本と怠け者 の商品レビュー
「怠け者の読書癖―序にかえて」で著者は、『希望をいえば、好きなだけ本を読んで、好きなだけ寝ていたい。欲をいえば、酒も飲みたい。もっと欲をいえば、なるべくやりたくないことをやらず、ぐずぐず、だらだらしていたい。』と言っている。本読みの人間にとって理想的な話だが、実はある程度の制限が...
「怠け者の読書癖―序にかえて」で著者は、『希望をいえば、好きなだけ本を読んで、好きなだけ寝ていたい。欲をいえば、酒も飲みたい。もっと欲をいえば、なるべくやりたくないことをやらず、ぐずぐず、だらだらしていたい。』と言っている。本読みの人間にとって理想的な話だが、実はある程度の制限が課されていないと、"読書"は楽しめないのだとあらためて思った。本書の内容は、専門的過ぎて読み取れない部分が多かった。
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あぁいい人を見つけた。 前々から気になっていた本で、彼の家の本棚に入っていた。 この姿勢、文章の温度感、拾ってくる文章、よくわからないことを考え込んでわからないまま終わっていく感じ、いろいろとちょうどよくて面白い。 この本に出てきた作家や詩人たちを掘り下げていきたくなる。 彼の...
あぁいい人を見つけた。 前々から気になっていた本で、彼の家の本棚に入っていた。 この姿勢、文章の温度感、拾ってくる文章、よくわからないことを考え込んでわからないまま終わっていく感じ、いろいろとちょうどよくて面白い。 この本に出てきた作家や詩人たちを掘り下げていきたくなる。 彼の飾らない低姿勢な雰囲気と怠け癖からくる葛藤がたまらなく好き。 もっと荻原魚雷の本を読みたい。
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楽しい。ほんと本を読んで、寝て、酒飲んで、楽しく過ごしたい。 お金があればできるね。会社勤めをせずに作者は過ごしてきた。辛い時期もあったろうに。えらい。
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魚雷さんの文章すばらしい。今の時代、堂々と怠けるという言葉は使いづらいが、それを意気揚々と書いている。小林秀雄や吉行淳之介などは気になるが、それらを紹介する本としてもおすすめである。他の著作もぜひ読んでみたい。そしてブログ、高円寺文壇にも注目。
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力の抜けたタイトルとPOPな表紙から、ゆるーいエッセイ集かと思ったら、結構しっかりした書評集だった。 内容自体は面白いんだけど、じゃあその評されている本が手に入るかといったら…うーん…。 とりあえず、著者の本をもういくつか追いたいと思う。
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古書と書評と人生観と。 タイトルに惹かれて手にとってみれば、なんとも素敵なエッセイでした。 紹介される古書も文士たちもほぼ知らなくて、でも引用される文章や魚雷さんの言葉を読むうちに親近感がわいてきました。 とくにお気に入りは、「与太大王、浪吟す」の安成貞雄さんのエピソード。...
古書と書評と人生観と。 タイトルに惹かれて手にとってみれば、なんとも素敵なエッセイでした。 紹介される古書も文士たちもほぼ知らなくて、でも引用される文章や魚雷さんの言葉を読むうちに親近感がわいてきました。 とくにお気に入りは、「与太大王、浪吟す」の安成貞雄さんのエピソード。 コカイン中毒で、人の金で酒を飲み、家賃は滞納しているし、先輩友人から金を借りまくる…どうしようもない人なのに、没後、弟さんが遺品の手紙を整理したところ… p.141 …「どれも借金の申込みに快く金を送ったり、都合がつかなくとも近く送るというような好意に満ちた手紙ばかりだった」… この奔放さとそれを許せる周囲の寛容さ、関係性がとても羨ましい。
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タイトルが気に入った いろんな作家とか批評家とか本とかについてのエッセイ集 タイトル通り怠け者ばっか できるだけ怠けたいし世間の目から逃れたいと思ってるので気に入った内容が多かった ライターになるのだけはやめようと思った
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荻原魚雷さん、好き。一度だけご本人と対面したことがあるけど、ほんとうに小さな声でひそひそと話される方で、文章もそのイメージのまま。だけど、大きな声よりもしみるんだよな~。 夏葉社島田さん(こちらはお目にかかったことなし)の『あしたから出版社』もボイスの感じが似ていると思ったんだ...
荻原魚雷さん、好き。一度だけご本人と対面したことがあるけど、ほんとうに小さな声でひそひそと話される方で、文章もそのイメージのまま。だけど、大きな声よりもしみるんだよな~。 夏葉社島田さん(こちらはお目にかかったことなし)の『あしたから出版社』もボイスの感じが似ていると思ったんだけど、そうしたらこちらの本で『昔日の客』がとりあげられていて、「あれ、これってたしか夏葉社が一番最初に出した本じゃなかったっけ?」と思ったらやっぱりそうだった。読まなきゃね。 ちゃんとしていない大人を自認している著者だけど、好きなことがはっきりしていてそれに粘り強くしがみついて自分の居場所を作りだし、頭はいつも働かせている。だから、怠け者というほど怠け者じゃないんだろうとも思う。ただ、本をひっきりなしに読んでいると、外から見ると何もしていないように見える。そういう生き方がなかなかしにくくなってしまった今の日本で、こうやってひそひそとささやくように生きている魚雷さんの存在って、なんだか励みになるのだった。
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だめな人の、だめな人による、だめな人のための本。 作家にはだめな人が多い。だからだめな人の本を読む機会は結構多い。結構多いが、それはあくまでも、一対一の読書である。たはは、こいつは、本当にだめだなと、だめな自分が共感する。 そんな機会は結構あるが、この本は、だめな人が、だめな人の...
だめな人の、だめな人による、だめな人のための本。 作家にはだめな人が多い。だからだめな人の本を読む機会は結構多い。結構多いが、それはあくまでも、一対一の読書である。たはは、こいつは、本当にだめだなと、だめな自分が共感する。 そんな機会は結構あるが、この本は、だめな人が、だめな人の文章をネタにしているので、もし読者もだめな人ならばおもしろい体験ができる。 あはは、この人だめですね、っつー文章を、たはは、本当本当だめだなー、っというだめな人パーティー。もちろん、自分のだめさを自覚しているので嘲笑ではなく共感。親しみこもりまくりの肯定。
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図書館で予約待ちしていたこの文庫と、前後して『活字と自活』の本がまわってきた。こっちの文庫は、うしろに予約待ちの人がいて、先に読む。 なぜか私のアタマの中では、この本の荻原魚雷さんと岡崎武志さんがごっちゃになっているのだった(古本方面のことを書いてる人、という括りになっている...
図書館で予約待ちしていたこの文庫と、前後して『活字と自活』の本がまわってきた。こっちの文庫は、うしろに予約待ちの人がいて、先に読む。 なぜか私のアタマの中では、この本の荻原魚雷さんと岡崎武志さんがごっちゃになっているのだった(古本方面のことを書いてる人、という括りになっている)。いまさら気づいたが、荻原さんは同い年の人だった(岡崎さんは、ちょうどひとまわり上)。学生の頃からフリーライターとして仕事を始め、以来20年あまりという魚雷さん。文庫カバーの袖には「なかなか生計が立てられず、アルバイトで食いつなぎ、現在に至る」とある。 この本で紹介されるのは、魚雷さんの好きな作家たち、古本のなかに脈々と生息する「怠け者」。そのエッセイを、私もたらりたらりと読みながら、魚雷さんが○歳の頃にこんなことを考えていたとか○歳の頃にどうだったとかいうのを読んでは(その頃の自分は、どこで何をしてたっけな)と思い出したりしていた。 ▼希望をいえば、好きなだけ本を読んで、好きなだけ寝ていたい。 欲をいえば、酒も飲みたい。 もっと欲をいえば、なるべくやりたくないことをやらず、ぐずぐず、だらだらしていたい。(p.9) 食っていくためには、あまりやりたくないこともサクサクとこなさなければならなかったりする。私は、たぶん人に比べれば好きなだけ本を読んでいるほうだとは思うが、『We』を出して、自分も食っていくためには、わりこむ仕事の時間もそれなりにある。2ヶ月にいちどくらい「カスミを食って生きられるなら『We』は続けられるのかも…」と、せんないことを思う。 魚雷さんの古本話を読んでいて、読んでみたいなーと思った本がたくさんあった。その中でとくに、築添正生の『いまそかりし昔』(りいぶる・とふん)、臼井吉見の『あたりまえのこと』に入っているという「戦中派の発言」、松田道雄の『日常を愛する』をメモする。 臼井吉見のエッセイで自分の戦争観が変わり、『若者を見殺しにする国』で平和観が変わった、衝撃だったという魚雷さんはこう書く。 ▼寝る場所もなく、ただひたすら搾取される「平和」と、「食って、着て、寝るところのある軍隊生活」を送れる「戦争」と、どちらがいいのか。(p.89) 私が、『育児の百科』とか『私は赤ちゃん』の人として知っていた松田道雄を、魚雷さんは『現代日本思想大系 アナーキズム』の編集解説者として知ったという。そんな面もあるのかと初めて知る。その松田のエッセイに「おだやかとまとも」というのがあるそうだ。それを読んだ魚雷さんの弁。 ▼どんな立派な意見にも耐用年数がある。くりかえし同じようなことを表明していれば、聞いている人にあきられる。まともなことが通らないから、いらいらして、声高になる。そのことにより、悪感情すらいだかせてしまう。(p.115) この本に引かれている「まともなことを、おだやかにいうことはむずかしい」という松田道雄の一節を読みながら、鶴見俊輔が書いていた言葉を思い出す。 「市民運動は、担い手が自分の暮らしの中に新しい発見をもつことを通して続く。そうでないと続かない。」(『ちいさな理想』) 穏やかに言っていては通らない、伝わらないこともあるのだろうと思う。怒りといらだちの中で発する言葉には勢いもつく。けれど、そのために伝わらなくなるものも、たぶんあるのだろう。どうすれば、自分の暮らしの中に新たな発見をもつことができるか。とりわけ、人に語りかけることができるか。 いまでは手に入りにくくなった本から引用もずいぶんとあって(図書館で相互貸借を期待するにしても、ちょっと難しそうな本もあり)、ずるずると読みたい本なのだが、うしろの予約待ちの人がいるので、いったん図書館へ。でも、また借りてきて、ときどき読みたい本。 それにしても、この本で書かれている、魚雷さんが好む「怠け者」「世捨て人」の系譜につらなる作家に、女性の姿がみあたらないのは、怠けや世捨てという範疇に女性がいたとしても、それを本にまでして残せる機会がなかったのだろうかと、そんなこともちょっと思った。 (12/16了)
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