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開国と英和辞書 -評伝・堀達之助 の商品レビュー

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2011/10/26

堀さんには『英学と堀達之助』という本があるが、本書はその改訂決定版とも言えるものである。堀さんは、日本で最初の英和辞典―英和対訳袖珍辞書をつくった堀達之助の子孫である。子孫であるからには、達之助に対する思い入れはもちろんあるが、研究者―それも社会思想史の専門家としての視点から、資...

堀さんには『英学と堀達之助』という本があるが、本書はその改訂決定版とも言えるものである。堀さんは、日本で最初の英和辞典―英和対訳袖珍辞書をつくった堀達之助の子孫である。子孫であるからには、達之助に対する思い入れはもちろんあるが、研究者―それも社会思想史の専門家としての視点から、資料を丹念に集め、幕末から明治へと生きた達之助という人物を、その生きた社会の中で生き生きとよみがえらせてくれている。前著がありながら、堀さんが本書を書いたのは、上の辞書の初版草稿と再版への校正原稿が近年になって発見されたからである。ただ、櫻井豪人さんがやったような、初版草稿が、英蘭辞典を使って『和蘭字彙』の訳語をそのまま挙げるのでなく、そこに訳語の変更をくわえたというような考証はされていない。しかし、本書の中で掘さんは、達之助の再婚した時期を訂正したり、また、維新後のゆくえを丹念に追っている。ぼくは、本書を2011年度の秋に高知で行われた日本語学会の書店で求め、帰りの列車の中でむさぼるように読んだ。それはこの上なく幸せな時間だった。

Posted byブクログ