体の「長編」であることがわかってきて、この物語の構造が明らかになってくる後半は、通常の長編小説となんら変わりなく読めた。 意図せずして同じようなテーマの本を同時期に読んでしまう現象はよく起こるけれど、今回もまた。『バチカン奇跡〜』を読んでいて、シリーズものがずらっと並ぶのも何かなと思って、随分読み始める勇気がでなかったこの本を「篠田さんの建築偏執狂的幻想小説かなぁ」と読み始めたら、むしろ「神」や「偶像崇拝」といった宗教的要素が凄く強かった。実際の宗教とは似て非なる部分もあるのだけど。 偶像崇拝については自分も余りちゃんと認識していないので、簡単に歴史背景や矛盾も含めて少し見なおしてみたりもした所為か、より話をスッキリ捉える事ができた気もする。 現実世界と物語における世界。同じようであって違うもの。物語世界の設定だけでも面白いが、それを通して現実を見た時の面白さというか問題提起というか恐ろしさというか、新しい目に射抜かれるような大きな力を感じた。 幻想小説らしい「汚泥に伏して体が溶けてゆくのに任せる」ような感覚は嫌いではないし、むしろ好んで取り上げる部分でもあるけれど、この本のラストで燃えゆく男はそんな自分と同化して焼き尽くされ、しかしそれは妙に清々しい気分になった。 終章がまた希望とも不安とも取れる所が「どちらとも言えないしどちらにもなりうる」というような意味合いを感じて良い。 しかし終章でつい「新世界の神になる」とか思ってすみません。あとハドリアヌスがどうしてもテルマエイメージが強くてのほほんとしてしまってすみません(笑)。
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ある謎に包まれた<都>を舞台にした物語。 初めて読む作家さんだったのですが、 「序章 腐爛の美酒」の読みづらさに内心怖気づいていました。 さて、これは最後まで読めるのだろうか?と、久々の挫折の予感。 ですが、本編に入ると途端に読みやすくなり、 あっという間に、この幻想的で奇怪...
ある謎に包まれた<都>を舞台にした物語。 初めて読む作家さんだったのですが、 「序章 腐爛の美酒」の読みづらさに内心怖気づいていました。 さて、これは最後まで読めるのだろうか?と、久々の挫折の予感。 ですが、本編に入ると途端に読みやすくなり、 あっという間に、この幻想的で奇怪な世界の虜に…! 美しさの仮面を被った悪夢のようなお話の数々。 <都>の謎にとりつかれてしまったある神学生。 石工の青年の秘密を目撃してしまった黒猫。 夫と娘を亡くして以来悪夢にうなされる腸詰屋の女将。 一つ一つが独立した話でありながら、 読み進めていくうちに繋がりが見え始めます。 内容、構成ともに素晴らしいのですが、少々凡庸なラストが惜しい。 ここまできたら、もう落ちるところまで落ちて欲しかった~(笑) でもその事を差し引いても、とても自分好みの作品でした。
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とある男が夢見た《都》の物語。 序章を読んだ段階で、これはもしかしたら苦手な耽美系かもしれないと思って手を止めかけましたが、後々で持ち直してきたので、意外とあっさり読んでしまえました。 始終感じたのは、とにかく気持ち悪さ。人間の醜さ。 千年の繁栄を極める《都》でありな...
とある男が夢見た《都》の物語。 序章を読んだ段階で、これはもしかしたら苦手な耽美系かもしれないと思って手を止めかけましたが、後々で持ち直してきたので、意外とあっさり読んでしまえました。 始終感じたのは、とにかく気持ち悪さ。人間の醜さ。 千年の繁栄を極める《都》でありながら、そこには至る所に退廃的な空気が漂い、人々は悪夢に浸食されながら生きています。 そして、そんな人々の心の拠り所であると同時に、人々に偽りを説く宗教。 最初のうちはふわふわとして捉えどころのない話ばかりが続きますが、それが後半に進むに連れて形を得て、そして救いようのない結末だけが残ります。 美しい言葉で語られることがとにかく気持ち悪く、理不尽で、読んでいても眉をしかめてしまうほど。 この雰囲気を受け入れられるかどうかで、作品に対する評価もかなり変わりそうです。
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惜しい。まことに惜しい。大傑作になる可能性を秘めた構想だったと思うのだけれど、きれいにまとめて終わってしまったために凡作になってしまった。 冒頭から格調のある華麗な文章で幕を開け、その後に続く何章かの不条理劇は快哉を叫びたくなるような出来映えだった。第三章の「炎の髪」が特に良い。...
惜しい。まことに惜しい。大傑作になる可能性を秘めた構想だったと思うのだけれど、きれいにまとめて終わってしまったために凡作になってしまった。 冒頭から格調のある華麗な文章で幕を開け、その後に続く何章かの不条理劇は快哉を叫びたくなるような出来映えだった。第三章の「炎の髪」が特に良い。なのに、第七章の「飢える男」のあたりから各章を無理やり関連させようとする意図が見え隠れし、第八章の「化金石」に至ってはもう謎解きに入ってしまう。これは興醒めだ。第九章「こともなし」ではすでに物語は混乱し、第十章「荒野より」では説明に終始する。惜しい。まことに惜しい。第十一章はもう蛇足以外の何者でもなく、せっかくの物語世界を自ら台無しにしてしまっている。 もうさ、ずっと不条理劇でよかったんじゃないのかな?第一章ですべてを予感させているのだから、その後は何を語っても夢物語で納得してもらえると思うんだが。この構想で著者の文体をもってすれば、中井英夫並みの幻想小説の傑作になったのではないかと想像すると、いや、本当に惜しい。
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病床にある老人が<都>の夢を見る。 <都>と、そこに暮らす人間の暗部を描きながら、最終的には<神>の存在を問う。 ま、いわば<都>は神の入れ物ってことなのかな。 つか、入れ物なしに、神は存在しないということか。 連作短編集なんだけど、関連のある人物がつながりつつ変...
病床にある老人が<都>の夢を見る。 <都>と、そこに暮らす人間の暗部を描きながら、最終的には<神>の存在を問う。 ま、いわば<都>は神の入れ物ってことなのかな。 つか、入れ物なしに、神は存在しないということか。 連作短編集なんだけど、関連のある人物がつながりつつ変っていくのが、面白かった。
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2011/9/18 Amazonより届く。 2015/1/23〜1/30 とある架空の街で起きる出来事を描く連作短編集。ファンタジーの体裁は取っているが、描かれているのは、宗教の本質を問う重い内容。龍緋比古シリーズにも通じる篠田さんの宗教的側面に触れられる一冊。
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