お言葉ですが… 別巻(4) の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
小学校上級から中学校初級の子ども向けに書かれた「ことばと文字と文章と」が、全体の1/3以上を占める。 つい忘れがちだが、ことば=文字ではない。 文字がない時代から人間はことばを話してきたのだから。 文字はただ、ことばを残すための記号にすぎない。 文字に意味があるのではなく、ことばに意味がある。 これを忘れると、文字に引っ張られてことば本来の意味が歪んでしまう。 ところで、副題の「ことばと文字と文章と」 文字と文章が漢字なのは、中国から伝わった言葉だから。 ことばがひらがななのは、「ことば=ことのは」はやまと言葉だから。 著者はこの辺の区別が実にはっきりしているので、読んでいていつも勉強になる。 その、勉強のつもりで読んでいた文章の中に「二・二八事件」が出てきてびっくりした。 「二・二八事件」というのは、1947年2月に中国人支配者が数万人の台湾人を虐殺した事件。殺された人の多くは日本の高等教育を受けた知識人だった。 これ、この間よんだケン・リュウの短編集『紙の動物園』の中の「文字占い師」という作品の背景になっている事件で、この作品を読むまで知らなかった事件なのに、高島さんがいいタイミングで補足してくれたようでびっくりしたのだ。 「いぎたない」 漢字で書くと「寝穢い」 私のことです。 このことばをわたしのパソコンは変換することができない。バカだなーってずっと思っていましたが、実はあんまりメジャーなことばではないんですね。 私は自分のことだから知っていましたが。 いぎたない=眠りをむさぼっていて、なかなか目を覚まさない 今の私の夢は、いぎたなく布団にくるまって日がな一日を過ごすことです。 毎日とても眠い。 「平田篤胤と片山松斎」 平田篤胤がこんなに狂信的な日本至上主義者だとは思わなかった。 屁理屈以外のなにものでもないその主張が、その後どれだけ日本を曲げていったことか。 “片山松斎は、日本は何も特別な国ではない、地球上にあまたある国の一つにすぎない、天皇は日本の天皇であるにすぎない、と当然のことを言っているが、戦前の日本では、それだけのことを言うことさえできなかったのであるから。” 片山松斎とは、江戸時代後期の幕府御家人。 「ラバウルの戦犯裁判」 第2次大戦で、南洋諸島で多くの日本人が上のために死んでいったのは有名な話。 しかしラバウルでは、動物性たんぱく質は無理でも、贅沢をしなければ食うに困ることはなかったのだそうだ。 将軍今村均は、いずれラバウルは孤立することを見越して、現地で自活するために密林を開いて全員を農業に従事させた。 日本から熱帯農業の専門家を招き、農機具ら作物の種子を取り寄せた。もちろん自ら率先して畑で働いた。 ラバウルで餓死した人はいなかった。 戦後今村は、戦犯として逮捕された人たちのために自ら希望して戦犯収容所に入り、罪のない人の無実を訴え、死刑囚の心の平穏のため、僧侶や牧師を通じて信仰の道へ導き、そして囚人たちの心の支えになった。 こういう人がいたって知らなかった。 まだまだ、知らなければならないことは多いね。
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週刊文春のコラムから追い出されても相変わらず健筆を奮っている、20冊目くらいになるシリーズ最新刊。 毎回刮目して読んでいるが、産経新聞の書評にもあるように「いぎたない」の正しい意味についてはびっくりした。
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どこから読んでも それはそれは面白い もし あなたが 高島俊男さん 初心者なら ぜひ 本書の「チャリンコ」を。 もし 高島本おなじみの方ならば 初めのページから ゆっくり 惜しむように。 どんな読み方であっても やはり おもしろいねぇ
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週刊文春での「お言葉ですが」が終了して久しく、その最後のほうでは「目がかすむ、人に本を読んで貰っている」などと泣き言を言っていた高島さんだが、こうして着々と連合出版から言葉に関するエッセイを書き続けて居るのはただただ頭が下がる。今回もご多分に洩れず色々と為になる言葉の由来などを紹...
週刊文春での「お言葉ですが」が終了して久しく、その最後のほうでは「目がかすむ、人に本を読んで貰っている」などと泣き言を言っていた高島さんだが、こうして着々と連合出版から言葉に関するエッセイを書き続けて居るのはただただ頭が下がる。今回もご多分に洩れず色々と為になる言葉の由来などを紹介しているが、特に記憶に残ったのは言葉の話しではなく彼の祖母は、江戸末期の生まれらしいのだが生まれた瀬戸内の島から若い頃は長崎に出ていたというところ。江戸末期~明治の初期にかけては瀬戸内地方では嫁に行く前に娘たちが島の外の世界を見聞するために家を出る習慣があったということ。金などなくとも船を乗り継いで、道々の人の喜捨に頼り、または旅先で奉公して路銀を作るというような習慣が何処からでたのか興味が尽きない。
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