ボブ・ディラン・グレーテスト・ヒット第三集 の商品レビュー
なんだろうこれは。不条理というほどでもないけれど迷路のような世界観。例えて言えばアリスの気違いお茶会が延々と続く独白のようなもの。それは決して嫌いじゃないけれど、この作品に纏わりつく懐古的な視点がどうにも我慢できなかった。なんだろう、リアルじゃない。現在を生きている迷路ではなく、...
なんだろうこれは。不条理というほどでもないけれど迷路のような世界観。例えて言えばアリスの気違いお茶会が延々と続く独白のようなもの。それは決して嫌いじゃないけれど、この作品に纏わりつく懐古的な視点がどうにも我慢できなかった。なんだろう、リアルじゃない。現在を生きている迷路ではなく、いまだ抜け出せない迷路、な物語。 残念ながら、感情を揺さぶられることはなかった。
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※このレビューにはネタバレを含みます
シチュエーションや話の途中での出来事は面白いと思ったが、結末はアレレという感じ。 何が言いたかったのか、全く分からない。 2話目の「返却」は、ダラダラとした展開の無い話だった。 ボブディランよりは、書きたい事が分かったけど。
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タイトルに惹かれたけど、宮沢章夫氏は初めて。 2001年 中古レコード店の店主内田と、手伝いの大学生サトル 西新宿の雑踏の中に佇む、エレベーターも無いビルの4階に店はある 大ガードの向こうは歌舞伎町 決して歌舞伎町には行くなとという内田 そして9月 歌舞伎町の風俗ビルでの火災事...
タイトルに惹かれたけど、宮沢章夫氏は初めて。 2001年 中古レコード店の店主内田と、手伝いの大学生サトル 西新宿の雑踏の中に佇む、エレベーターも無いビルの4階に店はある 大ガードの向こうは歌舞伎町 決して歌舞伎町には行くなとという内田 そして9月 歌舞伎町の風俗ビルでの火災事件 そして、9.11 さらさら読めるけど、でもでも、それがどうつながってってんだか・・・ 私にはなんだか消化不良・・・ 中編でもう1作「返却」 31年前に借りて返していない2冊を、練馬から都立八王子図書館へ返しにゆく、みちみちの話。 流れる車窓の景色や変わりゆく街の姿も、沿線に住む者には入りやすく へぇ~八王子っていまそうなってるんだ~~って、一緒になって驚く。 31年返せなかった意味や、言いわけやら何やら、初めは理解できなかったけど なんか、こんなこともあるんだな で、やっぱり自分で返しに行かねばならぬのだな、などと思った。 冬の相模湖・・・う~ん
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ストレートに心に響くタイトル(自分はディランが好きなので)とアーバンな空気が漂う装幀に惹かれて買った、ジャケ買いのような一冊でした。 新宿歌舞伎町のビル火災事件を端に発する奇妙な日常を、レコード店主・内田とサトルに焦点を当てて描き出した『ボブ・ディラン・グレーテスト・ヒット第三...
ストレートに心に響くタイトル(自分はディランが好きなので)とアーバンな空気が漂う装幀に惹かれて買った、ジャケ買いのような一冊でした。 新宿歌舞伎町のビル火災事件を端に発する奇妙な日常を、レコード店主・内田とサトルに焦点を当てて描き出した『ボブ・ディラン・グレーテスト・ヒット第三集』と、借りっ放しになっていた図書館の本をおよそ30年ぶりに返しに行く男の内面をえぐり出した『返却』。 どちらも、現実に起きている出来事と、レコードや本といった作品上の世界観とが綯い交ぜになって、奇妙な日常を作り出しています。『返却』は、京王線を乗り継いで八王子まで本を返却しに行く話なのですが、八王子駅周辺の描写が巧みで、何度か行ったことのある自分にとってはとても親しみの持てる作品でした。 東京など都会と呼ばれる大きな街に出ると、映画や何かのドラマでみたような風景を目の前にしたせいか、記憶の中で見た風景をふいに思い出すことがあります。そうした妙な親近感や既視感が、目の前にいるはずもない人間を思い出して、「今すれ違った人、○○さん…?」というようなことが起きてしまうのではないでしょうか。 実際、自分にはこうしたことが、よくあるのですが…。 都会の持つ独特の空気感と都心に住む人々の描写。本作は、そういった一種の幻覚のような雰囲気を形にしてみせた作品なのではないか、と思うのです。最後の最後まで、本心を語らない堅物のような作品に、やけに愛着を感じてしまった1冊でした。
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2001年、新宿歌舞伎町で起きたビルの放火事件を題材にした物語。 主人公「サトル」がバイトしている新宿の中古レコード店の店主・内田が、火災があった翌日 足に怪我をしていた。 火災発生現場から、足に怪我をした男が姿を消したとの噂があり、サトルは内田が事件に関係しているのかもしれな...
2001年、新宿歌舞伎町で起きたビルの放火事件を題材にした物語。 主人公「サトル」がバイトしている新宿の中古レコード店の店主・内田が、火災があった翌日 足に怪我をしていた。 火災発生現場から、足に怪我をした男が姿を消したとの噂があり、サトルは内田が事件に関係しているのかもしれないという思いを抱くが、内田自身はその夜のことをはっきりと覚えていない。 内田が事件に関わっているのか、いないのかはっきりしないまま モヤモヤと話は進む。 事件の直前、内田のチュコレコード店を訪れた初老の男が「火をつけろ」と言ったとか、事件と内田の周囲で疑惑を膨らませる話が次々に現れるが、なかなか内田が犯人かどうかの結論が出ない。 この宙ぶらりんの気持ち悪さに、なんともイライラする小説だった。あまり、お勧めはしない。
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帯にもあるように、私も一気読みしてしまった。 『ボブディラン〜』よりも『返却』の方が私は好きだ。 二つの小説が収録された本なのだ。 感動したり、しみじみいいなぁと感じる事はないんだけれど、すらすらと読めて、夢の中の話のよう。不思議な感覚。 新しい。
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2011.10.19 図書館 曖昧な記憶、覚えのない怪我、知らぬ間にどこかを彷徨っていたかもしれない自分。猥雑な街で。全くはっきりしないまま、時間だけが過ぎていく。
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著者のことは知らなかったが、9.11から10年というテーマにひかれて読み始めた。淡々とした叙述が味わい深い。歌舞伎町の火事を含め、あの夏のことが思い出されて感慨深かった。
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あの歌舞伎町の風俗ビル火災と911テロが同じ年、同じ月に起こった出来事だったってことをちょうどあれから10年経った夏にこれを読んで知る。 おそらく多くの読者が見聞きして同時に体験した事件を小説に盛り込む手法は、おそらくすべての読者にそれそれの記憶にある映像を呼び覚ます効果がある...
あの歌舞伎町の風俗ビル火災と911テロが同じ年、同じ月に起こった出来事だったってことをちょうどあれから10年経った夏にこれを読んで知る。 おそらく多くの読者が見聞きして同時に体験した事件を小説に盛り込む手法は、おそらくすべての読者にそれそれの記憶にある映像を呼び覚ます効果がある。 ところでこの小説が発表された直後に311東日本大震災が起こった。この半年間の出来事、今から10年後どんな小説となって描かれるんだろう。
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