「十字架の神学」をめぐって の商品レビュー
青野新約学の入門書。新約聖書において、イエス・キリストの「十字架」と「死」には、それぞれ別々の意味合いが込められているという指摘には目が開かれた。 「死」はたしかに贖罪に結びつくと言えるが、「十字架」はむしろ、「弱さ」の印であるという。「弱さ」こそ「強さ」という逆転こそが、ルター...
青野新約学の入門書。新約聖書において、イエス・キリストの「十字架」と「死」には、それぞれ別々の意味合いが込められているという指摘には目が開かれた。 「死」はたしかに贖罪に結びつくと言えるが、「十字架」はむしろ、「弱さ」の印であるという。「弱さ」こそ「強さ」という逆転こそが、ルターも語った「十字架の神学」であるという。 ただ、伝統的な贖罪論を否定する傾向が強すぎるように思う。アリスター・マクグラスもルターの十字架の神学を語っているが、贖罪論との「あれか、これか」ではなく、「あれも、これも」という捉え方であり、その方がしっくりくる。
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