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照柿(下) の商品レビュー

3.5

30件のお客様レビュー

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2013/04/13

暑い夏 燃える熱処理ライン 轟音は脳まで響き頭痛を起こさせる 読んでいると、春先なのにじっとりとした暑さが… 細かく描かれた工場の熱処理シーンは、下巻に進むにつれ、野田の体調や感情が壊れていく様子を現しているようだった。 「息ができない」 この一言に尽きる

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2012/09/23

野田の父の告別式で、十数年ぶりに再会した合田と野田。 幼馴染という関係性の影に見え隠れする、美保子という女性の存在。 けんか別れした二人は、それぞれ狂気の道を進んでいくのであった。 人間のもつ原罪と不条理を克明に描いた作品。 ミステリーの枠を遥かにこえた著者のリアリズムは、本作...

野田の父の告別式で、十数年ぶりに再会した合田と野田。 幼馴染という関係性の影に見え隠れする、美保子という女性の存在。 けんか別れした二人は、それぞれ狂気の道を進んでいくのであった。 人間のもつ原罪と不条理を克明に描いた作品。 ミステリーの枠を遥かにこえた著者のリアリズムは、本作品でも存分に発揮されている。 熱処理工場の工程から人物心理の微妙な息づかいまで、どうしてここまで描けるものだろうか。 なぜ人は殺人を犯すのか。その心理は当人にしかわからないのだろうが、著者はそれでも完璧に描写したかったのだと思います。 背後に隠された、圧倒的に重厚な人生を描くことによって。 秋の夜長、じっくり作品とぶつかりあいながら読書したい人にオススメです。

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2012/04/18

単行本と結び部分が変わってるのね。確か単行本では森刑事がもう少し熱いオトコな終り方だったかと。読んでて『記憶にないな〜』と思った箇所多かったけど、かなり改稿されているのかも。

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2012/03/11

熱く、赤く、嫉妬という名の男の激情が切なくて苦しくて、始めての感覚で涙が流れました。 個人的には文庫版よりハードカバーで出たもののほうな断然好みです。

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2012/01/27
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先日読んだ「マークスの山」は講談社文庫だったが、今回は新潮文庫にした。字の配列は、講談社のほうが好きだな・・・。 痛い話しである。 なんとなく、「誰だって同じだ、他人事じゃないぞ」と突きつけられているきがした。 合田にしろ野田にしろ、組織の中に馴染めない人間というのが必ずいて、そうしたを社会は異質なものを見るような目で見てしまうのだけれど、大きな組織というのは大概、組織防衛のためには個人のことなど虫けらとしか思っていないし、本当は彼らの方が健全なのかもしれない。 感情の人で、その感情のまま一線を越えてしまった野田は犯罪者で、越えられない合田は、刑事の首はつながったままだが、しかし、心に抱えきれない虚空を抱えてしまうのは、すごくリアルで悲しい。  その辺りが前作「マークスの山」よりも面白かった。  ラストの義兄からの手紙が、彼にいくらかの救いをもたらしてくれたと、願わずにはいられません。

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2011/11/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

なぜに女に一目惚れしたのか、全くわからない。幼馴染と不倫の女と刑事の、女の夫の浮気から徐々に狂いだしていく人間関係の歯車が女を除く浮体の男の心理状態をこれでもかと書き尽くし、破滅へと進行する、思いっきり暗い話であり、読んでいて辛いのだが、最後まで読ませる筆力は流石。

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2011/11/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

合田は切れ者で有能という設定だが、実際の言動からそんな印象を受けることはまったくない。 達夫が女にもてるであろうことは納得。

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2011/11/09

物語は突如として、野田の銀座でのある行動をもって、急展開する。 その事件にいやおうなしに合田もかかわるのだが、 野田が20年以上、手元に保管していた合田の言葉に驚愕。 なんというか、切なすぎる・・・ その言葉の内容を知るだけも読んだ価値はあったな、と納得。

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2011/10/30

全体に漂う鬱屈とした感じが気持ち悪い。タイトルの照柿は色の名前だけど、皮はまだ固いのにつつくとドロッて崩れる完熟の柿を最初から想起してしまい、刑事として常軌を逸し始めた合田と、不眠症が高じて正常な判断が下せなくなる野田達夫のイメージと完全に一致した気がする。 なんというか、この2...

全体に漂う鬱屈とした感じが気持ち悪い。タイトルの照柿は色の名前だけど、皮はまだ固いのにつつくとドロッて崩れる完熟の柿を最初から想起してしまい、刑事として常軌を逸し始めた合田と、不眠症が高じて正常な判断が下せなくなる野田達夫のイメージと完全に一致した気がする。 なんというか、この2人の、崩れかけの思考と行動は、生理的に受け付けない。さらに佐野美保子のどこがそんなに魅力的なのかよくわからない。話全体の構成とスピード感は結構好みだったけど、内容とか人物同士のやりとりとか、細かいところがどうも苦手だった。

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2011/09/10

人って、こんなに狂ってしまうんだ。 不眠のせいで放心と動揺との中での彼の行動が怖くて哀しい。 組織の中からもがいてる彼も哀しい。 やっぱり、再会しなければ良かった? 最後の電話のやり取りで「俺なあ、おかぁんに会いたい」てとこで泣きました。

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