パリ大改造 の商品レビュー
職場の図書館で、オースマンのやったパリ大改造の本が、新刊図書のたなに置いてあったので借りてきた。 鳥瞰図がたくさんあって、デザイン的な視点からみるととても有益だと思う。 自分は、制度的な観点にも関心があったが、そこまでの記述はない。 でも、オースマンのパリ大改造で新...
職場の図書館で、オースマンのやったパリ大改造の本が、新刊図書のたなに置いてあったので借りてきた。 鳥瞰図がたくさんあって、デザイン的な視点からみるととても有益だと思う。 自分は、制度的な観点にも関心があったが、そこまでの記述はない。 でも、オースマンのパリ大改造で新たにしった点。 (1)オースマンの都市改造は、広範囲に及んだが、計画によって規制されたものと、自由放任によってつくられたものとが混在することによって、都市混乱は最小限にとどめられたのである。(p106) パリの大街道の裏側にある、小店舗など猥雑な雰囲気が残っていることを評価する点については共感する。 今回の大震災の被災地で新たに大街道をつくる必要性は市街地の中にはあまりないので、むしろ猥雑なごちゃごちゃした雰囲気を大事に復活したい。 (2)一般の都市ブルジョア階級や特に中流上層階級が、パリのオースマン化に賛成し、参加し、利益をえていたことも事実である。(p105) (3)オースマンの大改造の資金は、公債発行、公共事業銀行を設立しての債権発行、請負会社への一時的な負債の押しつけ、事業着手時に竣工したとして市に全額前払いをさせる、など、きわどい手法で調達していた。(p29) この資金調達のあたりは関心があるが、かなり情緒的な文章で書かれていて、詳細は不明。基本的に公債に頼ったのは間違いないようである。 残念ながら、超過収用などの法制度の記述はなかった。ただし、絵柄だけみていても楽しい本。
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