震災7日間 の商品レビュー
東日本大震災で被災した仙台在住の著者が、被災直後から一週間の被災地の様子を書き記したコミックエッセイ。 もっとパニックに陥り、動転していたのかと思いきや、意外に落ち着いて冷静に行動しているなあと思いましたが、あの時は余震が立て続いていたため、大きな揺れは初めてではなく、みんな気持...
東日本大震災で被災した仙台在住の著者が、被災直後から一週間の被災地の様子を書き記したコミックエッセイ。 もっとパニックに陥り、動転していたのかと思いきや、意外に落ち着いて冷静に行動しているなあと思いましたが、あの時は余震が立て続いていたため、大きな揺れは初めてではなく、みんな気持ちがタフになっており、身体が対処できるようになっていたそうです。 著者は夫と子供がいる女性漫画家。挨拶代わりに、自分がプロになるまでの話も紹介されていました。 地震当時はスパコミ資料を作っていたそうです。スパコミが何かわかりませんでしたが、コミケのようなものだと思って読み進みます。 ADVという用語も出てきて、さすがにわからず調べました。けっこうオタク度の高い人のようです。 家族がそれぞれバラバラだっただったものの、さほど動じない著者。 すでに、家族で地震が起こった時の行動について話し合いがされていたからだとわかります。 これも個人単位で行える立派な危機管理。 自宅に一人、めちゃめちゃになった家を黙々と片づけながらも取り乱さない著者の姿に感心します。 ただ、それはあまりに大きな災害に遭って、感情よりも先に脳と身体が動いていたから。 家族が全員集合し、これから生き抜いていくという段階に入ると、さまざまな不安や絶望が彼らを襲っていきます。 被災地から続々と住民が避難していく中で、自分の家にとどまりたいと踏ん張る決心をする著者の一家。 逆に、被災地に残ることは、他のみんなの足を引っ張ることになると、帰省を勧める親。 考えあぐねた末に、結局親元に一時期身を寄せることに決めた彼ら。 言い分は双方ともうなづけるものです。 こういった非常時の決断は、本当に難しいものです。 被災地での野菜の高騰がニュースになりましたが、実際に仙台では、キャベツの価格が500円に上がったとのこと。 異常な事態が次々に語られていきます。 過剰な感情を交えず、淡々と書きつづられていますが、想像をはるかに絶する天災を受け、表現できない苦しみつらさをようやく超えてきたんだろうと思います。 感情に溺れず、あえて事実の流れを書き留めることで、あの異常な事態を、漫画家の使命として後に伝え記して残しておきたいという、著者の強い気持ちが感じられる本です。 ところで、仙台に「植樹マン」というエコヒーローがいることをこの本で知りました。 市内のお寺、輪王寺から生まれたキャラクターだそうです。復興のヒーローとしても活躍してほしいと思います。
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Pixivで見つけてから 心から離れない作品です。 単行本化に辺りペン入れしてるんですが、 2011年3月11日の震災時に仙台にいた作者の体験が書かれています。 この本は是非語継いでいきたい一冊です。
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仙台在住の漫画家が3月11日の東日本大震災に遭い、いかに7日間を過ごしたかを描いた体験談表題作と、後日談、さらに作者の漫画家としての過程をまとめた一冊。 内容は実話を綴ったものなので、凄く面白いというものでもないし、全く役に立たないというわけでもない。まだ終わっていない震災を...
仙台在住の漫画家が3月11日の東日本大震災に遭い、いかに7日間を過ごしたかを描いた体験談表題作と、後日談、さらに作者の漫画家としての過程をまとめた一冊。 内容は実話を綴ったものなので、凄く面白いというものでもないし、全く役に立たないというわけでもない。まだ終わっていない震災を扱っているので、なかなかぶっちゃけるのも難しいだろう。 それよりも、本としての構成が気になった。 地震の話と自身の話を交互に載せるのはいいとして、そのバトンタッチがうまくいっていないように感じた。 最初の表題作を読んでいた段階では、「これは普段漫画を読まない母にも勧めてみようかな?」と思ったのだが、いきなり作者の過去の話が始まったので、「???」となり、本の構成に気づくまで時間がかかった。その後もタイトルページや説明文も無く、いきなり違う話の矢継ぎ早。さすがにこれは母親に勧められないな。と、思い返した。 この辺りをもう少し分かりやすく構成していたら、もっと一般層にもアピール出来たのになあと。そこが少し残念。
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pixivで話題になった漫画の書籍版。 アップされていた震災7日間の完成版に加え、震災一ヶ月、実家は平常運転と作者の漫画家半生漫画が収録されてます。
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帯に惹かれて購入。 震災の生々しさ、というよりは、実際に震災に遭った、「リアル」な感覚が描かれている。大変さ・深刻さを強調するのではなく、どこか一歩引いた目線を持っている著者の冷静さが、リアル感を生み出していた。 また、3.11よりも4.7の地震の時のエピソードが、印象的だった。...
帯に惹かれて購入。 震災の生々しさ、というよりは、実際に震災に遭った、「リアル」な感覚が描かれている。大変さ・深刻さを強調するのではなく、どこか一歩引いた目線を持っている著者の冷静さが、リアル感を生み出していた。 また、3.11よりも4.7の地震の時のエピソードが、印象的だった。 全体として、マンガのおもしろさ、という観点からいくと、3つ星。
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仙台の漫画家さんが書いた震災の実体験。正直もっとうまい漫画家はいると思うが、この人の言葉はすごく響く。胸が痛くなる。パブーのお試し版で初めてこの作品を知った。その時はペン入れもしてなくて、なぜかと思ったが、買ってわかった。余震のため失敗したくなくてペン入れをしなかったのだという。...
仙台の漫画家さんが書いた震災の実体験。正直もっとうまい漫画家はいると思うが、この人の言葉はすごく響く。胸が痛くなる。パブーのお試し版で初めてこの作品を知った。その時はペン入れもしてなくて、なぜかと思ったが、買ってわかった。余震のため失敗したくなくてペン入れをしなかったのだという。そういう、体験者にしかわからないところが、リアルに浮き彫りになってきて、泣きそうになるのだ。何度も言うが、この方は漫画家としては発展途上だと思う(すみません)が、その伝えたい気持ちがうんと強いのだ。図らずも私が興味を持っていた上高森遺跡ねつ造事件(立花隆氏の本のレビュー参照)の時の件も、すごく共感できた。震災を通して「喪失」や「再生」、当たり前にあったものの意味を常に考えるようになった自分たちに、より鮮明に思い出させてくれる等身大のアルバムのような本だった。
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